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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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海戦について2

「最後に我が国の蝦夷丸だ。この船は蒸気船だ。風がなくても蒸気の力で動くことができる。また帆もついているから風の力でも動ける。船体も頑丈だから遠海を航行しても大丈夫だ。兵もたくさん乗せることができる」


「つまり蝦夷丸なら、近海、遠海のどちらで海戦を行っても有利にいくさができるのだ。ちなみに蝦夷丸もそうだが、陸軍や海軍で使われている兵器類は、秘密の場所で作られている。場所は軍の最高機密となっている」


造船所も兵器工場も俺だけどね。俺もいずれ死ぬだろうし、大急ぎで技術者を育てないといけないのだ。そのため蝦夷州に優秀な技術者を集めて技術開発をさせているのだよ。


なんといっても、見本があるのが強いのだ。武器はもちろん蒸気機関の模型とかも置いているからね。理系の優秀な頭脳集団と、試作を担当する職人たちが寝る間も惜しんで、技術開発を行っている。いや、楽しんでいるかな。


技術開発は楽しいに決まっている。自分が元研究者だから良く分かる。

素材開発もやらせているが、まずは機構部品開発と爆薬開発に、最大限のマンパワーを注いでいる。そのせいか、この部門の技術がどんどん進歩している。


金属用のドリルの刃とか、金属加工用のバイトも提供しておいた。すぐに金属加工機械を作り出したようだ。まあ見本があれば作れるよね。金属加工機と、金属材料を提供すれば、ライフル銃もすぐに作れるようになるはずだ。


蒸気船の製作は少し時間がかかるかもしれないな。


素材、金属材料の開発は、まだまだ時間が掛かると思うので、素材、材料関係は俺が至高のスキルを使って提供している。そのうちこれも自前で開発できるに違いない。


蝦夷州の函館に作った王宮内に、研究施設、試作工場を作らせているため、何だか王宮が、前世の大学のようになっている。前世でいえば北海道大学みたいな感じかな。とにかく日本人の優秀さに期待している。俺がいなくなったら、この国を支えるのは君たちだからね。


理工系の優秀な頭脳集団たちが、彼らの子供を育てるための学校も作ったようだ。交代で優秀な親たちが授業を行うので、子供たちの教育レベルがすごく高くなっているというのだ。


アイヌの優秀な子供たちも、どんどんその学校に入学してきている。函館は研究学園都市になっていくのかな。予算もどんどん付けよう。若い頭脳集団たちは、アイヌの娘と結婚しているそうだから、蝦夷州の未来が楽しみだな。


そんな感じだから、秘密の造船所や兵器工場は、蝦夷州にあるに違いないと皆が思っているはずだ。いずれそれが本当になればいいのだ。とにかく、俺が至高の匠スキルを使わないで済むようにしておかないといけないのだ。


いかんな……違うことを考えていた。


「続ける。元々明の造船技術は世界で一番だったのだ。しかし海禁政策のせいで、海外に船で出ていくのを止めさてしまった。そのため造船技術、操船技術、航海術といった船の技術が衰退してしまったのだ。明と交易したいなら、格下の属国が貢物をもって明に来い……の方が大事だったのだろうな。もったいない話だ」


「そんなことをやっている間に、明に代わり船の技術が発展したのはヨーロッパの国だ。彼らは大きな船をいくつも建造し、略奪により得られる富を求め、欲に駆られてどんどん海外に進出していったのだ。命を落とす者もいただろうが、航海の度に船の技術や航海術が進化していくことになる」


「明も、約40から50年前には、遠くアフリカまで船を出したことがあるのだ。鄭和てい わという人物が指揮を取り、蝦夷丸の2倍以上の船が62隻の艦隊を組んだ。乗員は28000人だったらしい。白髪三千丈の国の話としても、すごい技術だったのは間違いない。船の技術の発展を考えれば、海禁政策は完全な失敗なのだ」


「目標を設定し、技術を高めていく努力を継続しなければ、技術は進化しない。もうここでいいと思えばそれまでなのだ。我らも気をつけないといけないな」


「ハイ」と、子供たちから大きな返事が返ってくる。


「我が国と明との関係は難しい。室町幕府が朝貢をしていたからな。明との交易の儲けに目くらみ、『日本は明の属国です。交易させてください』と言っていたのだ」


「まったく余計なことをしてくれたものだ。我らが明に対して『ヨーロッパ強国と同盟を組んで戦いましょう』とかいっても『属国が何を言う。まず、おまえが戦え』とか言われるだろう」


「しかし明を敵にすると、ヨーロッパ強国と戦っている最中に、背後から攻められる恐れもある。かといって属国でもないのに、明の下僕としてヨーロッパ強国と戦うのも嫌だな」


「いずれにしても、日本はもう少し支配地を広げ、属国扱いされないよう国力を高める必要があるだろう。今のままだと、明も、ヨーロッパ強国も、オスマン帝国も、まともな交渉相手として認めてくれないだろう」


「話を進めよう。ヨーロッパ強国が作るキャラック船やガレオン船は、遠海の航海に耐えられる船体の強さを持ち、多くの交易品を積めることが特徴だ。元々交易を行うための船だからな。明船よりもキャラック船やガレオン船の方が船体の強さは上なのだ」


「明船が優れているところは、隔壁といって船体を輪切りにするように、厚い仕切りが入っているところだ。つまり海戦で船体のどこかに穴が空けられても、簡単に船が沈まない工夫がされている。この隔壁という技術は尾張で作られる船には全て採用している」


「それと、子供たちは聞いていないかもしれないが、明船もキャラック船も、ガレオン船も風上に向かっても進むことができるぞ。風上に向かって、こんな具合に斜めに切り上がっていくのだ」


ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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