2 確かめてみる
目覚めると俺は、ベッドの上に寝ていた。
見上げると白い天井に周りの壁も白く塗られている。
ああそうか確か結城と歩いてて事故に遭ったんだ
とっ言う事はここは病院か?
腕を見ると点滴もしてない
もしかしたら軽症で済んだのかも?
そう思い喜んで起きようと布団を捲ると思わぬものが目に飛び込んできた!
「えっえ~~~~!」
部屋中に響き渡る女性らしき声!
そしてその声に更に驚き口を押える俺!
ちょっと待て落ち着け自分そう思いつつまずはその胸の膨らみを確認しなければと
服の中を覗くと確かに女性らしき美しいものがそこにあった。
じゃあその下は、
そう思いつつ恐る恐る手を滑らせて行くと・・・
なっ無い!
無い筈の物が有り有るべき物が無い!
焦った!
それじゃあれは、夢じゃ無かったんだ。
本当に事実?
そう思いつつ耳たぶに手をやる。
そして改めて下を見ると憧れの美しい2つの山!
やっぱそうだよな~
そして何気に胸に手が
その感触に何故か自然に涙が・・・
最初は自分の胸じゃなく好きな女の子の胸を触りたかった。
『好きな女の子の胸それは男のロマン!』(by白石 雪弥)
次に起きてみると白いワンピースの様な物を着ている自分に気がついた。
正直何という服かなど分からない
何しろ16歳=彼女無し歴伊達じゃありませぬ。
うっ笑うに笑えぬこの辛さ。
ベッドから少し離れた所に姿見が有ったので恐る恐る覗いて見ると
そこには、見た事もない様な美少女が居た!
メイリと同じ輝くような白銀の腰まで届く長い髪に
引き込まれるようなグリーンの瞳そして思わず触りたくなる様な小さく綺麗なピンクの唇に白い肌。
思わずその場で腰砕けしゃがみ込んてしまった。
えっ!
これ俺?
夢じゃ無いかと胸を触ってみるが夢じゃ無い様だ。
普通頬を抓るんじゃないか等と言う突込みが聞こえそうだがそこは、聞こえないふりをする。
やばい!
こんな身体で1年も居たら普通の男に戻れない自信が
俺には有る!
頭の中にお姉言葉を使う俺の姿が見えた。
そこへさっきの俺の声が聞えたのかドアをノックする音が聞えた
「はい」
返事をすると肩まで伸ばした黒髪に赤い瞳の少女が入って来た。
この子もとても可愛い顔をしてる。
思わず見とれて居ると入って来た子は、落ち着いた声で
「起きたようね。私は、レイラ
これから貴方に就く事になる契約悪魔よ覚えておいてね。
それから着替えは、ここに置いとくわ暫くすればロイ達も来ると思うから早めに着替えておいて。」
言いたい事だけ言ってあっと言う間に出て行ってしまった。
ア・ク・マまぢ?
一瞬引いたがあの可愛さなら許そう。
いや是非にでもお友達になりたい。
そんな事を考えて居ると着替えなきゃならない事を思い出した。
そこでハット思いついた。
着替えどうしよう何枚もの服が有るけど着る順番や着方が分からん。
とりあえず一番薄い服を手に取ると何故だか当たり前の様に着替える事が出来た。
これがメイリが言ってた女性の習慣をアニマに覚えさせたと言う事か。
メイリに感謝。
自分の身体に緊張しながらも着替え待っていると
暫してさっきと同じようにノックをされた。
返事をすると同時にレイラにドアを開けて貰いロイ達が入って来た。
「やあ起きたね。気分は、どうだい」
ロイは、にこやかに片手を上げて挨拶をしてくれた。
「違和感有るけど大丈夫です。」
俺も自分の身体に緊張しながらも何とか見かけだけでも
冷静を保ちつつ返事が出来たと思う。
「違和感は、まあ暫く有るだろうね。でも問題なさそうで良かったよ。」
「でもこの身体めちゃくちゃ綺麗な子で驚いたんだけれど。」
「だから言ったろう、最高傑作だって」
そう言いつつ笑うロイの笑顔が又似合う。
『何だここは、美男美女の楽園か?』
そう思える程ロイとメイリそして俺のこの身体は、
メチャクチャ絵になる。
日本だったら10人中9人は、振り向くだろうな。
そう考えてるとロイの隣に居たメイリが嬉しそうに
自信満々で腕を腰に当てながら自慢を始めた。
「その体は、凄いのよ~。
前にも言ったけど約500年は持つ筈よ
しかも殆ど年をとらないつまり永遠の少女、
そしてどんなに食べても太らない。ねえ~凄いでしょ。」
嬉しそうに自慢するメイリ。
そこへロイがメイリを遮り
「ちょっと待った!どんなに食べても太らないってそれであんなに時間かけてたのか?」
「そうよどんなに食べても体型が変わらないなんて乙女の永遠のテーマそして憧れなのよそれを克服したんだから。」
隣でため息をつくロイに嬉しそうに語るメイリ
やはりこちらの世界でも男より女の方が強いのかも知れない。
でも乙女って確かメイリさん300超えてるって言ってたよね。
その後からロイからこの身体の事
今後の計画、取り戻すロイのボディの事
そしてこの身体の名前を教えてくれた。
どうやらロイ達は自分達の身体を作る時には自分達の子供が生まれた事にして
王都へ届を出しているらしい。
とっ言う事は俺には既にここで暮らす為の名前が有る分けだ。
その名前は、シフォン
可愛らしい名前じゃん。
そして俺達の今いる場所は、ナリエス王国首都ナリエスから歩きで1日ほど所にある森の中
現在霧の森と言われてる場所らしい。
この霧は、結界魔法の一つで目晦まし程度の物で霧自体は、
ごく普通の霧と変わりないとの事、
所が許可の無い者がこの屋敷に来る事は、出来ない。
一般には、この屋敷が3年前に盗賊に遭い焼け落ちた事になっていて
実際俺達の居る屋敷の前に焼け落ちた跡が残りそこから周りを見れば今の屋敷が隠蔽魔法で隠され見えるのは、森ばかり
そして偶然にでもこの屋敷の前に来るとそのまま素通りして屋敷の裏へ行ってしまう様に結界が張られてるらしい。
しかもこの結界方法は、レイラが考えたらしい。
何気に凄いんだ。
そしてこれもこの場所だから出来る結界だそうだ。
その為ここに入る為には、結界解除する物として指輪を渡された。
そしてナリエス王国は、王国で有りながら貴族が無いそうだ
約300年近く前に全国を巻き込む大きな戦争が有りそれを何処からか現れた勇者が現れ戦争を収めたそうだ、
しかしここナリエス王国は、既にその時大きな痛手を負っていて多くの貴族の人達を失ってたらしい
そこで王が出した決断が貴族、王族関係なく優秀な人材を国中から集め軍事、政治各方面で採用
そして貴族を解体勿論元貴族達には、王都に住ませ十分な保護をした。
ただ世襲制で無い為上位の地位の職に就きたければ元平民だろうが元貴族だろうが各自努力し
能力さえあればその職に就く可能性が有る分けだ。
本当思い切った事をする王様だ。
でも勉学の事を考えると元平民は、お金も無いしやっぱ元貴族の方が有利なんじゃないかな?
そして俺の方だけれどまずこの身体になれる為暫くこの屋敷で
魔法や剣技の特訓をするそうだ。
覚えが良い身体だから心配するなと言われたけど俺のアニマがあれだからな~心配だ。
そして王都に出て冒険者になりCランク冒険者になれば個人で各国に自由に出入り出来るらしい。
なんだか1年半でのボディ奪還、厳しいかも・・・
「でもロイそこまでは、分かったけれどどうやってロイの身体を探し出すの?
何か良い方法でも。」
そう俺が問いかけると悪魔のレイラを俺の前に出し
「レイラは優秀な探索魔法の使い手だ。半径10キロ程の範囲に俺の身体が有ればきっと見つけ出してくれるだろう
それにある程度目星を付けてあるそれを調べれば何かしら尻尾を掴める筈だ。」
「分かったわ、レイラ宜しく。
それじゃ時間も無いし明日からでも早速特訓ね。」
えっ!
普通に話した筈なのに俺が女言葉使ってる?
メイリがニヤニヤ笑ってるのが見えた
そうかこれも女性の言葉遣い等習慣化か。
やっぱなんか違和感が。
「ロイそう言えばここは、私にとって異世界の筈なのに何故言葉が通じるの?」
「それなら私から答えるわ。私達が初めて会った時私が貴方の頭に手を添えたのを覚えてる?
アニマ同志なら問題ないけど身体を持つと言葉が通じないと不便でしょ
だからあの時言葉や文字の記憶を付与したの
序でに貴方の世界の事も少し見せて貰っちゃった。」
エへッて答えるメイリ。
それでパワースポットの事も知ってたのか。
俺の世界って言ってたけどもしかして俺の記憶も?
いやいやいやまさか・・・
その事は、考えない事にしよう。
「それからシフォンこれを見た事あるか?」
そうやってレイラの持って来た小さな壊れた継ぎ接ぎだらけの機械の様な物を見せられた。
「これっもしかして盗聴器?」
「盗聴器とは、人の話しを盗み聞く物か?」
「そう、これを隠しておいて遠くから人の話を聞く事が出来るの」
「とっ言う事は、敵方にシフォン以外の異世界人が与してると思って良いわけだな。
これは、益々ボディの奪還が難しくなりそうだ。」
「それでこれ一つだけだったの?」
「いや、屋敷が荒らされた後レイラがそれを見つけ屋敷中を調べた所他にも2つ見つかったらしい。
全て壊してしまったがまずかったかな?」
「いやそれで良かったと思います。私と同じ異世界人か、しかも偶然でも向こうから物を持って来たと言う事は、私と違って身体ごと来た事になるわね。」
「あそこを生身で通ったら只では済むまいシフォンは、アニマで来たから分からないかも知れないがあそこには
強い障壁があるんだアニマは、素通り出来るが物質 人の身体もそうだが相当の抵抗を受ける下手をすれば四肢バラバラになる事も十分考えられる。」
「そんなに凄い所を通って来たんだ。でも、居るんだよね。」
「多分な。しかもシフォンが来る前にだ。」
その後聞いたのだが魔法も万能ではなく生物や魔法の痕跡掛けられた物
自分達に知りえる道具等には、十分対応できるが
今回の様な異世界の意識を持たない機械
しかも見た事も聞いた事も無い盗聴器など調べ様もないらしい。
もし盗聴器以外にも向こうから何か持って来ていたら・・・
こうやって不安いっぱいのシフォンとして生まれ変わった俺の一日が終わろうとしていた。
そして最後にメイリがこっそりと俺の耳元で呟いたのが
「シフォン言っておくけどレイラは、貴方のアニマが男だと知らないの
だから絶対気付かれないようにね。
契約悪魔だから裏切る事は、無い筈だけれど
貴方も変態呼ばわりされるの嫌でしょ。」
そう言いながらニコニコ手を振りながら部屋から出て行った。
又余計な心配事が出て来た~。
大丈夫か俺。