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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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ポルトガルとの海戦3

蝦夷丸艦隊を見つけた台湾の駐在員が、短艇たんていでこちらに向かって来る。蝦夷丸の旗艦のデッキに毛利元就、毛利隆元、島津貴久、島津義久が足取りも軽く駆け込んでくる。


全員が、期待を込めた眼差しで俺を見つめている。

「明での首尾は! 交渉は! いかがなりましたでしょうか!」と元就が聞いてくる。

やはり、息子の隆景のことが気になるのだろう。


「全て上手く行った! 澳門マカオの100年間の割譲契約を勝ち取った。4隻を沈め、6隻のポルトガル艦隊が、数日すればこの港にやって来るはずだ。我らは、ここから少し北に移動し隠れていることにする。我らが見えたら、ポルトガル艦隊は逃げだしてしまうからな」


「いい展開になってきたな。王に『ポルトガル艦隊6隻が、この港を占領するために向かっています。日本の艦隊であれば、条件付きですが彼らを追い払うことができます』と進言してみてくれ」


「その後は王の反応を見ながらになると思うが『領地を少しいただければ、領地に兵と船を駐留させ、今後も大肚王国だいとおうこくを外敵からお守りします』と交渉をしてもらいたい」


「王と交渉する時期だが! ポルトガル艦隊がここに到着すれば、例のごとく大肚王国だいとおうこくに無理な要求をするはずだ。その後は砲撃となるだろう。いつものポルトガルのやり方だ! その要求が来た時に王と交渉するのがいいだろう。この後、我らは連絡を取ることができない。元就が臨機応変に判断してくれればいい。元就に任せる」


「お任せ頂き光栄です!」

「機会を見計らい、我ら艦隊に合図の狼煙を上げてくれ」


「承知致しました。我らは短艇たんていで陸に戻り、ポルトガル船が来るのを、交代で見張り続けることにします」

「頼んだぞ。それと息子の隆景だが、良い仕事をしてくれた! 負けぬように頼む!」


「何と! これは息子に負けてはいられませんな!」

毛利元就、毛利隆元、島津貴久、島津義久の4人で隆景の成功を喜んでいる。4人はかなり仲良くなったみたいだ。何せ、厳島の時からの付き合いだからな。


4人が船で戻って行く。


「定隆、蝦夷丸30隻を北に移動させよ」

「了解しました。全艦、北に移動! 艦隊に連絡!」


「それにしても、面白くなってきましたな」

「今度は、1隻も沈めてはならないぞ。ヨレヨレにしてルソン王国に追い立てる。難しいが頼む」


毛利家、島津家の家臣たちは交代でポルトガル船を見張り続ける。

数日後……やっとポルトガル艦隊がやって来る。いきなり無理な要求を突きつけるかと思いきや。ポルトガル艦隊を陸に向けて横一列に展開し、いきなり砲撃を始める。


元就たち4人は、想定外のポルトガル艦隊の行動に驚く。そして考える。王が死んだら困るのか? 死んでしまったほうがいいのか? 結論として、王が死んだら困ると判断。すぐに王の館に駆けつける。


……ポルトガル艦隊旗艦……


「台湾島の蛮人など、少し脅してやれば逃げ出すか、降伏するかのどちらだ。全艦で2回の砲撃をしたら、短艇たんていを降ろして武装した兵を上陸させよ。そして邪魔な奴は片っ端から撃ち殺してしまえ! とにかく、王を捕まえてこい」


「提督、分かりました」


ドォーン! ドォーン! ドォーン! ドォーン! ドォーン! ドォーン!

砲弾が、海に近い建物を壊していく。


砲撃が終わり、ガレオン船から数隻の短艇たんていが降ろされる。銃を持った兵が乗り込んでいく。どの顔も、これから狩りが楽しめるといった顔だ。


兵を満載した短艇たんていが、ゆっくりと陸に向かっていく。


大砲の弾で建物が次々壊されていく様子を見ていた王は、このままでは自分も殺されると恐怖する。


山に逃げなければ! とにかく早く逃げなければ! 誰か助けてくれ!


元就たち4人が、通訳隊を連れて大急ぎで王のところに駆けつける。

「お待ち下さい! 逃げないでも大丈夫です!」


早く逃げようと焦る王を引き止めて宥める。交渉を始めるには、これ程良い機会はないと元就は意気込む。王は意気消沈したままだ。しばらくすると、王の方から泣きつかれる。


「港も自由に使っていい。港の近くに領地を与える。私を助けてほしい!」

交渉の必要もなかったな。大砲が余程怖かったのだろう。


「我らがポルトガルを撃退します。ご安心を!」


小高い山の上からは、特殊部隊が狼煙を上げているのが見える。


元就たち4人が指揮を取り、毛利家と島津家の旧家臣たちと特殊部隊がライフルを持って岸に駆けつける。そのまま海岸に片膝をついて体を安定させると、兵を満載した短艇たんていに銃弾を浴びせ始める。


ポルトガル兵が構えている銃は火縄銃だ。ライフル銃とは射程距離が違う。直進性の低い奴らの弾が当たる可能性などない。運良くこちらに届いたところでかすり傷だ。ライフル銃の弾丸で、ポルトガル兵が次々倒れて海に落ちていく。


倒された兵が3割となったところで、短艇たんていはUターンして艦隊に戻って行く。


いずれ蝦夷丸艦隊が来るだろう。そうなれば、ポルトガル艦隊はボロボロにされるだろう。今度はルソン国に追い立てられるのか!


「ご苦労なことだ」

元就は小さな声で呟く。岸に集まった男たちもニヤニヤしている。


「兵の奴らは何をしている! なぜ逃げ帰って来る! とにかく兵を船に戻せ。砲撃の準備だ。台湾の蛮族どもの心をへし折ってしまえ」


「提督、分かりました」



ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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