7冒険者ギルド
王都の中は、石造りの家が立ち並びまるで何処かヨーロッパの
古い町並みの様・・・行った事無いけど。
まずは、冒険者ギルドへ衛兵から聞いた道に従い歩いていると
何故か周りの人からの視線が気になる。
俺が珍しそうにきょろきょろしてたから田舎者でも来たかとでも思われてるのかも知れないな。
それにしてもその視線が痛い・・・イヤ!まぢこんなにみられるの初めてなんだけど。
すると俺達の前の方からすっすっと滑るように若い男がやって来た。
「君達王都初めて?」
やっぱ田舎者に見えてたか?
「ええ今日着いたばかりなんです。」
そう答えると
「じゃあさー俺が王都案内するよ。俺は、カイ宜しくな。」
そう言って右手を差し出して来るので俺も右手を差し出し
「私は、シフォンよろ・・・」
俺がそう言い切る前にレイナが俺の耳を引っ張り走り出した!
ちっ千切れる~。
「いっ痛い千切れる~~!レイナ。何するのよ!」
幾ら訴えようと止まらないレイラが暫く走ってその男が見えなくなると。
「シフォン一体何考えてるのよ!簡単に知らない人に自分の名前を教えたりついてっちゃダメじゃない!
」
俺は、耳を押さえながら思わずキョトンとして。
「エッ!」
「んっもう~。貴方もう少し警戒心を持ちなさいよね。誰にでも着いていかない事!約束できる?」
うっ何だか小さい子供が言われてるような事を言われてる。
そう言えば一応俺女の子だったんだよな。
「レイラ ゴメン気を付ける。」
「分かれば良いわ、幾ら初めて王都に来たからって浮かれ過ぎない様にね。」
そう言われて手を繋がれた。
何故か子ども扱いされてる気がするけどレイラの手が暖かでほっとする。
それからも彼方此方から視線を感じ時々男性から声を掛けられては、走って逃げるの繰り返し。
だってちょっとでも対応しようとすると凄い形相でレイラが手を出しそうになるんだもんな。
そうしてようやく冒険者ギルドへ着いた頃には、ヘトヘトになっていた。
「いいシフォン冒険者になるのは、貴方だけで私は、付き人だからね。」
「えっレイラも冒険者になれば良いじゃん、一緒になろうよ。」
「悪魔が冒険者になれる訳無いじゃない。私が悪魔だってバレたら大事になるわよ。」
そう言われて成程と納得した。
確かに悪魔の冒険者なんて聞いた事無いよな。
「ごめんそうだった。レイラが悪魔だってすっかり忘れてた。」
レイラが呆れた様な顔をしてたが許してくれたようだ。
何だか王都に来て謝ってばかりいる気がするな。
冒険者ギルドは、やはり石造りの2階建て中々立派な建物で
1階には、飲食できるスペースが半分を占め残り半分は掲示板と受付になっていた。
中に入ると冒険者が食事やお酒を飲んでる姿が入り口から見えた。
俺達は、受付に行き冒険者登録。
受付に行くと金髪で品の良い綺麗な人が対応してくれた。
「いらっしゃいませ。本日はどんな御用件でしょうか?」
「冒険者登録をしに来たのですがここで良いでしょうか?」
「はい。こちらで大丈夫です。私シェリが担当させていただきます。
では、こちらに必要事項を記入してください。」
その書類を確認すると名前 年齢 得意項目 等簡単な項目しかなかった。
名前 年齢は、良いとして 得意項目って 魔法・剣で良いのかな?
一応そのまま提出したらあっさり受け付けて貰えた。
「それでは、身分を証明する物を見せて貰えますかそれからこちらの石板に右手を乗せて下さい。」
そう言われたので身分証明のプレートを出して石板に手を乗せた
すると石板から光が出て暫くすると石板に何か文字が浮き出て来たようだ。
光が消えると少し待ってて欲しいと言われたので待ってると。
シェリ優しく微笑みながら俺に向かって。
「これで受け付けは、終了しました。これで今日から冒険者Fクラスとして認められました。
それからギルドマスターからお話が有るそうなので一緒に2階へ行って頂けますか。」
そう言って冒険者Fクラスプレートを渡された。
しかしギルドマスターに呼ばれるなんて何かまずい事有ったか?
まさかレイナの正体がバレたとかドキドキしていると
さっきまで食堂でたむろしていた冒険者達が取り囲んで来た!
もしかしてこれが新入りいじめ?
女性の身体の俺から見ると彼らがやけに大きく見える
流石にこれだけ身長差が有ると恐怖感が半端ない。
あと問題児のレイラさんを見れば何故かニヤニヤして
非情にヤバい雰囲気を醸し出している。
するとその内の一人が前に出て来て
「君達今冒険者登録して来たの?君達がEクラスに上がったら良かったら僕達とパーティ組まない?」
「フヘ・・」
意外なその一言に変な返事をしてしまったがどうやら
パーティーの勧誘らしい。
うう、恥ずかしい。
すると他の若い男が走り寄って来ると
「ちょっと待って。うちには、まだ女性冒険者がまだ居ないんだおまえの所には、
ミーニャが居るだろうが!」
「それは、それだ!」
気が付くと掴み合いのケンカが始まっている!
う~んこんな所は、お約束みたいな感じだけどまさか俺達の勧誘で喧嘩になるとは、
やっぱ女性冒険者って少ないんだろうな。
ここでは、Fクラスは見習い期間でその間Cクラス冒険者と一緒に行動する。
その期間は3か月だったり半年だったりそのCクラス冒険者の許可が出るまでEクラスに上がれない様だ。
そして許可が出ればEクラスに上がり冒険者としての行動が許される分けだ。
まだEクラスにもなってないのに早くも勧誘とは随分気の早い勧誘だな。
しかも喧嘩になってるし。
俺達はギルドマスターに呼ばれてるのでシェリと一緒にその場をスルーして2階へ上がる事にしたが
レイラがワクワクして彼らの様子をじっと見つめて居る。
しかしそこはレイラの手を無理やり繋いで連れて来た。
だって心細いじゃん。
ギルドマスターの待つ部屋へ入ると如何にもと言うような
栗色の短く切った髪の毛と同じ色の瞳を持つガッチリした体型の
ギルドマスターが椅子に座って待って居た。
そのギルドマスターが俺達の顔を見ると急に立ち上がり
「おお~来たか!」
そう言いながら続けて俺を見て
「君がシフォン・クワィス・コーイケルだね、うむ確かにメイリの面影が有るな。
あっすまんすまん。そこの椅子に腰かけてくれ。」
そう言われてギルドマスターとテーブルを挟んで前の椅子に座った。
まもなくシェリが紅茶とお菓子を持って来てくれたがこちらは、
何が何だか分からずドギマギしてる。
しかもシフォン・クワィス・コーイケルなんて聞いた事無いぞ!
ロイ教えておけよ~。
早くも前途多難な気がする。
すると突然頭を下げだしたギルドマスター。
「シフォンすまない。ロイから俺の方に護衛を頼まれて居たのに君のご両親を守れなかった。
申し訳ない。」
思わず俺は、
「マスター頭を上げて下さい。決してマスターのせいじゃありませんから
それに冒険者の方達にも犠牲者が出たのでしょ。皆さん必死になって守ってくれましたその結果なのですから・・・」
「マスターなど・・ジョイと呼んでくれ。確かにCクラス冒険者パーティ6名中4名死亡1名引退の犠牲も出したが
君のご両親を守れなかったのも事実シフォン キミに詫びても詫びきれるものじゃない。」
「それじゃジョイと呼ばせてもらっても」
「ああ構わない」
「ジョイ ロイとは、親しい仲だったのですか?
あのロイから余りお友達の事は、聞いて無かったもので。」
「そうか、あいつ何も話してなかったのか。俺とあいつ ロイとは、俺が始めて冒険者になってからの友達でな。
良くあいつと剣や遊びでも競い合ったものだ。そしてあんな綺麗なメイリと一緒になりやがって。
それからメイリとも3人で良く遊んだものだ、あんなに気の良い奴は、そうそう居るもんじゃない。
本当あんな楽し・・・惜しい奴を亡くした。」
ん?今確か楽しいって言ったよね。言ったよね。
「シフォン君の事も多くは、無かったが聞いてるよ。俺達の最高傑作だと」
そしてうんうんと俺を見つめるジョイ。
しかしここでも最高傑作と言ってたか。
そう思うと何故か冷や汗が出る。
「でもシフォン元気な君の姿が見られて良かった。あの事件が有ってから君の事を探したのだが
目にしたのは、あの焼け跡もう駄目だと思ってた。一体今まで何処に居たんだ。」
やっぱそうなるよね。
でもここは、ロイを知ってる人と出会った時どう答えて良いか
話し合って有るけど納得してくれるかが心配。
ロイ結構いい加減だったりするから。
「家が襲撃された時このレイラと一緒に別邸に居たんです。ロイから16歳になったら王都へ行き
色んな物を学んで来るように言われてたのでそこで準備や王都に住んでたレイラに色々と教わっていました。
所が屋敷が襲撃され焼け落ちた屋敷跡を見て全て失ったと落ち込み別邸に戻りました。暫く何もする気力も無かった所
周りの皆に励まされ今回ようやく王都にて冒険者としてやって行こうと決めてやって来ました。」
「シフォン君だったら何も冒険者の様な危険な仕事に付かなくてもやって行けるんじゃないか?
あのロイの娘しかもそんな美貌にも恵まれてるんだ無理して冒険者にならなくても。」
「いいえ、決めたんです。自分の身は、自分で守る。
そしてロイやメイリにも誰にも心配かける事のない強い人間になると。」
「そうかそこまで強い決意なら俺も何も言わない。
それでは、Fランク冒険者シフォン登録おめでとう。
明後日君に付くCランク冒険者を紹介しよう。明日一日は、身体を休め明後日に備えると良い。
そしてシフォン何か困った事が有ったら何時でもおいで何時でも相談に乗るから。」
そう言ってジョイが送り出してくれた。
ロイ良い友達持ったね。
それから受付のシェリに良い宿が無いか聞いた所
普通の宿より少し高いが女性が安心して泊まれて食事も美味しいと評判の宿を教えてくれた。
名前は、『エルカーミ』母娘でやっている店らしい
どんな所か楽しみだ、今までロイの所でしか食事した事無いからね。