表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/240

16 竜人

シフォンが帰った後のジョイの部屋で。


突然ジョイが大きな声を出して笑いだした。


そして宙に視線を向けそこに誰かが居るかの様に。


「ロイ、シフォンと話してるとお前との事を思い出すな。」


ジョイとロイが出会った頃何故か息があった。


ロイは、発明家と言っていたが剣も得意で当時冒険者として活躍していたジョイと良い勝負をしていたのを思い出していた。


そしてロイが何か発明すると必ずジョイを誘いそのテストに一緒に向かった事。


空を飛ぶ装置を発明したと言っては、崖から落ちそうになり。


水の上を速く走る船を発明したと言っては、沈没し溺れそうになった等沢山死にかけた事を思い出した。


にも拘わらず


次は、何を作ろうと共に大笑いしながら一緒に過ごした日々を懐かしく思う。


「ロイ、やっぱりシフォンは、お前の娘だな。

俺は決めたよ、シフォンを全面的に協力する。

お前が何を盗まれたか分からないがやっぱりただ黙っている分けにも行かなそうだしな。

クラスDでは、自由に各国に出入り出来ないがクラスC以上のパーティと一緒なら」


勘違いをしているのに全く気付かず一人納得しているジョイだが

そう独り言を言うとそのまま机に向かい何か書類を書き出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



レイラにちゃっかり帰られ一人になったシフォン。


翌日は、別に何をする事も無くランチを何処かで食べようかと王都内でお店を探していると

前から歩いて来る一人の男性が何故か気になった。


風貌は、決して美男と言う分けでは無いが年は、20前後か見た目と言うよりその佇まい、

又はその男性が醸し出す何かがシフォンの興味を誘った。


相手の男性もシフォンに気付いたらしく気になる様子でシフォンをすれ違いざまにチラッと

その姿を見て行く。


今日のシフォンの姿は、何時もの仮面に王都で買った白地に紺のラインの入った長めのスカートに上は、

白いブラウスと、スカートとは逆の紺の地に白いラインの入った腰までの丈の薄いカーデガンの様な物を羽織っていた

目立つ服装でも無いのだが相手も気になった様ですれ違った後も振り返ってたりしていた。


仮面を付けていなかった頃は、別段珍しい事では、無かったが今の状態でそこまで見られるのは、珍しい。


シフォンも自分で何故気になったか分からず気にはなったが直ぐに気持ちを切り替え

お店探しを再開した。



縁とは、不思議なものでシフォンは、その男性と再び出会う事になる。


それは、その日の夕方シフォンの宿『エルカーミ』近くの店のテラス席で紅茶を飲んで時間を潰している時だった。


その男性がシフォンの近くに寄って来ると。


「すみません。私は、シトラル・バーニアルムと言いますが。宜しければ貴方の名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


シフォンは、又ナンパかとちょっと身構えたが。

余りにも他の者と雰囲気も違い丁寧にフルネームで自分の名と告げた事に対し。


「何か私に御用でしょうか?」


「いえ、私の知ってる方の雰囲気に似ていたものでつい声を掛けてしまいました。

ご迷惑であれば直ぐこの場を去りますがもし許して頂ければ名前だけでも教えて頂ければ幸いです。」


その普段聞きなれない丁寧な言葉に対し相手もフルネームで自己紹介したのだからと。


「私は、シフォン・クワィス・コーイケル、でも貴方の事は、存じませんがお知り合いの方とは、どの様な方でしょうか?」


男性は、一瞬驚いた様な顔をしたが直ぐに落ち着いた様子を取り戻し。


「あの、今確かにシフォン・クワィス・コーイケルと」



「ええ、それが私の名ですので。」


「そうですか、クワィス・コーイケル良かった、やはり間違っては、居なかった。」


そう凄く嬉しそうに頷く男性シフォンは、何をそんなに喜んで入るのか分からず。


「あの、家の誰かをご存じなのですか?」


「あっすみませんつい一人で盛り上がってしまって。シフォンさん貴方のご家族と言うより貴方のご先祖様に縁がありまして。」


シフォンは困っていた、何しろロイ達の先祖の事等ほとんど知らないのだから。


「宜しければもう少し詳しく教えて貰えると嬉しいのですが。」


しかしその男性の話は、シフォンを驚かす物ばかりだった。


彼は、約300年程前の大戦にロイと共に戦ったと言うのだ。

300年前ロイと一緒にって一体この男性の年は、一体幾つなのだろうか?


しかもロイとメイリの間に生まれた2人の子供がその戦争の犠牲になった事

自分は治療魔法が得意なのにその場に居なかった為2人を救えず後悔した事。


戦争の終焉を迎え王都に来たロイ達の生気が無く今にも崩れ落ちそうなその姿に愕然と膝を落とし

何と迎えれば分からなかった事。


暫くしてそのロイ達が王都から姿を消した事を静かな声で話してくれた。


しかし数十年前『クワィス・コーイケル』を名乗る者がこの王都に居る事を風の噂に聞き

ロイ達がその後子孫を残す事が出来たと知り喜んだが既に自分を知ってる者等居ないと思い静かに見守る事にしたが

数年前その『クワィス・コーイケル家』が襲われ誰も生き残りが見付からなかった事を知り2年前にここ王都に来たと話してくれた。


ロイ達に子供が居たそれも戦争で失った等初めて聞いて驚いたが。


まずは、このシトラルとは、一体何者?

300年以上生きている事になるけどレイラと同じ悪魔?


でもレイラとは、全く違う雰囲気に治療魔法が得意と言ってたから違うよね。



「シトラルさんで宜しいでしょうか?」


「あっシトラルで良いですよ。」


「それでは、お言葉に甘えて、シトラルは300年前私のご先祖様と共に戦ったと言われましたが

貴方は、一体・・」


「あっそうだな、俺は、竜人族だ。人の寿命は、短いが私達の寿命は、1000年を超える。」


「えっ竜人!」


驚いた!

竜人てドラゴンの末裔として考えて良いのか?


でも見た目は、どう見ても人としか見えない。


「すみません驚いてしまって。初めて竜人の方とお会いする物ですから。」


「構わないよ。大抵同じ様な反応されるからね。」


「あの私竜人の事良く知らないので良ければ教えて頂けますか?」


「ああ勿論。それから敬語は止してくれ私は、友人の末裔に会えてとても嬉しくて堪らないのだ。

その末裔である君に敬語など使われたら。」


それからシトラルは、竜人の事も続けて話してくれた。


以前と言っても300年ほど前になるがその頃余り人の前に出る事の無かった竜人族は、

その容姿から恐れられたり恐怖の象徴とされる事もあったそうだ。


約300年前の大戦後勇者から戦傷者の手当を手伝って欲しいとの話が有ったが

当時の族長は、人族が勝手に戦を初めて勝手に傷ついた者を

何故我らが治さなければならないのかと始めは、断っていたそうだ。


しかし何度も何度も勇者と言う立場も忘れて頭を下げて来る勇者に心を動かされ

遂に人間の治療に動き出したと言う。


それからは、竜人族の性格も知れ渡り中には、

人化を使い人の中に入り込んで生活する竜人も増え人と竜人族の間が縮まったと言う。


竜人族は、その容姿とは、違い比較的温厚で攻撃魔法よりも治療魔法を得意とする。


身体の大きさは、大きくても3メートル位で自分達が思って居たより人に近いサイズらしい。


と言う事は、目の前のシトラルも人化してこの姿になってるのか。


そして竜人として冒険者登録が出来る等と驚く事も教えてくれた。



「所ですまない。シフォンの事も良ければ話してくれないか?もしかしてご両親も健在とか。」


「いいえ、2人とも・・・」


「そうかすまないもし話したくなければそれでも」


「いえ大丈夫です。」


そこから自分が地球から来た事を隠しロイ達の娘として話を進めた。


屋敷が盗賊に襲われ多くの者が死又は、傷ついた事

ロイ達がその盗賊に襲われ死んだ事

その時大切な物を盗まれそれを取り戻す為

冒険者になった事。自分には、親から特別な力を貰っていた事を話した。


シトラルは、その話を聞いて納得したように頷き。


「そうか、それでシフォンは、仮面を・・・」


んっ?

何か勘違いしてるような気がするがそこは、説明するのが面倒なのでスルーする。


「良し。決めた。シフォン私も仲間に入れてくれ先程も言った様に私は、治療魔法が得意だ。

シフォンがどんな怪我をしようと必ず治して見せる

それに自分自身を守る位は、出来るし私もこれでもクラスCの冒険者だ。決して迷惑は掛けない

私に300年前君の先祖に残した悔いを又同じように今ここで出会った君に残したくない。頼む。」


そう言って急に頭を下げた。


「シトラルちょっと待って急にそんな事言われても困ります。」


「そうかそれなら暫く私は、シフォンの側に居るその間私を見て決めてくれないか。」


「分かったわ、申し訳ないけどそうさせてもらいます。それからで良いですよね。」


「それで頼む」


うっかり引き受けてしまったがこれが後であの様な事になるとは、思いもしなかったシフォンだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] シトラルがこれからどのような影響を及ぼすのか気になりますね〜 恋愛関係かはたまた、、、 ここ最近の楽しみになってますw 期待させて頂きますね( ´ ▽ ` )ノ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ