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BuzzばんでっどバイDEAD  作者: ゆず先輩
2/24

第1片 Stuffs Stone―日常―

俺は動画サイトの【Metube】にてmetuberとして活動している。


動画の題材は、主に都市伝説や言い伝え、心霊現象などなど多岐にわたる。

白衣をまといマスカレードを着けて実写で動画を撮影している。


チャンネル登録者数は500人。

SNSの【Twippo】のフォロワーが5000人おり、

単純計算で10人に1人が登録してくれている計算になる。


なので面白い動画を投稿することはもちろんのこと、フォロワーを増やす活動も怠らない。

日々、パズる話題を探している。



「あ、5先輩いつものやりましょうよ。」

「なんだよ、5先輩って。」



後輩で神絵師の野々宮が俺を変なあだ名で呼ぶ。



「フォロワー数5000人だから5先輩ですよ。」

「てめぇ!よっしゃ、やってやろうじゃねぇか!」



野々宮はなにかにつけて俺をいじってくる。

後輩のくせに生意気だ。



「私も参加するよ。」

「私もー。」



Buzz部のメンバーが全員参加を表明する。

いつものと言うのは、我部伝統のTwippoを使用した【Buzzり合い】。


制限時間は1時間。


制限時間内でより多くのいいねと拡散数を得た者が勝者だ。


投稿数は無制限。

制限時間内であればいくつ投稿しても構わない。


最下位は全員にジュースを奢らなければならない過酷な競技だ。



「5先輩、いちごミルクでいいですよ。」

「私はコーヒー。」

「お茶かなー?」

「まだ始まってもないからね!?」



いつもであれば財布の中身の心配をし始めるところだから、今回は一味違う。



「それじゃあ始めようか。よーいスタート!」



俺は開戦の合図とともに部室を飛び出した。



「もうジュース買いに行くんですかー?」

「ちげーよ!」



今日の為に俺は屋上にある仕掛けをしていた。



「ふふふ。」



俺は屋上の貯水タンク周りに引いておいたブルーシートを思いっきり引っ張る。


バサッ!


そこにはチョークで魔法陣をデカデカと書き込んでおいたのさ!



「いいぞ。これはBuzzるぞ……。」


パシャッ



スマホで写真を撮影し、Twippoを立ち上げる。



「いや、学校の屋上で悪魔召喚しようとすな!……っと。完璧だ……。」



自作自演にも程があるが、これはルール無用のBuzzり合い。

勝つためなら何をやったっていいんだ!



俺は勝利を確信し、スマホから顔を上げると視界の端に女の子の姿が写った。



その女の子はフェンスの向こう側に立っており、空を見上げている。



「おいおいマジかよ……。」



屋上のフェンスの向こう側にいるということは、これから起こることは1つだけ。



ドクンッ



心臓の鼓動が強くなる。

体温が急激に上がり、声を出そうとするが緊張からか口から出ていかない。


こんなこと経験したことがない。


ダメだ……、このままじゃ本当に飛び降りてしまう!!

心から湧き出た正義感が口につっかえていたものを溶かしていく。



「ちょ、ちょっと待って!早まるな!」



女の子は俺の声に気づいてこちらを向く。

これから実行する恐ろしい行為に反してその顔は、笑っていた。



そして次の瞬間、女の子はなんの躊躇もなく前に体重を傾けてゆっくりと落ちていく。



「嘘だろ!?」



俺はフェンスに向かって全力で駆けていく。

しかし、間に合うわけがない。


視界から女の子は消え、数秒してからフェンスにたどり着く。


フェンス越しに下の様子を確認する。



しかし、そこに女の子の姿はなかった。



「え!?」



俺は堪らず屋上を抜け出し、階段を駆け下りた。



「ありゃ?トベっちどーしたの?」

「人が飛び降りたんです!」

「うそっ!?」



廊下を散歩していた瀬凪先輩を連れて、俺は現場へと急行する。


とんでもないものを見てしまった。

脳裏にまだあの光景がこべりついている。


下に死体がないことも不可解だ。

無事ならいいのだが、直接確認しないといてもたってもいられない。



「なにもないじゃん。」

「本当なんですって!あそこから飛び降りたんですから!」



俺は上を指し屋上の方を向く。



「見間違いじゃないの?」

「いえ、確かにこの目で見たんですよ……。」

「きっとトベっち疲れてるんだよ。でも良かったじゃん。本当に飛び降り自殺じゃなくてさ。」



瀬凪先輩は優しく俺をフォローしてくれる。

たしかに学校で飛び降り自殺が起きなくて本当に良かった。


でもそれならさっき見たのは一体何だったんだろう。


昼間から狐にでも化かされたのか?

瀬凪先輩の言うように疲れているのかな。


俺は瀬凪先輩に促されながら部室へと戻って行った。


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