あれはもしかして、、、
〔第三話 鬼の姿〕
鬼が放たれてからどれくらい経っただろうか。
1時間過ぎていたらいいな。
私たちは、薄暗く長い廊下を歩いていた。
最初はあんなに元気だったソウタも、今は少し俯いて黙っている。
「なぁ、ずっと思ってたんだけど、レンってなんでこのゲームのことを知ってるんだ?」
沈黙を破ったのはユウキだった。
確かになぜだろう。
「実は、中学生の頃に一度、これに巻き込まれたことがあるんだ。俺は最後までなんとか生き残って現実世界に戻れた、数人の内の一人なんだ。」
「そ、そうだったのか、、、。」
そうか。だからレンにはこのゲームの知識があったわけか。鬼の姿なども知っているかもしれない。
「じゃあ、鬼ってどんな感じなの?」
リナも同じことを考えたようだ。
「俺の時は、矢を打ってきたり斧を持っていたりしてたんだが、噂によると、毎回鬼の姿が変わるらしいんだ。だから今回は俺にもわからない。」
まさに未確認生物だ。
「ただ、共通点があるんだ。お面のようなものをつけていることと、2本の角があること。」
お面と角、、、。
なにか武器を持っているかもしれない。
今、遭遇してしまったらどうしよう。
どうやって逃げる?
走る?それで振り切れるだろうか。
そんなことを考えていると、
《きゃあああああああ!!!!》
《うわああああああああ!!!!》
突然、廊下の向こうから悲鳴が聞こえた。
思わず足が止まる。
なにがあったの?まさか、誰か鬼に、、、!
ふと声が止んだ。
ぺた、、、ぺた、、、
足音がする。それだけでなく吐き気がしそうな異臭もする。
これは、なに?
「な、なんだ?今の悲鳴。それにこの足音と変な匂い。もしかして、血か、、、?」
ソウタの声は震えている。
ぺた、、、ぺた、、、ぺた、、、
足音は続いている。近づいてきてる?
曲がり角から、何かが姿を現した。
人間ではない生き物が立っている。
「なにあれ。」
私はつぶやいた。
「まさか、、、鬼?」
ミオの声に気づいたのか、あれはこちらを振り返った。その姿を見て、私たちは言葉を失った。
血まみれの服と、よくわからないマークが描かれたお面のようなもの、2本の角。
そして、真っ赤な手に握られた、、、刀。