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《変な先輩》  作者: 雪
4/6

《     》

僕には嫌な先輩がいた。


僕は入社した当時の事。僕は電車通勤だった。ただ、朝から満員電車に乗らなきゃいけないのが予想以上に苦痛で2ヶ月でリタイアしてしまったけれど。


慣れない仕事に悪戦苦闘、上司は厳しい人で怒られながら僕は頑張っていた。そんな荒波に揉まれ苦しんでる僕に妙に馴れ馴れしく接してくる先輩がいた。その先輩が帰りは車で送ってくれることになる。


会社からの最寄り駅は歩いて15分程かかるところにあって、

定時に終わって走ったとしても、最速で帰れる電車に間に合わない事が多々あった。


正直、送ってもらうことになり本当に助かった。その先輩は人が良さそうだし、何となく親しみやすかった。


しかし、それは甘い考えだった。この先輩のおかげで僕は、仕事終わりもストレスを抱える事になる。


仕事が終り帰宅の準備をしていると、先に準備を済ませた先輩が僕に「帰るぞ。」という。

僕はまだ準備が済んでおらず、「ちょっと待ってください」なんて会話をしていた。


するといきなり先輩が威圧的な態度で「10…9…8…」とカウントダウンを始めた。0になると置いて帰るぞという脅しだろう。若くペーペーだった僕は急ぐフリをしながら、なんとか間に合わせた。


普段は、(優しい先輩だなぁ)と思っていたが実は違った。

彼は、弱いモノに強く、強いモノに弱いの典型だったのだ。

(最悪なのに捕まった。でも電車間に合うならいいやー。)ぐらいの気持ちで我慢することにした。


車に乗り込みシートベルトをする。車は発車しない…。どうしたんだと思っていると先輩が「お願いしますは?」と無表情で言ってきた。まぁ確かにそうだ、これは僕が悪い。しかし、ペーペーの若者にこんな態度取るだろうか…。とりあえず「お願いします」と言うと車が発進した。


駅までは車だと3分くらいだ。その車の中でも先輩はイキっていた。

説教タイムだ。しかもあまりにも理不尽な説教をだ。彼は、その短い3分間を余すことなく使い切り説教をしてくる。

そして到着すると「おつかれ。」と不機嫌そうに言って、バルタン星人を倒したウルトラマンの如く颯爽と帰っていく。


3分が彼の活動限界なのかもしれない。



そんな地獄の送迎が1ヶ月ぐらい続くと、先輩の素性がわかってきた。常識に疎くみんなにいじられ、彼女は居たことがなく、インターネットを解約するのにLANケーブルを引き抜きそうな感じの人だ。


先輩は公私で溜まったストレスを僕で発散していたのだった。


とんでもない先輩だ。僕の中で嫌な先輩が変な先輩に変わるのにそう時間はかからなかった。


僕はそんな先輩が好きだ。社長との面談で「要望はないか?」と聞かれ「休日をもっとください。土日祝じゃ足りません!」と、クビを覚悟したともとれる一言を言い放った先輩が好きなのだ。


ありがとう先輩。これからもよろしく。


《変な先輩4》

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