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178 女神と悪魔

王都シャシス某邸宅内の一室で立ったまま項垂れるエリアの姿が有った。

エリアが項垂れる前の机からは短く切った赤い髪に栗色の瞳の男性が両手を机の上に出し

じっとそのエリアを見つめて居た。


「エリア。一体どういう事だ?お前は白銀の魔女も勇者も倒したと言って居た筈だが?」


「それは・・でも確かにあいつ等は生きて居たけれど毒を使って致命傷を与えたのは確かなんだよ。

それなのに何故かその毒を解毒して回復して来た。普通なら考えられ無い事なんだ!」


「言い訳は良い!第一相手が普通の人間では無いからお前に任せたんじゃないのか?」


「そっそれはそうだけどさ。・・・」


「エリア。」


「ん?」


「それにお前私に何か隠して居ないか?」


「別に何も隠すなんて・・」


「レアと云う悪魔が居ただろう。」


「・・・アッアイツは大した実力も無いし無視しても良いかなと・・思ってさ。」


「そいつも殺せ。」


「ちょっと待ってよ!レアは上手くすれば仲間に引き込めるかも知れないし、それに」


バン!とっ両手で机を叩きエリアの話を途中で遮るとその男は立ち上がりエリアの横に立ち

エリアの顔を覗き込んだ。


「エリア。契約者としての命令だ。レアと云う悪魔をやれ。それまでは帰って来るな。」


「ハズ!でも、それは・・・」


「エリア、悪魔の契約は絶対なのだろう?ならば殺れ!

私はそれだけの対価を払って居る筈だ!白銀の魔女の事はそれからだ。」


「判ったよ。殺れば良いんだろ!殺れば・・」


「ああそうだ。それまで帰って来るな。良いな。」


「…転移」


エリアは黙ったまま頷くと転移して消えると

エリアの去った部屋へ待って居たかのように茶髪を伸ばし後ろで縛った一人の魔族の男が入って来た。


「あれで良いのか?」


入るなりハズと呼ばれた男に問いかける男は静かにソファーに腰かけた。


「アイツはまだまだ甘い。腹をくくらせる必要が有る。」


「しかし彼女は殺しに行った悪魔の事を気に掛けてるんじゃないのか?

だったらこちら側に引き込めば?」


「いいやダメだ!そんな考えだから彼奴は失敗する。」


「そうか。」


「それから今度はお前にも出て貰う事になるかも知れん。心して置いてくれ。」


「判った。」


そう云うとその男は又部屋を出て行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シフォン達が敵側のアジトBへ到着した頃には既に王都守護兵団が

アジト内を捜索しやじ馬がそのアジトを遠目から見て居る状態を見て全てが終わった事が

見て分かった。


入口へ向かうとその前にはシェルシアが一人中を覗きこんで居るのが見えた。

私が手を上げ挨拶をすると彼女も微笑み返してくれた為そのまま中へ入って行くとそこには

地面に座ったミナトの姿が目に入った。


「ミナト!」


「シフォン」


思わず大きな声で呼びかけると彼は振り返り私を見るその顔は

間違いなくミナトその人だ。


『ミナトだ!無事ミナトが帰って来た。』

そう思うと居た堪れなくなりミナトに駆け寄り抱き着いてしまった。


「ミナト!良かった!怪我は?痛む所はない?記憶戻ったんだね?」


立て続けに色々と質問したけれども彼はただ『もう大丈夫』の一言だけで言葉少なに答えるだえだった。

そして何故か視線は私でなく私の後ろへ注がれて居る事に気付き振り向くと

そこには立ち去ろうとして居るイズミの姿があった。


「ミナト、イズミが何か?」


「彼女に助けてもらったんだ。何時も彼女に助けられてばかりで・・」


「・・・そう、イズミに礼を云わなくちゃね・・・」


ほんの一言二言でも元気なミナトの姿を見て話が出来る事がとても嬉しく

私を『さん』抜きで呼ぶミナトが記憶を取り戻した事を示して居る事に直ぐに気が付き

涙が零れるのを我慢出来ずに居た。


「でも本当に記憶が戻って良かった・・・」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


時は少し遡りアジトBの入り口でシェルシアがシフォンがアジトの中へ入るのを見届けると

その直ぐ後ろに居たレイラと目が合った。


「「あっ!」」


暫く互いに沈黙の時間が流れ一歩前へレイラが出る事でその沈黙が破られた。


「何故偽善者がここに居る?」


「それは私が云う事。何故契約もせずここに悪魔が居るのかしら?」


互に微笑みながら言葉を交わして居たがその目は何方も笑ってはいなかった。


「流石偽善者、私が先に質問したのに質問で返すなんて礼儀知らずも良い所ね。」


「貴女には言われたく無いわ。

悪魔が何故契約も無しに此方へ来るとその場から動けないか知ってる?」


「さあ、そんな事考えた事も無いわ。」


「じゃあ教えてあげる力が有り過ぎる悪魔が契約という足枷も無く

自由に暴れ回れると困るでしょ

だから私達が対処する際逃げられない様に創造主が決めたからよ。」


「創造主?そんな事聞いた事も見た事も無いわ?」


「貴女の様な者にはお会いできる訳も無いわよ

だって私でさえ会えないんだから、

でも本当に居るのよ。

この世界をミリニシア様やあの分からず屋のババアまでも造り上げたお方がね。」


「ババア?」


「あっそこは忘れて、ちょっと口が滑っただけだから。」


「そう、どうやらアンタとは楽しい話が出来そうね。

ここじゃあ何だからここの2階で2人だけで楽しい話をしない?」


レイラが親指で敵が輪のアジトだった店を指さすとシェルシアも納得した様に頷いた。


「あら、私も同じ事考えてたのよ。気が合いそうね。少し話も長引きそうだし行きましょうか?」


そう云うとシェルシアが先に中へ入りイズミに2階へ行く事を告げると先に2階へ上がって行った。

そしてレイラもシフォンに近づくと


「シフォン、ちょっとここの2階借りるわね。」


「えっ?どう言う事?」


「うん、すぐ終わるからそれまでミナトと話をしてると良いわ。」


そう云い残すと先程入り口に居たシェルシアの後を追って2階へ上がった行った。


「あら?まだ随分ここにも人が居るわね。」


レイラがその場に居た王都守護兵の人達を睨み付けながら言葉を続けた。


「申し訳ないけど少しの任せて貰えないかしら」


そしてシェルシアも軽めに威圧を放つと3階からも転げ落ちる様に王都守護兵が駆け下り

そのまま1階へと走り去って行った。


レイラが探索魔法で2、3階に人が居ない事を確認すると

結界を張ろうとするのをシェルシアが止めた。


「それは私がやるわ」


シェルシアが両手を上げそれを静かに円を描く様に降ろすと建物全体に光が下りて来るのが判った。

それが徐々に薄いレースのカーテンの様な物に変わり結界が完成すると今度は

建物全体に強化魔法で強化した。


「これで良いわね。これで心おきなく」


「話し合いが出来るわね。」


シェルシアの言葉にレイラが答えた。


「じゃあ私から聞くわよ。何故私の邪魔をする!

私はただシフォンを助けたいだけ!

だから自分から力を使い此方へ来ただけじゃないか!ファイアーボム!」


ズン!


シェルシアがそれが爆発する直前にその場から飛び退くと今迄シェルシアが居た場所が火の子を散らして爆発し強化を施した壁にぶつかり消えて行った。


「それが私達女神の役目だから仕方ないのよ!さっさと魔界へ帰りなさい!ハンド!」


レイラの足元の石が無数の土の手に変わりレイラを捕らえようと伸びて来た。


「鬱陶しい気持ち悪いから消えろ。ライトニング!」


雷がそれらの手を吹き飛ばし元の石の床へと変えて行く。


「何が役目よ!普段何もしない癖にこんな時だけ仕事しようなんて虫が良すぎ!エアバースト!」


「もう!髪が乱れるじゃない!シールド!

それは私だって思う所は有るわよ!

大体あのクソッババァ・・・あっ!・・忘れて!

それにキプリニシア様に認めさせなきゃ私だって女神に戻れないかも知れないんだから

仕方ないじゃない!グラビティ!」


シェルシアがレイラにグラビティを放ちその動きを鈍らせた。


「ぬぅお!こんな物!グラビティ!つまりお前は落ちこぼれか!」


そのグラビティに耐えながら仕返しとばかりにシェルシアにグラビティ(超重力)を放つレイラ。


「この美しい私にこんな仕打ちなんて・・・この重力で垂れたらどうするのよ!ブースト!」


「何が美しいだ!一番綺麗なのは私のシフォンだ!お前などその下の下だろう!垂れろ!ブースト!」


何処がどの様に

垂れるか判らないが互に重力魔法に強化を掛け四つん這いになりながら口喧嘩を始めた。


「私が一番に決まってるじゃない!第一私は落ちこぼれじゃない!・・ねえグラビティ解除しない?流石にキツイ・・・」


「根を上げるの?私はまだまだいけるぞ。フ・・・フ・・ブースト・・」


「やっやせ我慢・・を・・云って・・かっか弱い私にはこの仕打ち耐えられ・・ない・

イヤだ~せっせめて白馬の王子様に・会う・までは・垂れるわけには・・えい!

お返し・・ブースト・・」


「うを!・・そんな・・もん・・か・・女神・も大した事・・あっが・・」


「・・・いい加減解除しなさいよ・・垂れるわよ・・ブッブッ・・止め・・」


「よっ・・よし・・3・・2・・1で一緒に・・解除・・で良いわね落ちこぼれの女神・・」


「き・決まり・・ね。行く・わ・よ・無・契約・ア・ク・マ・・」



「「3・・・2・・1・リセット!」」


グラビティを解除した2人は肩で息をしながらその場で仰向けに倒れ込むと

互に顔だけ相手に向けた。


「ハァハァ。よっ良かった垂れてない、間に合った。」


「その位で垂れてる様じゃ女神も知れたもんね。」


「煩い!私のこの完璧なプロポーションがそう簡単に崩れる物ですか!」


「ははっ云ってろ!私のシフォンが一番よ。」


「確かにシフォンは凄い子だけどこれだけは譲れないわ。あっそう言えば結界と強化解かなくちゃ。」


シェルシアがそう云うとその場で座り込み結界と強化を解くと。

それと同時にミシリ、ミシリと嫌な音が2人の周りから聞こえた。


「あれ?何の音?レイラ貴女の方から変な音が聞こえるわよ。」


レイアがそれを聞き周りを見渡し


「私の方じゃ無くてそっちから聞こえるけど。貴女の気のせいじゃない?」


「いえ、確かにそっちから・・」


シェルシアが確認すると確かにレイラの方から音がした筈と彼女の方を見ると

今度は確かにミシリと自分の下から音がしたのを確かに聞いた。

すると突然2人が居たその場所が崩れ落ちた。


「エッエッ!何?うぅわ~~!」「うわっぉぉ~!」


ドスッ!ドスッ!


落ち来る2人を見てシフォンとイズミが駆け寄って来た。


「シェルシア!」「レイラ!」「「何が有ったの?」」


「「ちょっと話し合いを」」


そして互いに見つめ合い微笑むその目は先程と違い

険の取れた優しい雰囲気を醸し出していた。


「レイラ、本当に何が有ったの?」


しかし心配そうにシフォンが聞いても答えは2人で話し合いをして居たというばかりで

それ以上何も聞い出せなかったが


それよりも仲良く話すレイラとシェルシアの仲が思って居る以上良くなって居る事に驚いて居た。


『一体何が有った?』

シフォンがその2人を呆然と見て居ると突然声を掛けられ振り向くと

そこには勇者が立って居た。


「勇者様どうしました?」


「レアの方で動きが有った。ボクはレアを追って浄化の森へレイを連れて行くから

シフォンは先にシトラルの所へ戻って居て欲しい。」


「一体何が有ったの?」


「僕にも良く判らないんだ。兎に角行って来る。」


そう云うと勇者は一旦外へ出るとレイの居る施設へと飛んで行った。

『浄化の森』それは魔族が口にしたワードの一つ勇者様の事だからと

大丈夫だとシフォンは自分に言い聞かせつつも何故か胸騒ぎがしてならなかった。


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