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4登目

「ふふふ、待っていたぞ強者どもよっ!! って、後ろから現れるなーーー!!!」


 ここは9合目、崖の終わり。

 そこにあったのは、この山を陣取っている魔王の玉座の裏。


「ブンセキ。 ピピピ。 コノセカイ ノ マオウ ト シキベツ」

「おいそこのやつ。 我とキャラが被るから去れ」

「なんだ、魔王か。 がっかりだな」

「あのー、そこ邪魔なんですけど、どいていただけませんか? 先に進めませんから」


 一行は山の魔王に向かって、口々に文句を言う。

 当然というか、山の魔王は青筋を立てて真っ赤になって怒りを表す。


「大体なんなんだ! 道中にいた四天王はどうした?!」

「そんな奴らは知らぬ」

「あー、あれだ。 きっと正規ルートに陣取っているんだろ?」

「私たちは崖を登って来たから、会いませんでしたねぇ」

「シタニ オオキナマリョクハンノウガ ヨッツアリマス」

「お前らはいったい何者だっ?!」

「何者と言われてもなぁ?」

「崖の方から登ってくるなんてねぇ、分かり切っていると思うんですけど~」

『”我・俺・私”たちは、ただの登山者だ!』


 一行の声がハモる。

 口をぽかんと開けたまま一瞬硬直する山の魔王。

 が、すぐに動き出す。


「くっ、こいつら馬鹿にしおって!! 殺してやる!!」


 空が黒雲に覆われ、強力な魔力が集まり始める。

 風が強くなり、黒雲からは雷が放たれる。

 辺りにはどす黒い瘴気が渦巻きだす。


「死ね!! ヘルズエンド!!」


 一行に黒い嵐が襲い掛かる!!

 黒い風の刃が中のものを切り刻み、雷がそれらを焼く。

 同時に(えぐ)れた大地が砂嵐のように巻き上げられる。


「はーはっはっはっは! どうだ! これが魔王というものだ!!」


 魔法が終わり黒雲が散り始め、青空がゆっくりと広がる。

 同時にゆっくりと風が収まり、砂嵐が小さくなっていく。

 砂嵐の中に小さな影が三つ、しかし元の大きさは無い。


「ふっ、足だけ残ったか。 まぁ、我が直々に手を下すなど、光栄と思うんだな!」


 勝利の余韻に浸る山の魔王。

 しかしその顔はすぐに凍り付いた。


「ふむ、筋は悪くなさそうだが、まだまだ幼いな」

「いやぁ、うちの魔王に比べればかわいいものだな」

「あらあら、こんな弱い魔王もいたんですねぇ」

「ゾクセイタイセイシールド シュツリョク40パーセント。 ソンショウ アリマセン」


 砂嵐の中から()()で現れる一行。

 

「なん、だと・・? ありえん! 馬鹿な!」


 さっきとは対極に真っ青になる山の魔王。


「おい、そこの若造。 我が本物の魔王と言うものを教えてやろう」


 そう言って、レスターは拳に魔力を集める。

 周囲の空気が震え、地面が悲鳴を上げ始める。

 同時に、山の魔王は膝をついたまま動けなくなる。


「な、なんだこの力はっ!?」

「分かっていると思うけど、手加減してやれよ?」

「愛の鉄拳制裁ですね~、ほほえましいですわ~」

「シールド 80%デ テンカイ シマス」


 ゆっくりと山の魔王に近づくレスター。


「う、あ、く、くるなぁ!!!」


 そして拳を少し引き、そこから一閃。


「ふんっ!!!」


 断末魔の叫びすら残さず彼方へ吹き飛ぶ山の魔王。

 そして辺りに再び静寂が訪れる。


「修行し直してこい」

「いやぁ、見事な飛びっぷりだなぁ」

「青春ですねぇ~」

「ピピピ。 セイメイハンノウ カクニン。 ソンガイジョウキョウ フメイ」

「よし、山頂まで後ちょっとだ! 一気にゆくぞ!」

「おう、でもちょっとさっきので山頂が削れていないか?」

「そうですね~、2・30メートルくらいですし、問題ないと思いますよ~?」


 山頂には、あっという間に着いた。

 どうやら()山の魔王が、山頂から世界を見下ろす為に道を整備していたらしい。

 一行はいつも通り、崖をバックに記念撮影を撮ることにした。

 向かって、真ん中にレスター、左にアレク、右にミイという並びだ。

 エックスは撮影係なので入らない。


「よし、準備はいいな? ではいつもの、分かっているな?」

「ああ、もちろん!」

「これをやったら、登り切ったなぁって達成感あるんですよね~」

「では、エックス。 合図を頼む」


「リョウカイ。 トクシュキロクモード 二 ヘンコウ。 サン 二 イチ ゼロ」


 全員が満面の笑みを浮かべ、親指をエックスへと向ける。

 撮影が終わると、再び崖の向こう、遠くに沈みゆく太陽を眺める。


「今回も良い登山であった!」

「ああ、やっぱり山はいいな!」

「次はどこの山に登りましょうかねぇ?」

「タビ ノ キロク ヲ ヘンシュウ シマス」

「次回の場所は現在調査中だ。 決まり次第追って連絡する」

「おう、楽しみに待ってるよ」

「次が待ち遠しいですわ」

「諸君、帰るまでが登山部の活動である! 分かっておるな?!」

「ああ、もちろんだよ。 ま、もっとも俺たちをどうにかできる連中なんてそういないと思うがな」

「はぁ、また明日から神殿ですの~」

「では、これにて今回の登山部の活動を終了する! それでは解散!」



 こうして今回の一行の旅は終わりを迎えた。

 それぞれの帰るべき場所へと向かう。

 しかし彼らは再び集まる。



              ―――そこに山があるから―――


最後までご覧いただきありがとうございます。

中身にも色々な小ネタが含まれていましたがどうでしょうか?

中身だけで安心している方がいたら、まだ早いです。

掲載時間も見てみましょう。


本作品は、別作品の息抜き用に作った単発ものです。

今のところ続きは予定していません。

Vol2以降はまた気が向いたときにアップするかもしれません。

思いついたときに思いついたまま書いてみたいと思います。

それでは、またどこかで会いましょう。

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