表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BuzzばんでっどバイDEAD  作者: ゆず先輩
6/24

第1片 Stuffs Stone⑤―予感―


「私はキョーコ。敵でも味方でもない何か。」



キョーコの言葉も全く理解できなかった。

でもそれ以上に聞きたいことがある。



キョーコはいつか俺が見た学校の屋上から飛び降りた女の子だった。



先に公園を出たキョーコを追って、出口まで走ったが既に彼女の姿は消えていた。


「き、消えた……?」


彼女が公園を出てから3秒も経っていないのに、瞬間移動したとしか考えられない。

さっきのは幻だったのか?

でも、さっきまで顔に付けていたマスクを今手に持っている。


「あ……。」


公園の中に目をやると、寂しそうに悪魔降臨セットと三脚がポツンと地面に転がっていた。


「今日は帰るか……。」


こうして俺は、撮影の途中だが、家に帰ることにした。




「ふぁ~~。」

「ひろくん、すごいアクビだね。」

「気になることがあって、なかなか寝付けなくてさ。」



家に帰ってからもキョーコの1件が気になり、寝不足だ。

千尋は元気そうにしていることから、おそらく愛犬の体調は良くなったんだろう。


「今日またメェ太郎のところ、付き合ってくれる?」

「もちろんいいよ。」


今日はマスターとの戦いか。

まぁでもこれで気になってる事の1つが解決するのだから良しとしよう。



「卜部先輩大変です!!」

「!?」



俺たちの教室のドアが轟音と俺の名前とともに開いた。

一気にクラスメイトの視線が俺に集まる。


そこには小さな猛獣、野々宮の姿があった。



「な、なんだよ野々宮。」

「大変なんですよ!!メェメェちゃんがぁ!!」


ズカズカと上級生の教室に野々宮が入ってくる。

根性据わってんな。こいつ。



「その話今じゃないとダメか?放課後でもいいだろ?」

「今じゃないとダメなんです!今すぐがいいんです……。」



そう言うと野々宮は目から涙を零した。

クラスメイトから コイツ女の子を泣かしたぞ という空気が流れ出す。



「わ、わかったよ!千尋、ちょっと行ってくるから。」

「う、うん。」



俺はいても立っても居られず野々宮と一緒に教室を出る。

堂々と廊下で授業をサボる訳にもいかず、俺と野々宮は部室まで足を運んだ。



「で、どうしたんだよ?」

「こ、これ見てください……。」



野々宮は自分のタブレットを差し出してくる。

そこに映っていたのは、野々宮が推しているVtuberのメェメェちゃんだった。


「メェメェちゃんの録画?」

「はい。昨日の配信のです。」


そう言って野々宮は画面をタップして動画を再生させた。



「はーい。と、言うとこで配信も終わりにしようと思いまーす。」


そこには元気に配信するメェメェちゃんの姿が映っていた。



ピンポーン



すると、玄関のチャイムのような音がなった。


「ん?誰か来たみたい。宅急便かな?ちょっと見てくるから待ってて!」


メェメェちゃんはマイクをミュートにして玄関の方へと駆けていったようだ。

バーチャルの皮は魂が抜けたようにダランと項垂れている。



「ん?普通の配信じゃないの?」

「この後です!」

「!?」



突如、バーチャルの皮に魂が戻ったようにメェメェちゃんは動き出した。

しかし、マイクはミュートのままだ。


メェメェちゃんは激しく腕を振っている。

まるで、誰かの攻撃に抵抗するかのような動きだ。



「こ、これは……。」



声が無くてもわかる。

誰かに襲われている……!


モーションキャプチャ技術の進化がより如実に現場の悲惨さを表している。

そしてその仮説を決定づけるようにメェメェちゃんの声が一瞬だけ届く。



「た……すけ……て……。」



その声と同時に配信は終了した。

間違いない。これは事件だ。



「メェメェちゃんの安否は!?」

「分からない……。企業にも属してないから連絡のしようがないみたい……。」

「そんな……。」



この事件もこれまでのバラバラ殺人となにか関係があるのか?

これはますます珈琲店のマスターに聞き込みを入れないといけない。


俺は野々宮が落ち着くまで一緒に部室の中で過ごした。




そして、放課後。



「よーし!メェ太郎をゲットしに行くぞぉ!」

「お、おぉー。」


千尋はあからさまにテンションを上げている。

今日1日俺が浮かない顔をしていたからだろうか?


千尋だって朝の野々宮の一件が気になるだろうに、それをあえて聞かないでいてくれている。


本当に千尋は優しい子だ。

それには答えてやらないとな。


「よし!行くぞ千尋!どっちが先か競走だ!」

「あ、ちょっと待ってよぉ!」


俺は、千尋を置いて喫茶店の扉へと駆けていく。


マスターからバラバラ殺人の件を聞かないといけない。

何故マスターが被害者がバラバラにされているという

ネットにも落ちていない情報を知っているのか。



カランコロン



俺は千尋より先に扉を勢いよく開いた。


「マスター!コーヒー2……つ……、」

「ちょっとひろくん早いよぉ!……え……。」



俺たちの目に飛び込んできたのは、



真っ赤に染った店内と、バラバラに身体を引き裂かれたマスターの姿だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ