午後のひととき
素人の拙い作品ですがよろしくお願いいたします。
午後のゆっくりと日陰になっていく時間に一人の男が微睡んでいた。
その男は椅子に腰掛けながらテーブルの上に置かれた紅茶を飲みながらただひたすら景色を楽しむように眺めていた。
「いやーここから見る景色はいつ見ても最高だよ!」
そんなことを呟いた男の名前はコウ。
黒髪に黒目、中肉中背で世間一般的にはもてる外見だ、そして服装はスーツを着崩した独特の格好をしている。
そして景色をひたすら眺めてボーッとしていると急に後ろの方から名前を呼ばれた。
「コウ様、紅茶のおかわりはいかがですか?」
声をかけてきたのは数年前から一緒に暮らしている幼女のメイだ。
「ああ、いただこう!」
「はい、わかりました!」
メイはそう言うと笑顔になりながらカップに紅茶を注ごうとした。
その時だった
「痛っ、熱いです」
メイは紅茶を入れようと動き出した瞬間につまずいて転び、持っていた紅茶をその場にぶちまけてしまったのだ。
「コウ様、すいません、わ、わ、わ、私、ドジで本当に恥ずかしいです」
メイは顔を真っ赤にしながらしきりにコウに向かって謝っていた。
「メイ、ケガはないかい?、紅茶はまた作ればいいけど、メイがケガをしたら大変だからね!」
コウはメイに向かって微笑みながら言った。
するとメイは真っ赤だった顔から急に笑顔になった。
「コウ様、心配してくれてありがとうございます!、急いで紅茶を作って持ってきます!」
「メイ、急がなくていいから!、ゆっくりでいいよ!」
コウはそう言ってメイの去っていく姿を見てあることを思い出していた。
そういえばこの前も同じミスをしていたな、でもこういう日常が楽しいと思っている自分がいる。
なんとも不思議な感覚だ。
そして無事に紅茶を入れて二人で椅子に腰掛けながら日々の会話を始めた。
「コウ様、今日も色々なお話をしてください!」
「そうだな、じゃあ今日はスローライフについて話そう!」
コウはひとしきり考えた後、そう切り出した。
コウにとってのスローライフとは好きな時間に寝て、好きな時間に起きる、そして時間がゆっくり過ぎるのを感じながら1日を終える、そして何よりも大事なのがお茶会の時間だ。
お茶会と言っても色々とあると思うがコウにとってのお茶会とは堅苦しいものではなく、気の会う者同士が集まって日々の何気ない会話するという楽なお茶会だ。
「メイ、スローライフとはなんだと思う?」
コウは問いかけるようにメイに向かって言った。
「スローライフですか?、ちょっと難しいです、よくわかりません」
メイは困ったような表情でコウを見た。
コウは考える素振りをしながらテーブルの上に置かれたタバコに火をつけてから言葉を発した。
「メイ、スローライフとは日々の生活をゆっくりと過ごすと言うことだ!、毎日毎日忙しく生きるんじゃなくてゆとりがある生活、それに尽きる!」
「つまり、あれですか?、ゆっくり生活すればいいんですか?」
メイは首を傾けながらコウに投げ掛けた。
「まあ、極論を言えば、そう言う事だ!、だが!勘違いするなよ、ゆっくり生活といってもだらけた生活は駄目だ、それに生活していくにはお金が必要なんだ!」
「お金ですか?、いっぱい必要なんですか?」
「まあ、ここに住んでいる分にはそんなに必要ないかな!、ここは田舎だしね!」
「コウ様の話は面白い時もあれば、難しい時もありますね!、でもコウ様の話を聞くのは大好きですね!」
メイは満面な笑みで答えた。
コウはそんなメイを見て少し照れた表情をしたがそれを顔には出さず満足そうに頷いて見せた。
このメイという幼女は何故かメイド服を着ている、金髪のショートヘアで右目は髪で隠れている、そして髪で隠れていない方の目は青色のオッドアイだ。
容姿的にまだまだ子供っぽさがあるが将来は美少女、もしくは美人になるであろうと思う。
その後も面白い話や難しい話を混ぜながらゆっくりと会話をした。
「メイ、ところでそろそろ午前中に干して乾かしている洗濯物を入れなくていいのかい?」
「あ、そうでした、すっかり忘れてました!、すぐ入れてきますね!」
メイはそう言うと洗濯物が干してあるであろう所に小走りで向かって行った。
そしてコウは紅茶を一口、口にふくみ、手に持っていたタバコをテーブルの上に置いてある灰皿でもみ消した。
その時だった、メイがいるであろう方向から叫び声が聞こえた。
「あー駄目です、洗濯物が飛んでしまいました!、待ってください」
コウはメイの声がした方を見てみると干していたであろう洗濯物ものが強風によって飛ばされている状況だった。
コウはまたいつもの事か、と思いながら一瞬でその場に移動し瞬く間に洗濯物を回収した。
「コウ様、いつもありがとうございます!、何故かいつも洗濯物を入れようとするといきなり強い風が吹くんですよ!」
メイは自分のせいではないと言わんばかりに言った。
「まあ、これくらいはなんともないさ!」
「コウ様は本当に何でも出来て凄いです、それでいて優しいですし!」
そしてコウは回収した洗濯物をメイに手渡して再び椅子に座りながら景色を眺めていた。
コウにとってメイが巻き起こすトラブルはもはや日常と言っても過言ではない。
だがそんな日常が心地いいと感じている自分がいるのも事実だ。
メイが洗濯物取り込んで小走りでこちらに向かってくる姿が見えた。
「コウ様、洗濯物終わりました!」
「ああ、メイご苦労様」
コウはそう言うとメイの頭を優しく撫でた。
「えへへ!、でもまたコウ様に助けてもらいました、まだまだ頑張らないといけないです」
撫でてくれたのが嬉しかったのかメイは満面な笑顔で答えた。
コウはその笑顔を見て癒されているな! と心のそこから思っていた。
こうして今日のお茶会は過ぎていくのであった。
基本は不定期に投稿します。ですがなるべく早く投稿するように頑張って行きます。よろしくお願いいたします。