表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/242

武田家の最後

天文16年(1547年春)16歳


信濃の大名たちは武田家の支配から逃れようと北畠家に熱烈ラブコールを続けている。


しかし『家臣には領地をもたせず。仕事と役職に見合った俸禄を払うという北畠家の臣従条件』に従う小領主しか臣従させる訳にはいかない。


中途半端な臣従を許せば、その後の統治に支障が出るからだ。信濃の大名たちには、北畠家の臣従条件に対して……従うのか……従わないのかの2択に悩んでいる。


ところで彼らからは武田家に預けた人質の話は一向に出てこないな。

簡単に見捨てられるものなのか? 戦国時代の割り切りはすごいね。


武田家はというと甲斐で息を潜めているようだ。不気味だ……

しかし客観的に見て信玄がどう頑張っても、共闘してくれる大名はいないはずだ。


また北畠家は幕府を無視しているので、幕府の仲裁による和議も難しい。

朝廷も動かないだろう。信玄の優秀な頭脳を持ってしても、八方塞がりのはずだ。


甲斐と信濃の民たちの現状はというと。


忍者救出隊による、甲斐や信濃で困窮する民の救出活動は今でも継続中だ。救出された民の多くは、蝦夷国への移住を希望している。

つまり甲斐や信濃の農地は空き地だらけとなっているのだ……


甲斐や信濃は人口が激減中……それに伴い領主たちの米による税収も大きく減少している。しかし、逃げずに残っている領民に増税すれば、その領民も逃げ出すというどうにもならない状況だ。


従って武田家が保有する銭も底をつき始めている。


俺は武田家にトドメを刺すことにした。武田忍者の協力の元、甲賀特殊部隊に甲斐の金山を爆破させたのだ。


甲斐での最後の仕事を終えた武田忍者たちは、武田特殊部隊となるべく霧山城に向かい猛訓練を受けているところだ。


銭の切れ目が縁の切れ目。武田家から優秀な家臣がどんどん離反する。

北条氏親君には武田家臣団を、スカウトすべしと伝えている。

優秀な家臣リストも送っておいた。


武田の猛将たちも綱成さんなら使いこなせるはずだ。

それに兵を指揮できる武将が、もっとたくさん必要になるからね。


武田はもう終わりだ……もはや甲賀特殊部隊500人だけでも息の根を止められるだろう。


一方、信濃の領主や家臣たちは、日に日に領民が減少していくのを見るにつけ、もうどうにもならないことを悟る。


信濃のほとんどの領主たちから、北畠家の臣従条件を飲むので臣従させて欲しいと、次々と使者が送られて来る。


当然ながら臣従条件を飲めない領主たちは結束して蜂起する。信長はライフル隊と爆弾クロスボウ隊に槍隊から構成される旧織田家精鋭部隊5000人を信濃に送り込む。大将は柴田勝家である。


北畠家の臣従条件を拒否した領主が、片っ端から精鋭部隊に始末されていく。


再度の臣従交渉などは受け付けない。そこまでして取り込みたい人材もいない。強豪と評判の村上家も含め、綺麗さっぱり始末した。


信濃は北畠家の版図に追加されたのである。


その後、勝家率いる精鋭部隊は甲斐に向けて進撃する。

武田家はもはや優秀な家臣たちもいなくなり。要害山城に武田一族が籠もるだけである。使者を送れば殺される可能性が大なので、矢文で臣従するかどうかを確認する。


もちろん信玄が臣従するはずはないので形だけだ。

武田の最後が近いと感じた信玄は静かに考える。


連合軍を画策したまでは上出来だったはずだ……我ながら誇らしく思う。では……なぜこうなった……この連合は仕組まれたものなのか? 


北畠三蔵の手の中だったのか……


儂は今川家と北条家による三国同盟を考えていたのだ。

三家がお互いに背を預けて、武田は北信濃から越後に攻め込む予定だった。河東で北畠家が邪魔しやがったのだ。


待てよ……あそこからなのか……あの時から儂はハメられていたのか……


景虎が態々全軍を率いてきて小田原で全滅する。

おかしいだろ……三蔵……おまえは、なんなのだ。

いやもう良い……武田家の意地を示すのみ。綺麗に死ねば良いだけよ。

城には銭も兵糧も何もない。


神童か……武田の子に生まれて欲しかったな……


「明日、全軍で突撃するぞ。兵たちに目一杯飯を食わせてやれ。一族には酒だ。蔵を空にせよ」


要害山城から武田軍が整然と降りて行く。意地で集めた農民兵1000人と一族の武将のみの軍だ。


「我らは武田の意地を示すのみ。尋常に勝負せよ」

信玄が大声を張り上げる。


勝家も負けじと叫ぶ。


「北畠軍大将の柴田勝家である。信玄公。農民兵は逃してやれ。彼らが武田家と心中する義理はなかろう。一族と郎党のみで掛かってこられよ。こちらは銃を使わない。我が武将と郎党で武田家の花道を作ってやる!」


「ありがたし。農民兵は村に帰れ。4半刻後に一族郎党は突撃するぞ。準備せよ!」


勝家が武将たちを集める。

「武田は郎党含め50名程度だ。尾張の武将たちよ。武田家の花道を作ってやろうではないか。我こそはと思う武将は郎党を連れて前に出ろ!」


勝家の前に、佐々政次さっさ まさつぐ佐久間信盛さくま のぶもり河尻秀隆かわじり ひでたか坂井政尚さかい まさひさ前田利益まえだ としますといった武将が郎党を引き連れて整列する。総勢100名程度となった。


信玄が大声で叫ぶ。

「いざ参る」


武田軍が突撃を始める。北畠と武田の武将たちがそれぞれに一騎打ちを始める。武田信繁、信廉、信龍と武将たちが次々と討ち取られていく。


しかし信玄と勝家の一騎打ちは続く。優れた武芸者の戦いは見ているものの心に響く。

もうここらで十分と思ったのか信玄の気勢が落ちていく。すかさず勝家が信玄の鎧の隙間に槍を突き入れる。信玄の体がゆっくりと崩れていく。


勝家が叫ぶ。

「武田信玄を討ち取ったり〜」


……武田家が滅亡した瞬間である……


これで北畠家は近江南側、伊賀、伊勢、尾張、美濃、遠江、駿河、信濃、甲斐の9ヶ国を治めることになった。


北条家および豊穣家の領地は、伊豆や相模、武蔵、上野、越後となる。駿河の東部は北畠家に譲渡された。

信長はそれを千世の化粧料とした。


北畠家と北条家および豊穣家の領地を数えると14カ国となる。もはや誰も逆らえないだろう。


この後、豊穣家は陸奥と出羽まで徐々に領地を増やしていく予定だ。

そうなれば豊穣家と蝦夷王国は海峡を挟んでつながることになる。北畠家は西に向かい九州島津家まで徐々に領地を増やして行く予定だ。


もちろん時間は掛かるけどね。


朝廷から織田家に使者が送られる。足利家の将軍職を剥奪し、信長に将軍職を与えるためだ。信長は将軍に叙任され北畠幕府が誕生する。


信長は尾張の那古屋城を本拠地としたかったのだが、主上の切望により南近江に城を作り幕府の本拠地とすることになる。信長が選んだ場所は安土だった。


安土城の建設が進んでいく。北畠家の権力を象徴とする巨大かつ壮麗な城にしなければならない。丹羽長秀が築城奉行となり建設を進めている。


ここから暫くは、いくさから政治のフェーズとなるな。領土にした多くの国を慰撫していかないといけないだろう。


また公家、寺社など様々な旧来の勢力とも政治的につきあっていかないといけないだろう。旧勢力との政治闘争は、俺は一番が嫌だったことだ。


頼む。君に任せるよ。信長、暗殺には気をつけてよ!

オヤジたちにきっちりと護衛つけさせるからね。そういえば明智の名は聞かないな。どこかで死んだのかもね……


政治のフェーズで信長君をサポートしてくれる人材がいるな。すっかり忘れていたけど、家康くんの懐刀として活躍していた本多正信ほんだ まさのぶがいるよね。

生きていれば採用したいな。


それと氏康さんに頼んで、長綱さんも信長君のサポートに回ってもらおう。政治力ありそうだからね。


とにかく信長君頑張ってね。


……朝廷の方はというと……


「才蔵はおるか」

「は。ここに控えております。」


「義晴と義輝はどうしておる。」

大内義隆おおうち よしたかを頼り、周防国に落ちていきました。」


「そうか」

「恐れ多くも、これまでに暗殺を仕掛けられた回数が20を超えてきました。二条晴良の仕業だと思います。安全のために伊勢に移られますか?」


「この場所から朕が逃げ出すわけにはいかぬ。その方に我が命を預ける。まだ死ぬわけには行かぬ。頼むぞ!」

「承知したしました。この命に代えてお守り致します。近衛特殊部隊も増員します」


才蔵は近衛特殊部隊の長に昇進したのだ。

主上から官位ももらっている。大出世だ……


「ところで、二条晴良はどうした?」

「同じく大内義隆を頼り、周防国に落ちていきました。多くの公家が付いていったようです」


「そうか。何か企んでおるな。大内家の状況を探らせてくれるか」

「承知したしました。万事お任せ下さい」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ