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174 反撃 その2

シフォンは幾つものエアーボールをスメイル達に放った。

それを見たスメイルはそれらを避けながらシフォンに対しバカにしたように言い放った。


「何をして居る。そんな物で俺がどうにかなると思って居るのか?」

白銀の魔女も知れたものだな」


そう言いながら鼻で笑うスメイルに今度はファイアーボムを放つが

それも簡単に避けられる。


「ムダムダ!そんな物が俺に当たる分けが無いだろう。」


「当たらなくても良いのよ。」


フッとシフォンは笑うと直ぐに前面にシールドを展開し更に


「エアボール」「ウォーターウォール」


自分を空気の塊で包みその周りを更に水の壁で包みこんだ。


『さて上手く行くかな?』


するとシールドの向こう側で爆発音が響くと同時に荒れ狂った炎がまるで生き物の様に

一気に空気を吸い込み部屋全体を包み込んだ。


衝撃の半分はシールドに吸い込まれそれ程大きくは無かったが

炎の勢いは一気にシフォンの周りにも広がり周りの空気を取り入れ

更に勢いを増しシフォンの水の防壁をジュウジュウと蒸発させて行く。


「うわっちょっとやり過ぎたかな?」


そう呟きながらその様子を見て居ると地下室の空気を食い尽くした炎は

徐々に衰えその規模を収縮させて行き幾つもの小さな火の塊に変わると

シフォンはシールドを解きその火を水魔法で消し去った。


そして改めて周りを見るとそこには黒く煤けた地下室の姿が広がって居た。

『う~~ん、ヤッパやり過ぎたかな?でもこの位しないと厄介な相手だったし』

そう思いながらその場に立ったままその厄介な相手を探すとシールドが有った少し先に黒く煤けたその男が倒れていた。


「そろそろこれ解いても大丈夫かな?」


シフォンが展開した水の防壁をチョンチョンと突きながらそれを解除するとツーンと焦げ臭い匂いが

シフォンの鼻を刺激した。


「うっちょっと早かったか・・・」


少し息苦しい中、スメルだった者の所まで行きその死を確認するとレイラの待つ地下3階へと走りだした。

『ミナト今行くから待ってて。』

しかしシフォンのその想いとは別に既にミナトはエリアと共に転移して行った後だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃エリアは人質のミナトを連れ他のアジトへ転移して居た。

そこには少なくても20名以上の魔族が常時居る筈なのだがやけに静かなのが気に掛かった。


「やけに静かだな?まさかとは思うが・・・」


そう言いつつ連れていたミナトを見た。


「こんな状態じゃこいつ邪魔なだけじゃん。どうしよう?やっぱり一気に殺しちゃうと

レイラみたいな奴が何をするか判らないからな。

今度は四肢をバラバラにすると脅して見るか。

実際目の前で腕の一本でも落とせばボクの云う事を聞くに違いない」


そう呟きミナトを見ると脅えた目で自分を見て

何かを言おうとして居る事に気付いた。


「もしかしてキミも死ぬ前に何か仲間に話したい事ある?

それじゃあ外してあげる優しいボクに感謝すると良いよ。」


エリアがミナトの猿轡を取るとミナトが大きな声で叫び出した。


「もういい!俺を殺せ!もう皆にこれ以上迷惑を掛けたくない!早く殺せ~!」


そのミナトの首をエリアが両手で鷲掴みにしてギュっと締め上げた。

苦しむミナトがバタバタと暴れるがそれを他所にそのまま続けると急にその力が抜けたのを確認すると

その手を離し自分の顔をミナトの顔に近づけた。


「死にたい?でも死ぬのは苦しいよ。今体験したでしょ。それでもまだ死にたいと思う?」


ミナトはゴホッゴホッと咳をしてエリアを見つめた。


「ウッ・・これ以上シフォンさん達に迷惑掛けたくない。殺せ!」


「まだ云うのかい?でもそれはもう少ししてからだよ。それまで待ってて欲しいな。」


そうエリアが云うとほぼ同時に幾人かの人が駆け寄る足音が近づいて来るのを感じた。

するとその部屋のドアがバン!と勢いよく開かれると男の声が聞えて来た。


「誰か居るのか?!」


その声にエリアが振り向くとそこにはレアとフェスタ達がそこに立って居た。


「あれ~、レアじゃない。とっ言う事はここに居た人達は皆やられちゃったのかな?」


「ああ、全員俺達が倒した。後はお前だけだ。」


「ふ~ん、でもボクはそんな簡単にはやられないよ。それに此方には彼も居るしね。」


そう言って後ろ向きで座って居たミナトを椅子に座らせたままレアの方に向かせた。


「ミナト・・か・・」


「ああ、そうだよ。そこを一歩でも動いたらこの男の四肢を一つづつ切り落とすからね。

そこを動かない様に気を付けて。」


するとエリアが剣をミナトに当てながらもう一方の手をレアの後ろに居たフェスタに向けた。


「サンダーアロー!」


それをレアがフェスタの前に土の防壁を展開させて防いだ。


「何しやがる!」


「今ボクは一歩でも動いたらと言ったよね。」


「はあ?それがどうした!俺は一歩も動いて居ねえぞ!」


「ああそう言えばそうだね。それじゃあ魔法も禁止。」


微笑むエリアが今度は又もやフェスタを狙い


「アイスアロー!」


「だから何しやがるんだ!」


そう言ってエリアに向かい走り出したレアが剣でそのアイスアローを叩き落とした。


「動いたね、それじゃあまず腕から頂ね。」


「ああ、勝手にしろ!ミナト2~3本手足持って行かれるかも知れねえが

シトラルが居れば何とかなるだろう。我慢しろ!」


「「ハッ?」」


思わずそのまま固まるエリアと愕然とするミナトが動きを止めた。


「お前一体何を考えてる!相手は人族だぞ!この男が苦しみながら死んでも良いのか?」


エリアが一度止めた剣をミナトに向けようとしたが

既に目の前にレアが迫って居る為それを諦めその剣をレアに向けた。


「そんな事知らねえ!生きてさえ居れば何とかなる!よ~し捕まえ・」


レアがその剣を弾き手を伸ばしもう一歩でエリアを捕まえようとした時


「転移!」


「くっそうー!逃げられた!」


後数センチでエリアを捕まえられるという所で逃げられてしまった。

そして悔しがり地面に拳を叩きつけるレアにフェスタが近寄って居た。


「レア、さっきの本気?」


「えっ?ああ、そうだけど。どうした?」


「どうしたもこうしたも無いわよ!あのエリアが本当にミナトの腕を斬り落としたらどうするつもりだったのよ!本当にシトラルに全て任せるつもりだったの?

その前にその痛みに耐えかねてミナト死んじゃうかも知れないじゃない!」


「えっ?そうなのか?腕の2~3本大丈夫だと思ったけど・・・」


「バカ!」


その言葉と共に棍棒で頭を真面に殴られ部屋の隅から隅へと飛んで行くレアの姿がった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


レアから逃れ又もやミナトと転移をして王都のもう一つのアジトに逃げ込んだエリアが頭を抱えていた。


「何なんだあいつ等は!これじゃ人質の意味が無いじゃないか!

此れだから悪魔は嫌いだ!」


そう呟いて居ると何故か嫌な予感がふと頭を過る。

『静かすぎる・・・』

確かに小さ目のアジトでは有るがここも必ず10人近い魔族が出入りして居た筈

なのに人の声一つしない。


不安に駆られミナトをそのままに暗い部屋の中ドアを探し出し静かに開けると

そこには見た事の有る数人の女性が居る事に気付いた。


「何故生きてる・・・」


そこには魔族達に殺された筈のセティアやカリナ、タルトの姿が有った。

そして『あれは精霊使いのイズミだな』


『又もやこの人質が役目を果たさないかも知れない。

もしそうなったらこの場で殺すしかないか・・・』


そう思いつつも彼女達の様子を見て居るとエリアの居る部屋の裏口から

5人の魔族が入って来るのが見えた。

『ついてる!』


「おい、エリアじゃねえか。珍しいなこんな所で。」


「向こうの部屋にいる連中は全員あの女の仲間にやられたらしいんだ。

だからボクに手を貸して欲しい。」


「何?白銀の魔女の仲間か?」


そう言って少し空いて居るドアの隙間から覗きタルト達を確認した魔族は

驚きながらエリアに小さな声で聞いた。


「何故あの女達が生きてる?確かに俺達が殺した筈だぞ!」


「さあ?でも今此方にはこの男が居る。此奴を使ってあいつ等を確実に倒さないか?」


そう言って縛り上げられたミナトの肩を揺するエリア


「でっ俺達は何をすれば良い?」


「まずはボクの後ろに立って指示通り動いてくれれば良いよ。」


「そうか、まかせた。」


するとエリアは縛られたミナトの縄を解き歩けるようにすると魔族の男に

バン!と力強く開けかせイズミ達が居る部屋へミナトを連れたエリアを先頭に5人の魔族が入って来た


「あっ!ミナト!」


最初に気付いたイズミが声を上げるとそこに居た全員がその方を見た。

イズミ達全員が縛られ身動き出来ないミナトを見ると一瞬その場で固まった。


「そうそうそうそう。その顔だよボクの求めて居たのは~。そう来なくちゃね。」


嬉しそうに笑うエリアにイズミ達は人質に取られたミナトを見入り

タルトは魔法の詠唱を始めセティアとカリナそしてヤグスはジリッと剣を構え

隙を見てミナトを救出する為

エリアの包囲を少しでも縮め様と静かに動いた。


「ああ~気持ち良い。やっぱりそれが人質に対する正しい反応だよね。

じゃあ剣を捨ててその詠唱を辞めて貰おうか。」


その言葉にヤグスがスッと視線をイズミ達に向けると素直に剣を捨てるイズミ

それに続いてボイス達も仕方なく剣を捨てた。

カラ~ン響き渡る剣を捨てる音が部屋中に響き渡り詠唱を止めたタルトと

ボイス達もがその場で動くのを止めた。


「あいつ等を縛れ。」


エリアの後ろに居た5人の魔族の内2人ががイズミ達を縛り出すと1人の魔族が

ミナトが逃げない様に押さえつける。


「さ~ようやくボクのターンが回って来たみたいだね。楽しみだよ。

皆動かないでね。動いたらこの男がどうなるか判らないよ」


そう云うと嬉しそうにイズミに向けて氷の矢を放った。



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