表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードゲームは卒業したのにTCG学園に放り込まれたんだが ~イカサマ王と呼ばれた俺はカードゲームなんかしたくない~  作者: ゼ二平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/43

第15話 理事長とT組の謎

「あっ、紙手さん……」


「待ってた」


 葉月先生との面談を終え、教室で待ち構えていたのは、不満たっぷりといったオーラを醸し出している紙手さんだった。慌てて言い訳をする。


「葉月先生に呼び出されたんだよ。月一面談だとかで……あ、嘘じゃないよ?」 


「わかってる。嘘じゃない」


 わかってくれたようだが、彼女は納得しない。


 「でも。私はあなたと対戦したいのに。ずっと避けられてる」


 葉月先生曰く、俺と対戦したくてしょげていたらしいし、今も顔はいつもの無表情だがなんとなく寂しそうな、そんな印象を受ける。


「わ、わかったよ……対戦しよう」


「やった」


観念して対戦台に向かおうとしたのだが、残念ながら間が悪かった。


「19時だ。試合中でない者はさっさと出ていけ。試合中の者も終わり次第速やかに退室しなさい」


 教師の1人が入ってきて、下校時刻を告げた。

 この教室は19時になるとこうやって閉められてしまうのだ。

紙手さんは心なしか嬉しそうだったのに、一気に不機嫌そうなオーラを出して、チッと、教師に向かって舌打ちをした。先生から睨まれているが、本人はまったく気にしていないようだ。


「明日は。絶対」


「あ、うん、明日ね……」


 そう言うとさっと教室を出て行ってしまった。


「やれやれ……」


「そこ! 私語は慎め! さっさと出ろ!」


 乱暴な物言いだが、葉月先生以外の教師はだいたいこんなものだ。

 一応審判ジャッジの役目をすることもあるが、ゲーム内のルールに関する質問は葉月先生が対応する。カードゲームに興味も無さそうだ。

 ため息をつきながら廊下に出る。

 それにしても。


 「なんで、こんな学校作ったんだろうな……」


 「むむ? こんな、というのはどういうことだい?」


 誰かに言ったわけではなかったのだが、近くにいた武束に耳ざとく俺の独り言を聞かれてしまったようだ。近づいてきて話しかけてきた。

 そのまま2人で校門に向かって歩き出した。


 「……カードゲームで全てを決める、何でも願いが叶う、なんて普通の学校じゃないじゃない?」


 「うむうむ。確かに。だが学校自体は数十年前からあるさ。T組ができたのは理事長が変わった5年前さ」


 「……理事長が変わったんだ?」


 「ああ。前の理事長が年齢を理由に引退して、今の理事長になったわけだけど……噂では理事会から相当嫌われているらしいさ」


 「……嫌われてる? なんで?」


 「なんせ、彼らからしてみれば伝統ある学校でTCGなんてお遊びをするだけのクラスを作られてしまったわけだからね。僕らにとっては天国だけどさ」


 なるほど。その新理事長が主悪の根源というわけか。

 まだ会った事もないし見た事もない理事長に怒りが湧いてくる。


「……でも、そんな理事長、追い出されたりしないわけ?」


「それが、その理事長が政界や財界にも通じている超大物で手出しができないとか。それまでは普通の進学校だったこの学校も、ここ数年で学校の設備も規模もとんでもなく大きくなったわけだからさ」


「ははぁ……お金の問題か」


 金金言っていた寺岡の事を思い出す。どこの世界でも金は大事ってことか。


「だからこそ、理事会側のせめての抵抗でT組の存在はできるだけ隠されているのさ。外部への情報はできるだけ遮断され、学校の案内にも記載されていない。外に出ている情報は風の噂程度。僕らが通常クラスの生徒達と一緒に入学式をしなかったのは、まぁそんな理由だろうね」


 俺と奏星がT組の存在を知らなかったのは、そんな理由だったのか。


「なるほどね……まったく、どこの誰だか知らないけど、余計なことをしてくれたもんだよ……」


「おやおや、優馬殿は理事長に会った事がないのかい? T組のメンバーは全員理事長自らスカウトしているはずなのだが」


「え? そうなの? ……俺は会ったことないよ」


 なんで俺にはそういった説明が無かったんだろうか。何か特別な事情でもあるのか……。

 武束は首を傾げて言った。


 「ふうむ? 写真ならあるよ。見てみるかい?」


 そう言ってスマホの画面を見せて来た。

 学校のホームページに載っている写真だったが、30代後半か40台ぐらいのキリッとスーツで決めた男が映っていた。


「……ん?」

「どうしたんだい?」


 写真を見て、なぜか既視感がある……というか、会った事がある人が、全然違う恰好をしているような。


 「いや、知り合いに似ているような気がしたんだけど……まさかね」 


 よくあることだろう。他人の空似なんて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ