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BuzzばんでっどバイDEAD  作者: ゆず先輩
7/24

第1片 Stuffs Stone⑥―事件―


俺たちの目に飛び込んできたのは、

真っ赤に染った店内と、バラバラに身体を引き裂かれたマスターの姿だった。



「な、なんだよこれ!!」

「ウプッ……、オェェェ……!」



頭が追いつかない。

なんで?なんでマスターがバラバラに!?


「け、警察に連絡しないと!!」


ポケットから携帯を取り出そうとするが、手が震えて上手く取り出せない。


「く、クソッ……!!」


携帯がポケットから飛び出し、地面の血溜まりに落ちてしまう。


「う……うぅ……。」


千尋はあまりのショックに吐き出してしまっている。

俺は血溜まりから携帯を持ち上げ、警察へと連絡する。


耳に血がつき、気持ち悪いがそんなこと言ってられない。



「じ、事件です……!喫茶店でバラバラ殺人が起きてます!!」



俺は電話を終えて、千尋を抱きしめる。

千尋は小刻みに震えていて、強く抱きしめて置かないと消えてしまいそうだった。



「だ、大丈夫……、大丈夫だから……!」



目の前の現実離れした現状に吸い込まれないよう、

目を瞑って抱き合いただお互いの存在を確かめあっていた。



俺たちの暗闇の世界は突如、警察の声によって崩壊した。



「警察です!大丈夫ですか!?」



入口には、ドラマでしか見たことないような数の警察官が駆けつけていた。



「君が通報してくれた子だね。」

「は、はい……。」

「もう大丈夫だから。」


その言葉に安堵して、俺は全身の力が抜けてしまった。



「おい麦倉!この子達の保護してくれ。」

「はーい。」



警察官は後ろを振り向き、スーツ姿の女性に声を掛けた。

俺が座り込んでいるからか、近寄ってきた女性がとても大きく見えた。



「僕、立てるかな?」

「は、はい。でもまず千尋を!」

「大丈夫だよ。見た感じ女の子は一応病院行っとこうね。」



女性は俺に手を差し伸べ、起き上がらせると奥のテーブル席へと導いてくれた。

千尋は違う女性警官に喫茶店の外へと優しく連れていかれた。



「千尋は大丈夫なんですか?」

「うん。大丈夫だよ。ちょっとショックが大きかったみたいだけどさ。」



女性は優しく微笑んだ。

まるで子供を相手にしているかのようだ。



「僕、少し話せるかな?」

「は、はい。あと俺は卜部です。」

「あ、そうだね!ごめんごめん。お姉さんつい子供扱いしちゃった。高校生かな?」

「はい。そうです。」



そこで目撃した時の事や、何か変わったことがなかったかなどいくつか質問を受けた。

話をしていて気づいたが、俺が座り込んでいたから大きく見えたのではなく、実際に身長が高い。

でもスラッとしているので、威圧感は感じない。


「なるほどねー。メェ太郎くんが欲しくて来たんだね……。

そうだ!喉渇かない?ちょっと水取ってくるよ。」

「え?」


そういうと女性は、殺人現場のカウンターにちょこちょこと出向き、コップに水を入れ出した。



「おい麦倉!てめぇなにやってんだ!!」

「だって喉乾いたからー。」

「馬鹿か!!てめぇは!!現場保存だろうが!」



な、なんなんだこの人……?



「ごめんねー。怒られちった。」


彼女は席に戻りながら満点のテヘペロを見せてきた。

俺を安心させるためにワザとおどけて見せたのか、それともこれがこの人の素なのか?


この人になら話しても大丈夫かもしれない。



「麦倉さん。ちょっと気になってることがあるんですけど。」

「んー?なに?お姉さんになんでも聞いてみなー。」

「これって例の連続バラバラ殺人ですよね?」



俺の言葉を聞いて、彼女は表情を一変させた。



「なんで、知ってるの?」

「!?」



先程の子供のような笑顔は消え、一気に大人の顔へと変貌した。



「どうしてそれを君が知っているの?」

「い、いえそれはその、ここのマスターが話していたから!」

「なるほどね……。」



彼女は俺の目を真っ直ぐ見つめてくる。

そして、顔をゆっくり伏せ腕を組む。


やっぱり話すのは不味かったか……?

彼女の表情が見えず、ただならぬ空気が二人の間で流れる。


しかし、その空気は以外にも彼女の一言で一瞬にして崩壊する。



「実はお姉さん、この店の常連なんだよね!」

「へ……?」

「いやー、マスターには絶対言っちゃダメだよって言ってたのになー。」

「はへ……?」

「操作情報を流したとなると汚職刑事になっちゃうよー。卜部君、この事は2人だけの秘密だよ。」

「は、はい。」



そういう事だったのか。

てっきりマスターが犯人だと疑っていた。


麦倉さんがマスターに情報を漏らしていただけだったのか。

でも、この人なら他にも色々と聞けそうだ。



「もしかして、昨日もバラバラ殺人事件があったんじゃないですか?」

「おぉ、卜部君グイグイくるねー。まぁそうだよ。なんだっけ?バーチャル配信者?みたいな人。」



やっぱりそうだったのか。

メェメェちゃんはこの一連の事件に巻き込まれたんだ。


野々宮になんて伝えたらいいだろうか……。



「ここんとこ毎日でさー。お姉さん疲れちゃったよ。

 現場もバラバラで犯人の足取りも掴めてないのよ。」

「そうなんですか……。」



毎日どこかでバラバラ殺人事件が起きている。

普段ニュースなんて気にしていなかったが、この状況は異常だろう。



「おい!麦倉!ちょっとこっち手伝え!」

「はいなー。呼ばれちゃった。卜部君もう大丈夫そう?」

「はい。もう大丈夫です。ありがとうございました。」

「それじゃ気をつけて帰るんだよー。」



こうして俺は喫茶店を出て、家に帰ることにした。


家に帰ると母親が心配そうに出迎えてくれた。

警察から連絡があったようだ。


そして、母親から衝撃の事実を知らされた。



「千尋ちゃん、入院するって!」

「え……?」

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