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富国強兵への道1

天文7年(1538年春) 7歳


伊賀はだいぶ豊かになってきたな!


俺の儲けの大黒柱は、米の買占に転売だ。

言葉では簡単だけどね。そんなに簡単ではない。買占にたくさんの銭を使うからね。


しっかり確実に儲けるためには、各国に派遣している忍者調査隊から『いつ頃、どの大名がどこの大名に攻め込みそうか? 戦場になりそうなのはどこなのか? 昨年と今年のコメの出来具合はどうか?』という情報を入手する事から始める。


忍者はもともと大名から依頼されて、いくさに関する情報を集めてくるエキスパートなのだ。精度は高い。情報の集め方だってコツがあるのだ。


そもそもこの時代は野盗や山賊なんかが、ウヨウヨしているわけで、他国との間を安全に行き来するだけでも大変なのよ。つまりこんなことは忍者しか出来ないのだよ。


忍者調査隊が持って帰った情報はそのままでは使えない。

いくさが起こる確率はどれくらいか?』を、分析したり、『動かす兵の数はどれ程か?』を、推定したりする必要がある。


動かす兵の数で用意する米の量がちがうのだ。

籠城戦になりそうだと最高だよ!

そうなると米はいくらでも売れるからラッキーだ!


こんな感じで逸早く情報をつかみ、分析して意味のある情報にする。

だから儲かるのだよ!


逸早く情報をつかめば、買占めの前に偽情報を流して米の価格を下げることも出来る。

買占めた後も偽情報を流して米の価格を吊り上げることが出来る。

これだけで得られる利益が何倍も違うのだ!


仮に情報分析が外れても、嘘の情報を流して売り逃げすればいいのよ!

そのために誰にババを引かせるかということを事前に決めておかないとないといけない。


そのための調査も必要だ!


どういう偽情報が効果的などね。

当然、ババを引かせるリストも作っておくよ。


いつも同じ商人にババを引かせないように、ローテーションさせる。

とにかく準備が大事だ。

堺の商人さんいつも損を押し付けてごめんね! 永久に気づかないで下さい。


商人がこれをやろうと思えば、忍者がいないから、商人つながりから情報を買うことになる。商人たちも全国を隈なく歩いているからね。


しかし購入する情報の値段は高いだろうし、間違った情報の場合には丸損になる。

やはり店主の勘と経験頼りになる。そうなるとあまり儲からないし、大金を投資して、読み間違えると破産しかねない。


今のところ情報の分析は全部俺の仕事になっている。

面白いけどね。

気の利いた若い忍びに俺の仕事を見せて、分析のやり方を覚えさせている。


数学的思考ができないとダメなので、適正のありそうな若者を選んでいる。

数をこなせばそのうち慣れると思う。早く人材が育たないと俺が忙し過ぎるからね。

ここまでやっているから、馬鹿みたいに儲かるのだよ。


農業の方はというと、米の他に蕎麦と麦の作付けを進めている。

蕎麦と麦は空き地すべてに、山間の斜面も平地があれば、とにかく植えられそうなところには全て植えるよう指示している。


最初は『余計な仕事が増えた』とか、言いながら作付けを嫌がっていた村民たち。

なんせ今までの農業はやらされ仕事だったからね。

気持ちの切り替えがすぐにはできないのは分かる。


しかたないので、豊穣神様のお告げとだと伝えた。

とたんに真面目に蕎麦や麦の作付けに励んでいる。


蕎麦と麦は飢饉対策で収穫したものを強制的に各村に保存させている。


収穫の2割は俺が買い取っている。

これが農家の貴重な現金収入になっている。

最初は嫌がっていたくせに、今は競って蕎麦や麦を植えている。

少しは気持ちの切り替えができてきたのかな。良いことだ。


お金は持って初めて有り難みが分かる。

欲も湧く! やる気も出る! 服とかも買えるしね。

そうなれば、もっとお金が欲しくなる。


欲が活力になる! 耕作にも力が入る! 工夫もする!

今までのイヤイヤ労働とはぜんぜん違うのだ。

買い取った蕎麦や麦で焼酎を作る予定だ。焼酎が早く伊賀の産品に育ってほしい。


大量に買い付けた牛や馬や鶏だが、鶏は鶏舎で牛や馬は牧場でもっか繁殖中!

ともにまだ食べるのは禁止にしている。食うのはある程度増えてからだ。


南蛮人が貿易に来るようになれば、大型の馬も買い付けて日本の馬と交配させる予定。これは軍事用にする。


大型の馬で突撃! ロマンがあるね。


鶏舎と牧場の管理は、堺で奴隷にさせられていた人たちに任せている。

奴隷から解放されたことで、みんな張り切って作業をしている。

病気でフラフラだった人たちを俺が治しているからね。

俺が牧場に行くと未だに手を合わされる。


鶏舎と牧場の管理の人たちは一生懸命やってくれている。

しかし今は良いのだが……今はね……





ここまで、お読みいただきありがとうございます。

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