表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

168/242

衢山1

天文20年(1551年夏)20歳


蝦夷丸の旗艦には俺、軍務大臣の北畠信長、作戦本部副本部長の真田幸隆、海軍大将の九鬼定隆、ヤジロウ、外交官候補の毛利元就、毛利隆元、毛利隆景、北条長綱、三好長慶、松永久秀、島津貴久、島津義久、斎藤利三、蜂須賀正勝、その他に通訳隊10名、商社正直屋の幹部数名が乗船している。


加えて、死ぬまでにどうしても外国が見てみたいという、物見遊山の3人のオヤジたち、さらに北条氏康殿までもが乗船している。


俺たちがいない間は勘助と森可成に、内乱が起きないよう睨みを効かせてもらうことにしている。可成は我が国では無敗の軍神扱いされているから大丈夫だろう。


明の役人と倭寇の件を交渉するため、王直は明に戻っている。貸し出したキャラック船10隻も一緒だ。王直とは日を決め、衢山くさん島沖合で待ち合わせることにしている。


蝦夷丸30隻の艦隊が、平戸で準備を整えて衢山くさんに向かっている。艦の見えるところには王直党の旗を立てている。


我らは、明での倭寇退治が終われば、そのまま台湾島に向かう予定にしている。蝦夷丸には、台湾島やルソン国で渡すお土産を多く積んでいる。それに加え、今回は初の海外遠征となるため、空きスペースに石炭や食料を多めに積載している。


平戸から約800Km足らずの移動となる。蝦夷丸では、計測した緯度経度と世界地図を見比べながら、羅針盤を併用して航行していく。また、石炭の消費を抑えるためになるべく帆走を行っている。


それでも4日目には、衢山くさん島の沖合まで移動したのである。


予定より1日早く到着したが、衢山くさん島沖合では、既に王直と配下の海賊たちが中型船で待っていた。中型船が蝦夷丸旗艦に向かってくる。蝦夷丸から可動式タラップが降ろす。王直がそれを登ってくる。


王直がニコニコしながら俺の側までやって来る。

「役人との話がつきました。杭州湾の倭寇を片付けることで、この島の実質的な支配権を認めること、この島での密交易を黙認することを約束させました」


「ご苦労であった。倭寇たちが根城にしている港は分かっているな」

「もちろんです!」


「港には、倭寇とは関わりない民も住んでいるか?」

「住んでいます」


「では、港自体を破壊することはやめておこう。それで良いか?」

「もちろんです。港を制圧するのは我らにやらせてください!」


「我らが敵の船を全て沈めよう。沈め終われば、我らは沖に戻る。我らと入れ違いに王直たちが港に乗り込む。そういう手順でいいな。では今から始めるか?」


「大きな倭寇は3つあります。一番大きい陳思盻ちんしけいという倭寇を最初に攻めたいと思います。奴の配下は1000人くらいいます。明日の夜明けと同時に、ここを出航したいと思います。それでいかがでしょうか?」


「それでいい。残り2つの倭寇はどうする?」

陳思盻ちんしけいのところの制圧が、どれくらいかかるかによります。いずれにしても連続して攻撃できるのは、2つの倭寇までだと思います」


「翌朝だが、王直はこの船に乗れ。この船の船速は帆船の約2倍だ。配下たちの船が目的地に着くまでに、敵の船を全て沈めておくことになるから丁度いいな。ところで配下たちは、手旗信号を使えるようになっているか?」


「もちろんです。あれはいいですね。配下たちに十分練習させております」


毛利隆景は俺の近くにいるが、今のところは王直を観察するだけにしろと指示している。その横には松浦隆信とヤジロウが立っている。いよいよこれから始まるのだと、船に乗るもの全員が興奮しているのだ。



……翌日の明け方……


旗艦に乗せた王直に、陳思盻ちんしけいが支配する港までの案内をさせている。蝦夷丸艦隊の後ろを、櫂船タイプの中型船30隻が必死に追いかける。2時間も経過すると中型船30隻の姿は見えなくなる。


やがて陳思盻ちんしけいが支配している島が見えてくる。港には、全長30m程度の大型船が5隻、全長10m程度の中型の船が30隻、小型のものが60隻停泊している。


蝦夷丸艦隊30隻は、陳思盻ちんしけいの配下の船など気にすることなく、港にどんどん近づいていく。


王直は少し心配になっていた。配下の30隻が大きく引き離されてしまい、未だに姿を見せないからだ。海戦となった時、移動速度の速い敵櫂船に蝦夷丸が囲まれてしまえば、さすがに危ういのではないかと不安になっているのだ。


「30隻の単縦陣で港の出入り口を塞げ、港から敵船が逃げられないようにせよ!」

「了解しました! 各艦に連絡!」


30隻の単縦陣で港の出入り口を塞ぐと、港に係留されている船が慌ただしく動き始める。最初に動き出すのは、移動速度の速い中型と小型の櫂船だ。大型船はデッキで船員がバタバタと動き回っている最中だ。


「全艦! 大型銃用意! 距離400mで敵船を攻撃開始!」

「了解しました! 各艦に連絡!」


動きの早い小型船が蝦夷丸に迫る。蝦夷丸に乗り込んで、白兵戦を挑もうというのだろう。大型銃の射撃が始まる。約600発の弾丸が飛んでいく。


ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!

ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!


弾丸が命中した小型船は、バラバラになって沈んでいく。

小型船の後ろを追いかける中型船も同様だ。大型銃の射撃をかい潜った数隻の小型船がいたが、それも全て沈められてしまった。


「旗艦と10番艦までの艦は港の中に突入し、敵の大型船を沈めろ!」

「了解しました! 各艦に連絡!」


10隻の単縦陣で港の中に入っていく。


「大型船の400m手前で面舵おもかじ! 船舷を敵船に向けたら、大型ライフルで大型船を撃て!」

「了解しました! 各艦に連絡!」


ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!

ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!


大型船が穴だらけになっていく。しかし、隔壁構造のためか船体は傾斜するものの沈没はしない。


ここまで、お読みいただきありがとうございます。


励みになりますので

ぜひブックマークや評価などをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ