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BuzzばんでっどバイDEAD  作者: ゆず先輩
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第1片 Stuffs Stone③―日常―


殺人事件のことが気になりすぎて、昨夜はなかなか寝付くことができなかった。

急いで学校に向かう道中PTAの奥様方が、小学生の登校を見守っている。


昨日のマスターの話を聞いて、妙に意識してしまう。



(まだ犯人が捕まってないみたいでさ。)



俺は頭を振って回想を吹き飛ばし、学校へと急いだ。

教室に到着し、席に着くと千尋が話しかけてきた。



「ひろくんおはよう。ニュース見た?怖いよねぇ。」

「ニュース?ごめん、遅刻ギリギリだったから見てないや。」

「えぇー!この街で殺人事件が起きたんだよ!」

「!?」



俺は慌ててスマホでニュースを確認する。



「ほ、ほんとだ……。」



ネットニュースには、俺たちの街の名前と被害者の名前が書かれていた。


被害者は、町田 洋子さん28歳。

手口の同一性から一連の連続殺人犯による犯行と見られる。


細山羦慈さん、後藤光さんに続く3人目の被害者を出してしまい、警察当局は捜査を急いでいる。


ネットニュースやSNSを見てもどこにもバラバラ殺人の内容は書かれていない。


なんでマスターはバラバラ殺人だということを知っているのか?


それともただの嘘なのか?


でも嘘をついてるような顔には見えなかった。

これは本格的にマスターに聞かなければならないな。



「千尋。今日もコーヒー飲みに行くよね?」

「ごめん!今日は行けないの。朝からシュナが体調悪くてー。」

「そっか。ならまた今度にしよっか。」

「うん!ごめんね?」



1人で行ってもいいんだけど、どうせなら千尋と一緒の時の方がいいだろう。

まぁ、正直1人で行くのがなんだか怖いってのもあるけど。



いつも通りに授業を聞き流して放課後となった。


朝は殺人事件の件でクラスの話題は持ち切りだったが、

放課後となるともうほとんど風化されていた。


ガラガラ


「先輩大ニュースです!」

「うわぁ!?」


部室の扉を開いた途端、小さな怪獣が突進してきた。



「なんだよ、野々宮。」

「大ニュースですよ!大ニュース!」



興奮冷めならぬ状態で、俺の手を引っ張って自分のパソコンの前に俺を連行する。



「見てくださいこれ!」



そこにはお気に入りのVtuberの配信画面が映し出されていた。



「この前言ってたメェメェちゃんだっけ?」

「そうですけど!ここ!スパチャ!」



スパチャとは、配信者へコメントと一緒にお金を提供できる、投げ銭システムのこと。

コメントを読まれると嬉しいので、ファンはどんどんスパチャを投げ込むそうだ。



「うわ、ハンドルネーム神絵師って……。」

「突っ込むところはそこじゃないです!メェメェちゃんにスパチャ読まれたんです!」



要約すると、野々宮は推しのVtuberにスパチャを読まれた嬉しさを

スクショを撮って俺に自慢しているようだ。


いくら嬉しかったとはいえスクショを撮るかね……?



「あれ?でも500円じゃん。読まれたかったらもっと投げればいいのに。」

「そう!そこがポイントなんですよ!卜部先輩、意外とやりますね。」



なんだこいつムカつくな。



「スパチャを読まれるために1万円を投げることは簡単ですが、

本当のファンだからこそ高額スパチャは記念日に取っておきたいものなのですよ!!」



彼女曰く、高額スパチャに慣れてしまうとお金を稼ぐことが主になってしまい、

過剰なファンサービスやあざとい行動を取るようになってしまう。


本当のファンなら推しの性格をねじ曲げてまで自己顕示欲を満たしてはいけない。


だそうだ。よくわからん。



「えへへー。メェメェちゃんに読まれて嬉しい〜。」



野々宮は満面の笑みを浮かべる。

いつもその顔をしてれば可愛いのに。



「あれ、そういえば瀬凪先輩は?」

「あぁ、なんかさっき今日は用事があるって顔だけ出して急いで帰っちゃいました。」

「千尋も今日は愛犬の調子が悪いからってもう帰ったよ。」



その言葉を聞いて、野々宮はピクリと反応した。



「それじゃあ今日はふたりっきりですか……?」

「まぁそうなるね。」

「ふーん……。」



野々宮はそう言って、気にしない素振りでタブレットに絵を描き始める。

俺も動画のネタを探すため、スマホでネットサーフィンを始めた。


お互い黙っていても気まずくないこの空気感は非常に楽だ。


すると、野々宮は絵を描きながら口を開いた。



「先輩って千尋先輩と付き合ってるんですか?」

「ぶふっ!」



丁度、ジュースを飲んでいる時だったので思わず吹き出してしまう。



「な、なんだよ急に。」

「いや、2人とも仲がいいので付き合ってるのかなーって。」

「千尋とはただの幼なじみだよ。それ以上でもそれ以下でもない。」

「ふーん……。そっか。」



タブレットで見えなかったが、野々宮が少し笑ったように感じた。


そうだよな。

俺と千尋はただの幼なじみ。

それ以上でもそれ以下でもない。はず。



ネットサーフィンにも飽きてきたので、本棚に置いてある漫画でも読むか。


本棚の漫画に手に取り、椅子に戻ろうとした時野々宮のタブレットの画面が少し見えた。



「ちょ、ちょっと覗かないでくださいよ!!」



野々宮はそれに気づいたのか、必死で画面を隠した。

俺が見た限り、そこには椅子に座り、スマホをいじるイケメンが描かれていた。



「み、見ました……?」

「いや、見てないよ。」

「覗きは犯罪ですからね!!」



見てないって言ったのに……。

こうして2人で放課後を過ごした。



「ただいまー。」

「おかえり。あんた宛に荷物届いてたよ。たしかコトリバコだっけ?」

「いや、コトリバコ届いてたら終わりだから。」



無知ほど恐ろしい物はない。

コトリバコ程の呪いの物が届いていたら、恐らく母さんあんた死んでるよ。


俺は階段を上がり、自分の部屋の扉を開く。

すると、俺のベットの上に真っ黒な箱が置かれていた。


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