30 襲撃
ユシオと出会った翌朝簡単な食事を済ませてから森の入り口まで
ユシオを送って来た。
「俺村の皆に白銀の魔女は、悪い人じゃ無いって言って来るよ。」
それに対して俺が
「ユシオ私達に会った事は、秘密にして置いてほしいの。
もし一言でも話したら今度は、ユシオが酷い目に合うかも知れないわ。」
「でも白銀のシフォンは、やって無いんだろ。」
「それでもよ。」
「・・・・分かった。黙ってる。」
「良い子ね。私達は、ここまでしか行けないけどユシオは、ここからちゃんと行けるよね。
気を付けて行ってね。」
「うん。白銀のシフォン、ミュ、シャーリ レイラ有難うな。」
そうして無時にユシオを村へ帰す事が出来た。
しかしその夜
ユシオの村が襲われた。
気が付いたのは、就寝前の巡回をしていたレイラ。
遠くに何か燃えているのが見えたと皆に伝えて来た。
その方向は、まさにユシオが帰って行った方向。
サザンクロスの風のメンバーと全員でその村へ走った。
そこにあったのは、村全体を包む赤々と燃える炎
そして逃げ惑う人々。
その中にあのユシオを見つけた。
「ユシオ。無事で良かった。家族の皆は?」
ミュが駆け寄ると。
「ミュ!皆無事だ、
でも、ゴメン、俺黙って居られなくて皆に言ちゃったんだ。
白銀の魔女は、悪い人じゃないって。
だから勇者様と戦って欲しくないって。
そうしたら夜誰かが村に火を着けて襲って来たんだ。
皆覆面してたけど1人だけ白銀のシフォンと同じ仮面をして同じ髪の毛の色をした女の人が居たんだ!
でもあれは、白銀のシフォンじゃない、だって声が全然違ってたから。」
「エッ!シフォン以外の白銀の魔女。有難うでもそれは、後で聞くわ。
今は、村の人達を助けなくちゃ。ユシオも家族の元へ避難して。」
そこまでミュが言った時何処からか。
「白銀の魔女だー。」
そこには、一人の男がこちらを指さして立って居た。
すると騎士らしい人達が5~6人俺達の方へ走って来た。
逃げようとして森の方へ視線を向けるとそちらからも7人程の騎士が走って来る。
図られた!
「ユシオ逃げて!」
俺は、思わず思わず叫んだ。
「白銀のシフォン俺・・」
「大丈夫、ユシオは、何も悪く無い。私達の事思ってくれたんだよね。でも、これ以上私達に関わっちゃ行けない、だから逃げて。」
そう言ってユシオの背中を逃げる様に押した。
「うっうん、でも、」
「いいから早く!」
ユシオの背中を叩き逃がした。
その後前後計13人の騎士に挟まれた。
どうする?
切る?
でも、あの騎士達も村人を守りにやって来た?
それとも村に火を放った人達?
その時誰よりも先に剣を交えていたマーザスから。
「こいつら騎士なんかじゃ無い暗部だ!気を付けろ!」
暗部、それじゃ火を着けたのもこいつらが。
それをしるとメラメラと怒りが立ち込めて来た。
罪も無い人々を躊躇いも無く命を奪う者。
ならば遠慮なく切る。
心を決めレイピアを抜いた。
13人、人数は、多いけれど今の自分達にとって大した数じゃない。
そうして1人、2人と切り残り2人になった時強いプレッシャーを背中に感じた。
そして最後の一人を切り振り向くと一人の男が炎を後ろに立っていた。
炎のせいで顔は、分からなかったが立派な甲冑を着た男が居るのは、分かる。
そしてその近くで
「勇者様」
と呼ぶ声が聞こえた。
直ぐにマーザスから
「逃げるぞ急げ援軍が来る!」
その声に一斉に走り出した。
暫く走ったシフォン達だがその後を勇者達は、深追いは、して来なかった。
シフォンの魔力を知って居て罠を警戒していたのかも知れない。
何方にしろシフォン達は、命拾いした事に変わりは、無かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
勇者ナツト
各村を巡回し始めて数日が経った。
村の人達は、僕を見ると一様に喜び一時的にでも不安を払拭できた様だ。
そんなある日の夜、突然近くの村から火の手が上がったと報告を受けた。
外へ出ると騎士団団長のオービエンが白銀の魔女が現れたと報告をして来た為
急いで隣の村へ行くと既にそこは、火の海。
逃げ惑う人々それを目にした瞬間大きな怒りを感じた。
罪もない人々が何故この様な仕打ちを受けなけらばならない。
白銀の魔女お前だけは、許せない!
すると何処からかキンキンと剣を交える音が聞こえて来た。
そして男の声で
「白銀の魔女だー」
その声が聞えた!
急いで行くと白銀の髪の女がまるで舞でも舞って居るかの様に騎士を一人又一人と
切り倒して行く。
そしてその女が僕に気付き振り向くとその仮面がハッキリ見えた。
間違いなく『白銀の魔女』だ。
僕は、思わず走り出そうとした時誰かに足を掴まれ立ち止まった。
「勇者様」
その声に下を見ると少年が僕の足にしがみついていた。
「すまん、今僕があの白銀の魔女を倒しに行くから放してくれないか。」
するとその少年が口にした言葉は、驚く物だった。
「白銀のシフォンは、良い人なんだ。勇者様お願い切らないで。白銀の魔女は、もう一人居るんだ!」
「キミ名前は、」
「ユシオだからお姉ちゃん達を切らないで。」
「ユシオ良く聞いてくれ、今、目の前に居る白銀の魔女は、僕の目の前で確かに帝国の騎士を切った。それは、現実だ。
それは、自分が悪い事をしたからじゃないのか?キミは、きっと騙されてるんだ。」
「そんな事無い!そんな事無いんだ!信じて勇者様。」
そのユシオに足を掴まれていたのは、ほんの数分だったと思う。
その間に白銀の魔女は、姿を消していた。
こんな少年を騙し村を焼き人の命を何とも思わない白銀の魔女。
恐ろしい女だ。
必ずやこの僕が倒してやる。
しかしこのユシオが何故これ程までに白銀の魔女を守ろうとしたのか?
どんな嘘を植え付けられたのか。
「ユシオ僕と少し話をしないか?」
勇者は、そのユシオに興味を引かれた。




