第1話
あと30分程で日を超す。
社畜以外なら誰もが眠りについている時間帯。
でも、この家は近所から「眠らない家」と言われるほど電気が消えている時間が少ない。
「っしゃぁッ!俺の勝ち~」
「…煩いなぁ…。…てか、今のはぼくが、手加減しただけ…。」
この家の住人は交代で寝ているから、電気が消えるのは珍しい。
大声を上げる癖がある彩白。
無口でネット依存症の永遠。
2人とも、苗字と性別がない。
というか、此処に居る奴等全員は苗字も性別も持ってない。
「…そんな大音で、ゲームしたら、皆起きちゃうって…。」
「大丈夫だって!皆、睡眠欲だけはあるしさ。」
「…そういうことじゃないって、。」
とか会話をしていると二階からガチャ、という音が鳴った。
その後、すぐに足音が聞こえた。
足音はどんどん近づいて来て、階段から足が見えた。
(起こしちゃったかもしれん。やっば、怖いやつだったらどうしよ。絶対怒られる。)
怒ると怖いやつが当たらないことを必死に祈る彩白。
永遠は呑気に傍にあった、エナジードリンクを飲み干す。
「近所迷惑になるよ~。」
「んぁ…。」
と怒らずに苦笑を浮かべながらキッチンに足を運ぶのが琥珀。
昼型の為、めちゃくちゃ眠そうなのがクロエ。
ここにはハーフもいる。
クロエはオーストラリアと日本のハーフらしい。
「クロエ、琥珀…!お前らでよかったぁぁ…!!」
「んぇ?急にどしたん?」
急な言葉にびっくりし、はてなマークを浮かべる琥珀に抱き着いた彩白。
その頭を、母親のように撫でる琥珀の顔はとてもやさしかった。
「彩白、そろそろ寝たら?」
「そーするわ…。」
「永遠は?寝る?」
「…だいじょうぶ、。」
「夜型だもんね、w。無理しないでよ。」
のそのそと歩く彩白を見送った、琥珀は永遠にホットミルクを渡す。
ありがと、と言う永遠はゲームのコントローラーを片手で持っていた。
時計は12:10を指していて、本日の見張り当番を終えた永遠はゲームを続けるつもりらしい。
「クロエ、起こすか。」
「…そーだね、」
「だるいなぁ…。」
いつの間にか、ソファで寝ていたクロエ。
この家で一番起こすのがめんどくさい。
だが、12:00からクロエと、琥珀が見張り当番なので起こさないとだめなのだ。
「起きて。クロエ?」
「う~…、やだぁ…。」
「起きないと髪の毛引っ張るぞ。」
「それだけはやめて!」
焦げ茶色の髪の毛を抑えるクロエ。
髪の毛をいじるのが好きらしく、髪の毛のことになると何でもやってくれる。
「はぁぁぁ…、心臓に悪いってば~。」
「ごめんねって、。じゃないと起きないから…。」
「他の起こし方法ないの~?」
ずっと、文句をぶつぶつ言うクロエをずっとなだめる琥珀。
相変わらず、ゲームをしている永遠。
また死んじゃった…、と難しいかおをしていた。
「…そんな煩いと、双子、起きちゃうよ…。」
と言っても聞かないクロエと琥珀。
二階からガチャ、と言う音と共に声が聞こえた。
「…はぁ、寝よ、。」