15 ストーカー
何時も読んで頂き有難う御座います。
本編が終わり外伝で有るにお関わらず
ブックマ評価有難う御座います。
今回からいよいよ謎の犯人へと向かって行きます。
兄貴に散々怒られ幾つかの事を約束させられた。
1つは隠蔽魔法を無暗に使わない事。
2つ二度とフライを使わない事
3つもし人に絡まれたら出来る限り逃げる事を優先する事。
そしてどうしても逃げられ無い時だけ
手を出しても構わないが人前での魔法は禁止。
簡単に言えば上の3つ
1と3は仕方ないとしてフライを使えないのは痛いな。
苦手だけれど転移魔法覚えるしかないかな?
やり方は教わったから知ってるのよ。
それに1~2メートルなら問題無く転移出来るのだけれどそれが
3メートル4メートルと離れると共に段々ズレが出て来て
100メートルも離れると大変な事になったりする。
以前メイリに転移魔法教わって居た時30メートル離れた場所から
ロイの屋敷の前に転移する筈が屋敷の屋根の上2メートル程上空に転移してしまい
危うく屋根から落ちそうになった事が有り
それ以来メイリに転移魔法の使用を禁止されていたのを思い出した。
転移魔法を使える様にする為集中力を鍛えるしか無いか。
それから2日程した時元刑事らしい男性Aの沢田刑事(しつこい?)から連絡が有り
ミラエスと共に刑事課へ出向いた。
以前は直接個室へ案内されたので刑事課へ赴いたのは今回が初めてなので
刑事課の部屋の前まで来ると少し緊張する。
『コンコン』
刑事課のドアをノックするとあの若い神田刑事がドアを開けてくれた。
「シフォンさん、お待ちしていました。」
そう云うと部屋の中へ案内されると刑事課の人達の視線が集まって来るのが
判る。
中にはヒソヒソと小声で話をする人の姿が見えるけれど
その中の1人比較的若い刑事が突然大きな声を上げて立ち上がった。
「あっ!謎の美女!フライングウーマン!」
あっ!こいつミタラシダンゴのサイト見たわね。
一瞬その刑事の顔を見ると直ぐに顔を背け
思わず神田刑事の後ろをピタッとくっつく様に付いて行った。
「申し訳ないね。彼奴フライングウーマンのファンで
ずっと貴女の動画を見て居るんですよ。
てっそれよりあのシフォンさん?あの、もっもう少し離れて貰えると嬉しいんだけど・・」
「あっゴメンなさい。」
少し頬を赤らめた神田刑事に云われ少し距離を取ってついて行く事にした。
少し近づきすぎたかな?
「でもウィッグもカラコンも付けているのに良く判りましたね。」
「ははは、一応刑事やってますからその位は見抜けますよ。」
すると白いパーテーションで仕切られた一角へ案内された。
その中には既に課長と元刑事らしい男性A事沢田刑事が椅子に座って待って居た。
「シフォンさん呼び出して悪かったね。」
「いいえ、私の方から協力をすると云ったのですから。」
小山刑事課長が私達にそう云いつつ椅子に座る様に促されるまま座ると
直ぐに今回呼び出した理由を説明された。
「実はね。貴女を拘束した男達なんだけど漸く昨日から白状し始めたんだよ。
それでシフォンさんにもその自供を一度聞いて貰おうと思ってね。何か犯人に関するヒントにでもなれば良いんだけれど。」
「そうでか判りました。それで彼は何処に?」
「今、古賀が取り調べをしてる。」
そして取調室の隣の部屋に案内され薄暗い部屋の中へ入って行くと
そこから取調室を鏡を通してみる事が出来る様になっており
鏡越しに取調室を見ると私に刃物を突き付けていた男が取り調べを受けて居た。
確かにあの厳つい顔で攻められたら何でも話したくなるよね。
そう思いながらも見て居るとボソボソ答える姿はあの時の男性とは思えない程力無く見えた。
その男性の話を聞いて居ると主犯の事を良く知らない様に見える。
「シフォンさんどう思う?あの男の名は石月 相也 21歳無職
あの界隈を根城にして居る不良グループの1人だったんだが
最近そのグループから抜け誰かと組んで動いて居るとの情報は受けて居るんだが
その相手が未だに判らないで居るんだ。
奴を助けに来た者達も然り同じ様に主犯の顔も名前さえ判らないと言い張る。
常に命令を出すのは『サード』と名乗る男だそうだ。
そして彼等が捕まらない様に手助けする代わりに彼等の儲け分の半分をその『サード』に渡すと云って居た。」
「半分?自分の儲けの?随分払うんですね。」
「ああ、恥ずかしながらあいつ等は今迄そのサードの為にほぼ確実に逃げ遂せている。
その為逃げられると知ると徐々に過激になり今回の様な強盗も増えて来ている。
まだ公にはして居ないが時折彼等を逃がす手助けをする中には警官も居て
そして当然の如く彼等が逃げ遂せるとその記憶が全く無いと云う状態で此方も今迄お手上げ状態だった。」
「でもそこまで判って居ると云う事は」
「ああ、今迄も何人かは捕まえたが全体から見ればほんの一部に過ぎない
しかも全て今回と同じ様に下っ端で上の事は殆ど何も分かって居ない。
ただ今回あの事件からまだ一軒も彼らと思しき事件が起きて居ないのが気になる。」
「身を潜めていると言う事ですか?何故?」
「判らない。もしかしたらシフォンさん貴女の存在を知った誰かが
そうさせて居るのかも知れない。」
「私のですか?」
「フライングウーマン、結構話題になって居るそうじゃ無いか。」
「うっ・・それは・・・」
「もしかしたらキミの周りで何かを狙って居る可能性も有る。
十分気を付けて欲しい。」
その夜夕食を終えゆっくりして居ると又兄貴から来て欲しいと呼び出しの電話が有った。
本当今日は忙しい日だ。
今回そお怒って居る様子も無かったので本体で出かける。
兄貴の部屋へ入るとそこには香山さんの姿もあった。
「香山さん?」
「あっお邪魔してます。」
「あっ私の家じゃ無いから。ハハ。」
笑って挨拶をすると兄貴が香山さんの隣に座り悩みが有ると話してくれた。
「シフォンさん実は香山さんの事なんだけれど、最近ストーカーに悩まされて居るらしいんだ。
申し訳ないけれど相談に乗ってあげて欲しいい。俺も何度か彼女の家まで送ったり
見回りをして見たけれど、何時もそいつは俺が帰った後姿を現すらしいんだ。」
それを聞いた私は香山さんに向き直り
「香山さん姿見た?どんな人だったか判る?」
私が聞くと俯いていた香山さんが顔を上げた。
「それが何をするでもなく離れた場所で私の部屋や私の行動を見て居る様なんです。
ただその人影が何時も同じ時間と言う分けでも無く気が付けばそこに居たと云う様に何処からか
私の後を付いて来ているので。」
「少し離れた人影?じゃあ顔は見て無いのね。」
「はい、ただ毎日の様に現れるので気持ち悪くて。」
「そう、判った。明日もう一度この時間に兄貴の所へ来てもらえる?
私も明日ミラエスを連れて来るから。」
その翌日探知魔法の苦手な私の代わりにミラエスから異世界の種を2つ貰い
それを常に香山さんと兄貴に持って居て貰う事にした。
一応何か有れば携帯電話で連絡は取れるけれど
一早く駆け付けるには居場所が分かって居る事に越した事はない。
それには此方の世界には無い種を2人に持って居て貰えれば
直ぐにミラエスが識別して居場所を突き止める事が出来るからだ。
そしてその日は直ぐにやって来た。
私が2人に種を渡した2日後の夜私の元に香山さんから電話が来た。
「シフォンさんこんな夜遅くごめんなさい。実は今外に居るの。」
「分かった!直ぐ行くわ。白石さんには?」
「うん連絡した。今こっちに向かってるみたい。」
「分かった私も過ぐ行くわ。」
ミラエスと分身体を残し私一人で香山さんの元へ駆け出した。
距離的には兄貴のマンションより私の家の方が距離的には近い
だから急げば先に出た兄貴より私の方が先に香山さんの所へ着く筈。
そして香山さんのマンション側まで来ると香山さんへ電話をして
そのストーカーらしき男の居る場所を聞くと私の反対側の塀の影にまだ居る事が判った。
静かにその男の居る場所へと歩いて行くと確かに人影が有るのが判った。
そのまま私が近づくとその影の主も私に気付いたらしくスッと身を隠す。
私が気付かない振りをして通り過ぎると又その影の主が姿を現した。
『あの人で間違いない。』
そう確信すると直ぐに踵を返しその影の主へと走り寄る。
当然の如くそれは、逃げの姿勢になるけれど伊達に今回本体で来た分けじゃ無い。
『強化』
身体に強化を掛け追いかけると直ぐにその影の主に追い付く。
手を伸ばせば捕まえられるとその手を伸ばせば素早く身を翻し私の手を避けた。
「エッ!」
強化をして居るにも拘らず避けられた?
普通の人間じゃない?
今度はその人の直ぐ後ろまで迫ると油断なく
その人物の腹に蹴りを入れた。
するとその人物は簡単に飛ばされ近くの家の塀にぶつかる。
??
おかしい!
さっき私の手を躱したのに今度は簡単に私に蹴られ飛んだ?
一体どんな人物?
倒れ気を失って居るその人物に近寄ると
見覚えのある顔がそこにあった。
香山さんの入院した病院ですれ違った魔力の一部が活性化した男性。
良く見るとあの若い神田刑事と同年代20代半位に見える。
私は直ぐに兄貴に電話してストーカーを捕まえた事を報告し
直ぐに不安であろう香山さんの所へ行って貰った。
『兄貴ストーカー捕まえたからってイチャイチャするなよ。』
そう思いながらもその男性の肩を揺すり起こすとその男は私を見て一瞬固まった。
まあ何時もの事だけれどもう少し違う反応ってないのかな~?
「貴方良い年してストーカーだなんて何てことしてるのよ!」
「いっいや自分は・・違うんだ彼女を守る為見張ってただけで。」
「ストーカーって自分本位で相手の事なんて考えずに良くそんな事云うらしいわね。
さあ、立って警察行くわよ。」
「だから違うんだって!彼女狙われてるんだ!だから自分が守って居ないと。」
「だから何が自分が守るよ。第一誰から守ると云うの?彼女は既に彼氏持ち。その辺判ってるの?」
そう云いながらもその男の襟首を持ちながら近くの交番へ向かって歩いて行く。
時々すれ違う人達は踊ろう顔を見せるけどそんな事は知った事じゃない!
兎に角女の敵ストーカーを警察に連れて行き香山さんを安心させなくちゃ。
そう思いながらも手足をばたつかせ逃げようとするストーカーを引き摺り歩いて居ると
兄貴から電話が来た。
「香山さんが誘拐された。」
「そんな。・・」
私は襟首を掴んだままのストーカーを見ると
「ほら、云ったじゃないか!狙われてるって。どうするんだよ。」
「煩い!」
直ぐに私の分身体へ意識を飛ばせミラエスに協力を得て連れ去られた香山さんの場所を特定して
そのまま分身体で香山さんを追った。
「一体どういう事?」
「だから自分は彼女を守ってたんだ。それをお前が邪魔をした。」
この男はストーカーじゃない?
一体どういう事?
兎に角香山さんは分身体に任せこの男に話を聞く事にした。




