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21  シトラルと 地方都市 マスタチア

色々な思いが胸に込み上げるシトラル

そこでシフォンの先祖との関係も。


ナリエス王国最後の小さな村を抜け

アンビス川に掛かってる20メートル程の橋を渡るとここからは、アリタリス帝国領

ここよりしばらく進むと間もなく地方都市マスタチアが見えて来るとマーザスからの説明を聞いてると

シトラルが寂しそうにずっと馬車の外を眺めてるのが気になった。


「シトラルどうしたの、何かあった?」


「いや、ちょっとな。」


「良かったら聞かせてもらえる?」


「ああそうだな、シフォンにも関係ある話だし。」


「私に?」


「ああ、以前300年前君の先祖と一緒に戦ったと言った事覚えてるか?」


「ええ覚えてるわ。」


「それがここだ、ここでロディ達と共に戦った。」


「えっじゃ、アリタリス帝国まで進出したって事?以前ナリエス王国は、多くの貴族を失う程の傷を負ったって聞いたけど。」


「いや帝国まで進出したのでは無くここが元ナリエス王国領だったんだ。


シフォン覚えて置くと良い、

君の祖先『ロディ・クワィス・コーイケル』ナリエス王国 元マリアス領主の名だ。


彼の領地は大きくは無かったが殆どの領民が比較的健全な生活をおくれる程の手腕を持ち

又領主平民の垣根を超え誰とでも上手くやって行ける優秀な領主だった。


当時恐れられていた竜人である私をも竜人と知りつつも親友として付き合ってくれた。


彼がとても大事にしていた妻メイシェもその町に住み幸せな日々が続くと思っていたが

ある日、アリタリス帝国の兵が進出して来て例の大戦が始まった。」


それから下向き加減になり少し声のトーンが下がり話を続けた。


「彼は、王の命により軍を動かした。その中には、彼の愛した息子も居た。名は、ディオ。


彼もロディと同じく勇敢で人々にも愛されていた。


良くロディから

「私には、2つの宝物が有る、それは、

天から授かった私達には、出来過ぎた最高の2人の子供達だ」

と何度も聞かされたものだったよ。


ロディ達は、2人の子をとても愛していたよ。


戦が始まると間もなく私は、王都に呼ばれ仕方なくロディの側を離れたがそれが間違いの元だったんだ。


その後激化して行ったあの戦いでロディの息子のディオは、大怪我をしながらも何とか砦まで戻ったが通常の治療魔法では間に合わずこの世を去った。


そして避難していた妻メイシェと娘の所にも帝国軍の一部がロディの軍の隙を突いて侵入して来た。


勿論ロディも直ぐ後を追って来たが既に妻メイシェと娘も大怪我をしていたんだ、

メイシェは、幸いにも一命を取り留めたが娘の方は、残念ながら間もなく亡くなったそうだ。


その亡くなった娘は、白銀の髪にメイシェと同じ緑色の美しい瞳をしていて戦が始まるまでは、

何時も笑顔の絶えない可愛らしい娘だったよ。


その娘の名は、・・・『シフォン・クワィス・コーイケル』 シフォン キミと同じ名だ。」


その時一瞬自分の名を呼ばれたかと思ったがロイとメイリの娘の名が『シフォン』?

これは、一体どういう事?


出来る事なら今からでも戻って聞いて見たい。


本当に自分達の為にこの体を造ったのか?


まさか自分の娘の名前を付けるなんて普通無いと思うが。

何故?


色々考えたかったがシトラルの話が続いた。


「これから行く『地方都市マスタチア』だがあそこは、ロディ達が住んで居た町の跡だ、300年後の今では面影も無く全く変わってしまったが、

そこに彼の娘と同じく争いに巻き込まれ、ロディの娘と同じ名を持つ君が行くなんて何の因果なんだろうな。

もしこれが神の悪戯ならば私は、神を恨むよ。・・・」


そして何か考える様に黙っていたが少しすると

今度は、明るい声で。


「すまん湿っぽくなったな、話しを変えよう、マーザス マスタチアには、どの位滞在する予定だ、帝都の情報を集めると聞いてたが・・・ 」


今の話でシトラルの苦しみを始めて知った気がした。


シトラルの300年の長い苦しみ。


そしてロイとメイリの苦しみ。


俺は、その後暫くの間何も言えず、黙り込んでしまった。


俺達がそうしている間にも馬車は、進みシトラルの言っていた地方都市マスタチアが見えて来た。


ここがロイ達が住んで居た場所、姿形は変わってもその場所を思う気持ちは、シトラルにとって何も変わらないのかも知れない。


それを考えるとヤッパリ辛いな。


アリタリス帝国の地方都市マスタチアを囲む壁は、ナリエス王国王都よりも高く

来る者を拒むかの様にそびえたっていた。


マスタチアへ入る人達の列はナリエス王都よりは、少なかったがその門がナリエス王都と同等かそれ以上では、無いかと言う程立派な物。


入り口は、数か所に分かれていて商人、一般、冒険者、その他に分かれていた、

その他と言うのは、身分を証明する物が無い者達等が

そこでマスタチアへ入る資格が有るか検査する為、一番時間の掛かる入り口になって居る。


俺達は、勿論冒険者の入口へ、

冒険者プレートを見せるとスムーズに入る事が出来た。


これがクラスC以上の特権。



着いたのが既に夕方近くだった始めにまずは、宿探し。


俺達は、8名のパーティの為せめて大き目の部屋2部屋は、キープしたい所。


少し手間取るかと思ったが冒険者ギルドで確認した所3件の宿を紹介してくれて

皆で検討したが俺を含め女性陣と男性陣との意見が分かれ結局

マーザスの意見が通り男性陣の通した繁華街から外れた場所に在る

『ボルド』と言う宿に決まった。


部屋は、4人寝るのには、十分な広さだが建物は、古く

王都の『エルカーミ』には到底及ばない薄汚れた部屋

しかし目立たず行動するには、丁度良いとマーザスは、喜んで居る。


女性陣は、やはりもう少し綺麗な部屋が良かったと言って居たが

遊びに来ている分けでもなく仕方ないと諦めた様子。


部屋割りは、男性と女性2組に分かれ、俺の隣のベッドは、やっぱりレイラ。


でもテントで寝ているより別々に寝られるだけ良い。


やっと熟睡できる気がするよ。


本格的な行動は、翌日からだ。


まっそれまでは、女同士の女子会が行われるらしいが。


ミュや美しいお姉さんエルフシャーリの目の色が何時もと違いう気がするのは、

気のせいでは、無い筈。



又眠れない夜を過ごす事になるとシフォンの第六感が知らせていた。

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