1 出会い
「・・・ちゃん」
変な夢を観て思わず飛び起きた。
夕べやってたあのシミュレーションゲームの影響かな~。
そう思いつつテレビ前に置かれた恋愛シミュレーションゲームのソフトを見た。
俺の名は、白石 雪弥 16歳=彼女いない歴の普通の?
高校生だ。
この夏休み暇を持て余しゲーム三昧の日々を過ごしている。
そのせいか最近以前テレビで見た戦時中の服を着た少女の夢を良く見るようになった。
『可愛い女の子なら良いんだけど三つ編みであの服じゃな~。』
俺ってセンス無いか?
そう思いつつ出かける準備を始める。
今日は、久しぶりに小学校時代からの親友島田 結城と遊ぶ予定を組んであったんだ。
待ち合わせ場所に行くと既に親友の島田 結城が来ていた。
「よう 待ったか?」
「大丈夫俺もさっき来た所だ」
そんな普段通りの簡単な挨拶を済ませそのまま目的地の映画館へ向かった。
こんな暑い日に外に何て居られないもんな~。
片側一車線の狭い歩道を歩きながらバカ話しをしてた時ふっと夕べの夢を話し出した。
「夕べ又あの夢見たんだよな、俺ってロリじゃ無いしセンスも悪く無いと思ってるんだけど何故かな~」
そう言いつつ右耳の耳たぶを揉む
「あはは。悩んだりする時すぐやるその癖全然変らないのな。」
そう笑い続けて
「そう言えばお前以前も女になった夢を見たって言ってたよな。
もしかして欲求不満じゃないか?そろそろ彼女位つくれよ
お前ならその気になれば絶対出来るって。」
「出来るならそうするって!出来ないから悩んでるんじゃないか。
このリア充め!」
結城は、夏休みに入る直前に今の彼女に告白して見事カップルになっていたんだよな。
リア充真か実に羨ましい。
そんな事を話してると急に温かな優しい何とも言えない物に包まれた様に感じると同時に
何故か頬に生温かなものが流れ落ちた。
えっ涙?
それを見た結城が。
「どうした目にゴミでも入ったか?」
「いや自分でも何でか分からない、おかしいな・・・」
そんな話も終わらない内に体がスーッと道路の方へ引き込まれた。
響き渡るクラクションにブレーキ音!
まるでスロー再生の様に近づいて来る車が見えた。
ぶつかる!
思わず目を瞑った。
ドンッ!鈍い衝撃!
そして遠のく意識の中で誰かが叫ぶ声が聞こえて来る。
「ユキヤ~~~!」
それからどの位経ったのか分からないが
誰かが俺を呼ぶ声が聞えた。
そして目覚めたのが白い壁に覆われた大きな部屋の中
その時聞こえた声が。
「「えっ男!」」
ん?
そこに居たのは、外国人の容姿をした
美男美女の二人のカップル年齢的には、30代半ば?
外国人の年齢は、よう分からん。
ただ男の方は、金髪にブルーの瞳
女性は、珍しい白銀の髪を持ち引き込まれそうな美しいグリーンの瞳。
もしかしてどこかのモデルさん?
そうしてる内に女性の方が近寄って来て俺の頭にそっと手を当てた。
暫く俺がボーゼンとしてる内にその手を放し
俺に話しかけて来た。
「突然連れて来てごめんなさいね。
でも、貴方にどうしてもお願いしなくちゃならない事が有るのお願い私達の話を聞いて貰えないかしら?」
突然の事で俺も動転してたが思わず。
「日本語上手ですね、滞在長いんですか?」
等と・・・
今度は、男の方が
「あっいいえここは、貴方の国では無くナリエス王国貴方から見れば異世界と言う事になると思います。」
俺が何の事か呑み込めずに居ると女性の方が
「そうそう私達もあんな所に異世界が繋がってるなんて初めて知ったのよ。
貴方の様な人を探してたら偶然時空の亀裂を見つけて覗いてみたら凄いじゃない
だって私達の世界の人間の魔力量の2~3倍の魔力量を持ってる人は、ざらそして
中には、10倍近い人も居たし本当驚いたわ。
特に貴方は、50倍以上も有るんだものこんな人初めてよ。」
等と捲し立てて俺の方をキラキラした瞳で見つめてる。
おお~と思わず声に出そうな程綺麗な人に釘付けになる。
こんな綺麗な人だったら年上でも等不埒な事を考えてると男の方から
「メイリ肝心な事がまだ話せてないよ。」
「そうねまずは、私達の紹介から私は、メイリそして」
隣に居る男性を見て
「こちらが私の夫のロイ」
あっやっぱり既婚者か。
まあそうだろうねこんなきれいな人だもんな。
「俺は、白石 雪弥ユキヤと呼んでくれて良いよ
所で俺を呼んだってどういう事?確か俺は、事故に遭ってそして・・・」
「そう死んだのよ」
とっさら~と大変な事実を明かすメイリ。
「えっ死んだ?じゃ~今こうしてる俺って何?」
「今の状態で言えばアニマ。ユキヤの国の言葉で言えば魂って所かしら?」
「えっじゃ~今の俺って幽霊?」
「ん~~ちょっと違うかな?実は、この場所は、特別な場所なの
何と言えば良いかな。純粋な魔素がバランス良く出でる場所 近い所で言えば貴方の国で言うパワースポットという場所に近いわね。
ここに居ればずっとこの人の姿で居られるのだけれど
この場所から出て行くとほぼ7日程で自我を失い彷徨うか浄化され殆どの記憶を失い天に上るかの何れかね。
それほどここは、私達にとって大切な場所なの」
「じゃ今の俺って幽霊のちょっと前って事?それに浄化されて天に上った後は、どうなるの?」
「それ以降の事は、分からないわ。だってそこから戻って来た人など居ないもの」
「じゃ~浄化されるまで行った人の事は、知ってるんだよね。」
すると今まで饒舌だった女性は、すっと上を見て黙ってしまった。
そこへロイが話を戻す様に
「メイリここから僕が話すよ」
そこからは、ロイからの説明が始まった。
そのロイの話によると
ロイ夫婦の年齢的には、既に300歳を超えるとの事。
これだけでも驚くがその年齢を生きる為に今まで身体の寿命が近づく前に
新しい自分達の身体を用意して今のアニマ状態からその体に乗り換えるらしい
その体自体も元々自分の身体を基本にしてる為
体自体は、普通の人間+魔法的に少し強化を加えた物との事
しかしそれだと寿命も普通の人間とほぼ同じ位で迎えるそうだ
その為今回は、思い切って出来る限りの事をし身体強化魔力強化等を行い500年は、生きられるという飛んでもない
ボディを作ったらしい本人達曰く最高傑作だと・・・
でもそれって本当に人間って言えるのだろうか?
本人達は、満足げに頷いてるが。
しかしそのボディが完成と同時に盗まれたらしい。
今まで結界や冒険者等を雇い守ってたらしいが当日そのボディに最後の仕上げとばかりに
魔力を徹底的に送り込んだらしい
そんな魔力が枯渇状態の時に何十人もの者達により襲われ弱った結界も破られ遂には、その一体を盗まれたとの事。
もしそのボディに乗り移れる事が出来れば大変な力を発揮し下手をすれば小さな国位なら一国を潰せる程の力を持つらしい。
ってそんなもん作るなよ。
そこでそのボディを取り返す為に同じ様な能力を持つボディに移る為には、
そのボディの適応者でありしかも魔力量が多い者でないと
今残っているボディに移れないらしい、
そこで連れて来られたのが俺?
「でもそれってあんた達の責任で俺自体全く関係ないよね。
何で俺がやらなきゃならないんだ。」
「実は、今の僕達にそのボディに移る事が出来ないんだ。
彼女は、有る契約の為その能力を失ってしまったし僕も移る事が出来ない
君の様な存在は、殆ど居ないんだ頼む。」
ボディに移るには、適性を持つアニマでも殺されてしまうとアニマにも無理な力が加わり
その適性が失われてしまうらしい、その点でロイは、移る事が出来ないとの事。
ロイが言うには、俺には、報酬としてこの家に有る物は、全て使ってくれるそうだ。
しかも何と金貨は、俺が遊んで数百年一人暮らし出来るほど十分な金貨も有るらしい。
これは、凄く魅力的。
それにメイリの話によると既に命を失った身の俺としては、
このまま日本へ戻っても浄化され天に上るか
自我を失ってさ迷うかかの何方かしかないからな。
こんな事まず経験出来ないしやってみるか。
「でも俺みたいな存在が殆ど居ないって事は、少なくとも誰か居たって事?」
「うむ確かに近い人が居た。しかし何故か急に居なくなってしまったんだ。
もしかしたら他の所へ連れて行かれたのかも知れない。そうなればなおさら急がねば。」
「じゃ盗んで行った人達が連れて行ったって事?」
「可能性が強い。」
「じゃ俺が引き受ければこの家の物は、自由に使い住む事も出来るんだね。まっどっちにしろ一度死んだ身
やるだけやってみるよ。」
「有りがたい。それでは、早速移って貰っても良いかな?」
「良いよ、俺がロイのボディに移れば良いんだね。」
「いっいや違うんだ。」
突然ロイが黙り込んだ。
改めて聞き直すと。
「実は、18歳に設定してあるメイリのボディ・・・」
「エッ!メイリさんのボディって事は、女性だよね・・」
「そう言う事だ」
そして又黙り込む。
16年彼女も居なかった俺に突然女性の身体に入るって大丈夫か俺?
「分かった乗りかかった船だやってやるその代わりロイのボディを取り戻したらそちらに移る事出来るかな?」
「それは、任せて欲しいこの体では、物理的な事は、出来ないが手伝ってくれる人さえ居れば男である君なら
移れる筈だ。
ただしその場合1年半それがタイムリミットだ
それを過ぎるとアニマが身体に定着し抜き出す事が出来なくなる無理に例えば殺す事などすればアニマにも影響が出て君の適応力が失われる可能性が高い。
それまでに俺のボディを取り戻して欲しい。」
今までどうやって移ってたか聞くと
何十年もかけて徐々に移る準備してある年齢で移ってたらしいが
しかし今あるボディには、その処置もしてないので死んで(殺す?)
アニマを離れさせる事もできずどうしても1年半が限度らしい。
1年半か、厳しいかとも思ったけども1度死んだ身やるだけやってみるしかないな。
「分かった。約束だ。じゃやってくれ」
そこへ突然メイリが話に入り込み
「ユキヤは、男だから女性の事余り分からないでしょうから女性の習慣歩き方や言葉遣い等習慣的に出来るよう貴方のアニマに付与させておくわね」
「メイリ有難う助かるよ。」
そうしてまさかあんな事になるとも知らずメイリ18歳の身体の中へ移る事になった俺であった。
ユキヤがその体に入り眠りにつくと
ロイとメイリが密かに
「メイリ確か女性の適性者探してたんだよな」
「う~ん間違いなく女性のアニマを探してたんだけど何でだろう?
もしかして異世界人って平均的魔力多いし私達と少し違うのかも知れないわね。
それにあれだけの適性者って他に無いわよ。」
「まあそれは、そうなんだがユキヤが女性としてやって行けるか心配だな。」
「大丈夫じゃない、その為に彼のアニマに女性の習慣的な植え付けたんだし。
でも、ちょっと楽しみね。」
そう言って悪戯っぽく微笑むメイリ。
それを見て頭を抱えるロイがそこに居た。