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BuzzばんでっどバイDEAD  作者: ゆず先輩
8/24

第1片 Stuffs Stone⑦―推理―


「心配かけてごめんね〜。」



千尋は、野々宮のタブレットの中で元気そうな笑顔を浮かべている。

昨日の夜に千尋が入院すると聞いて心配していたが大丈夫そうだ。


「大事をとっての1日入院だったんだけど、お母さんが大袈裟に伝えちゃったみたい。」

「そういうことか。」


野々宮と俺は放課後の部室で千尋とビデオ通話をしている。


「そういえば今日も瀬凪さんはお休み?」

「そうなんですよ。なんか最近忙しいみたいで。」


今日も部室には一応顔を出して来たが、すぐに用事があると言って帰ってしまった。


「音楽活動が活発なのはいい事じゃん。」

「まぁそうだね〜。あ、そろそろ切らなきゃ。」

「そうだ千尋。今日帰りに病院寄るから一緒に帰ろう。」

「え!?いいの?やったぁ!じゃあ待ってるね!」

「おう。」


あんな光景を目の当たりにしたんだ。

少しでも一緒にいてあげた方がいいだろう。


「先輩、やっぱり千尋先輩に優しいですよね……。」


野々宮は疑いの目で俺の顔を凝視する。


「た、ただの幼なじみだ。」


そう言い切ったが、何故か知らないが千尋を強く抱き締めた感触がフラッシュバックする。



……。



あれは、有事。

仕方なかったんだ。



「ふーん。まぁいいんですけどね。」



野々宮はワザと拗ねたような口を尖らせた。


そういえば、野々宮も昨日はあんなに落ち込んでいたのにもうすっかり元気になっている。


昨日麦倉さんから聞いたメェメェちゃんがバラバラ殺人の被害者だという

情報を伝えるべきだろうか……。


迷いながら野々宮の顔を見つめていると



「先輩、別に隠さなくてもいいですよ。」

「え、何が?」

「メェメェちゃんの件。警察に聞いたんですよね?」



なんだこいつエスパーなのか!?


「ほらやっぱり。先輩は分かりやす過ぎるんですよ。別にもう気にしてません。それよりも……。」

「それよりも……?」

「私たちで絶対に犯人を捕まえますよ!!」


野々宮はドヤ顔で俺にそう言い切った。

こいつ正気か……?


「捕まえるってどうやって?」

「まずは宣戦布告です!」


そう言って野々宮は俺に紙を渡してくる。


「なにこれ?」

「台本です。この内容で動画を投稿します。先輩のチャンネルで。」


なになに?

連続バラバラ殺人犯に告ぐ。

お前は完全に包囲されている……?


なんだこれ。



「いや、流石にこの内容はどうかと思うぞ?」

「もちろん私も拡散しますよ。今話題の事件ですから、きっとBuzzりますよ?

 登録者数1万人も夢じゃないです!」

「Buzzる……1万人……。」



野々宮は俺が今最も欲しているものを知っている。

人参をぶら下げられた俺はまるで道化だ。



「ば、Buzzるかな……?」

「えぇ。もちろん。」

「登録者増えるかな……?」

「もちろんですとも!」

「よっしゃやるぞ!!」



俺はカバンからマスクと白衣を勢いよく取り出した。


「ずっと持ち歩いてるんですか?それはちょっとあれかも……。」

「う、うるさいやい!どこにBuzzが落ちてるか分からないだろ!!」


こうして俺は野々宮監督のもと、宣戦布告動画を撮影しネットの海へと投稿した。


「拡散……っと!これできっと大Buzzりですよ!」

「Buzzりを超えた大Buzzり……。」



ゴクリッ



思わず生唾を飲み込んでしまう。

スマホの充電大丈夫かな?

通知が鳴り止まなくなって電源落ちないかな?


そんな馬鹿げた心配をしていたが、先に結果だけ言っておくとそこまでのBuzzは起きなかった。

しかし、フォロワー数100万の野々宮が拡散してくれたおかげでいつもの50倍以上再生数が伸びた。


自己ベストがこんな動画で俺は良かったのだろうか?

でもちょっと嬉しい。



「次はどうするんだ?」

「次は犯人の分析です。」



野々宮はホワイトボードをひっくり返した。

そこには今までの事件の情報が書かれていた。


いつの間にこんなもん用意したんだ。


「おぉ。なんか刑事ドラマみたいだな。」


野々宮はどこから取り出したのか、赤いメガネを掛け饒舌に話し始める。


「この事件が無差別殺人であるなら喫茶店のマスターはともかく、

 メェメェちゃんは殺されてないはずです。」

「と、言うと?」

「ポッと寄った喫茶店ならまだしも、自宅までわざわざ押しかけますか普通?

 ただ殺したいだけなら路上にいた人とかで充分じゃないですか。」

「た、確かに。」



メガネをクイッと上げてドヤ顔を見せてくる。



「つまり、被害者には共通点があるはずです。」

「おぉ!なんかそれっぽいぞ!」

「被害者の名前からネットで検索し色々リサーチをかけて見ました。」

「ほうほう!」

「3人目の被害者 町田洋子さんは実名でSNSをしており誕生日がなんと

 クリスマスだということが分かりました!」

「それでそれで!?」

「以上です。」



……。



「え?」

「私からは以上です。先輩何かありますか?」

「いや、被害者には共通点があるんだろ?」

「そのはずです。」

「その共通点は?」

「分かりません!」


いかがでしたかブログかよ。

分からなかったらリサーチしたうちに入らないから!


「仕方ないじゃないですか!喫茶店のマスターとメェメェちゃんはそもそも

 ニュースにもなってないんですよ?」


たしかに最新の2件はニュースサイトにも取り上げられていない。

あまりにも悲惨な事件に警察が報道を止めているのか?



「というか、そもそもなんで先輩達は喫茶店なんかに行ってたんですか?デートですか!?」

「ち、ちげぇーよ。千尋が特典のぬいぐるみが欲しいって言うからついていってただけだよ。」

「ふーん……。ぬいぐるみ?どんなやつですか?」

「どんなって、たしか山羊の……!!」



勢いよくホワイトボードの方へと振り向く。


そこには山羊の格好をしたVtuberのメェメェちゃんが描かれていた。



「山羊……、なのか……?」

「山羊?」



俺はホワイトボードに近づき、他の被害者の名前を注意深く観察する。



「あった……、細山羦慈。山と羦に山羊の文字がある…。」



野々宮は俺の逼迫した表情を見て、ことの重大さに気づき一緒にホワイトボードにかじりつく。



「待ってください!山羊は英語でゴートです。2番目の被害者は後藤光さんです!」

「まぢかよ……。3番目の被害者の町田さんは?」



野々宮は何かに気づいたのか、スマホで検索を始める。


野々宮は答えが出たのか、スマホを触る指が止まる。

止まったはずのその指が、次第に震えだす。



「町田さんの誕生日はクリスマスの12月25日……。山羊座です……。」

「嘘だろ……。」



二人の間で嫌な沈黙が訪れる。


「山羊を連想する人を次々に殺害しているんですか?何のために?」

「分からない。でも偶然にしては出来すぎてる。」



拾い集めたピースがどんどんはまっていき、ひとつの答えを導き出した。



「それじゃあ次も?」

「恐らく……、!!」

「ど、どうしたんですか!?」



俺はとんでもないことに気づいてしまった。

いや、今気づけてよかったのかもしれない。



「千尋が危ない……。」

「え!?千尋先輩が!?」

「千尋の苗字は八木。次のターゲットは八木千尋だ!!」



俺は千尋が入院している病院へと全力で走り出した。



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