表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/240

143 4鬼神 ヤグス

イラエミス軍と魔族達が引き上げた翌日

今日は元女神のマリスシアと悪魔のレアがファシズ達の隠れ家に転移して

向こうに残って居るファシズの妻達を迎えに行く事になって居た。


しかしその前にファシズの目の前に座り込み真剣な面持ちでファシズの顔を見つめて居る一人の男が居た。


「ヤグス、俺達と来い。これからレミニアス魔王国を立て直すにはお前の力が必要なんだ。」


「だから言ってるじゃ無いか!僕にはそんな資格など無いんだ。僕はこの手で

今迄バクスの信用を得る為多くの人の命を奪って来た。その中には僕の師である ラモルも居るんだ。

僕は恩有る師をこの手に掛けた。そんな僕に今迄通り魔王国で過ごす事等出来る分け無いじゃ無いか。」


「じゃあこれからどうすると言うんだ。」


「こらからは、ムストニア王国のバレルの森へ行きラモルの育てた娘を陰から見守っていくつもりだ。

それが恩有る師へのせめてもの償いだ。」


「そうか、ならお前はその娘にどうしてラモルを死へ追いやったか説明責任が有る訳だな。」


「・・・ああ、許しては貰えないだろうけれど出来うる限りの事はするつもりだ。」


「じゃあここで彼女に話した方が手っ取り早いな。」


そう言ってファシズの後ろに立って居たフェスタを指さした。

突然自分を呼ばれ驚きながらファシズの側に来るフェスタの後ろから

ヤグスへ駆け寄って来たレアがヤグスの胸倉を掴んだ。


「お前がヤグスか!確か昨日フェスタが治療してたよな!

何平然としてフェスタの治療を受けてやがる!ラモルが居なくなってフェスタがどんな気持ちで居たか

お前に分かるか!フェスタはな事有る毎にラモルの名を出すんだ!

例えフェスタが許そうとも俺は許せねえ!貴様~~!」


「レア!止めて!」


レアがヤグスに向けて拳を振り上げるとフェスタが止めに入った。


「しかしよ~、こいつがラモルを手に掛けたんだぜ!」


「いいから止めなさい。」


渋々殴るのを止めたレアの側にフェスタが歩み寄るとヤグスが驚いた様子でファシズに向き直った。


「ファシズまさかこの子が・・」


「ああラモルの育てた子だ。お前はこの子に説明責任が有る筈じゃ無いのか?」


その言葉にしばし黙り込んだヤグスが意を決した様に立ち上がり目の前に立ち尽くす

フェスタに歩み寄り彼女を見つめると。


「キミがあの時の子か。・・・大きくなったな。 フェスタ・・すまない。」


ヤグスはその場でフェスタに頭を下げ十数年前ラモルと何が有ったかを話し出した。


あの日ヤグスは魔王バクスの指示でラモルが居るらしいと言われて居たバレルの森へ部下数名と共に向かった。


『良いかヤグス、ラモルは自分の弟子であるお前になら必ず油断をする筈だ。そこをついて

奴を消せ。そうすればお前には4鬼神の座が待っておるぞ。』


その言葉を聞きヤグスは小さな小瓶に毒薬を入れポケットに仕舞い込んだ。

ただその毒薬はラモルへ飲ませる為ではなく自分で飲むつもりで用意した物だった。

バレルの森へ着くと報告通りラモルと小さな少女が一緒に暮らして居るのを直ぐに見つける事が出来た。


その時ヤグスは

『この少女を殺せばラモルを逃がす事が出来るんじゃないか』

そう言う思いにも駆られたが勿論ラモルがそんな事を許す分けも無くその少女に挨拶をしてそのまま

ラモルと家の中へ入っいて行った。


「ラモル何故こんな所に居るのですか?バスクには既にこの場所は知れ僕が送られて来ました。

僕が師を殺す事に失敗した事にしますので早くお逃げ下さい。」


「私はあの子と一緒にここで暮らす事にした。もう逃げはしないよ。」


「ラモルお願いです。僕は貴方を殺したくない。だから」


「だから・・?その毒で自害して私を殺す事に失敗し、私に逃げられたと部下に報告させるつもりか?」


ヤグスは隠して置いた毒の瓶をポケットの上から片手でそっと撫でた。


「何故その事を!」


「私が気が付かない訳がないだろう?どれ、その毒を貸しなさい。」


「ダメです!ラモル!貴方を死なせる分けには行きません!」


「誰が私が今ここで死ぬと言った?私はあの子とここで暮らすと言った筈だよ。」


「では、何故この毒を」


「少々手を加える。」


ヤグスは不安を拭いきれなかったが渋々ラモルに渡す事にした。


暫くするとラモルはその瓶を持って来るとその場で飲み干した。


「ラモル何を!」


「大丈夫だ。直ぐ死にはしないよ。」


「しかしそれは猛毒の・・・」


「だから手を加えた、これは私の魔力を奪い姿形を変える事になるだろう。

そこでヤグス、頼みが有る。私は間も無く魔力を失うだから私の代わりに

あの子に今の私の姿事を徐々に忘れる様に術を掛けて欲しい。

そしていずれなるであろう年老いた私が元々の姿だと思わせて欲しい、

それがあの子の為だ。」


「待って下さい!それじゃ貴方はやはり死を!」


「直ぐには死なないさ。私はあの子の成長を見届けなければな・・・せめて一人で生きて行かれるようになるまでは、・・・人は誰もが年老いて死を迎える。それが少し早まるだけだ。」


「そんな!ラモル僕はそんなつもりで毒を渡したつもりじゃ無い!

貴方には生きていてもらわなければ!」


「そんな顔をするな、これが最善の策なんだよ」


「ラモルそんな事言わないで下さい僕は、貴方に生きて居て欲しい。直ぐに解毒薬を調合しますから」


そう言って薬品の置いてある部屋へ行こうとしたヤグスをラモルが腕を掴んで止めた。



「いやそれよりもヤグス、キミにはとても辛い事を頼まなくては行ならない。

これはキミにだけしか出来ない事だがやって貰えないだろうか?」


「ラモル、貴方が近い内に死する事を知って僕に一体何を。」


「これは私の最後の願いだ聞いてくれないか?」


「分かりました貴方がそこまで言うのなら何でもします。ですから死等と言う選択は・・・」


「最善の策と言っただろう。ヤグスお前は優しい男だ

そんなお前にこんな事を頼むのは非常に酷な事だと思うしかしこれを頼めるのはお前しか居ないだから聞いてほしい。」


「はい・・」


項垂れた僕がラモルから聞かされたのは

僕がラモルを殺した事にしてバクスの信頼を得て彼の側でいずれファシズが動き出すであろうその日に備える事。


それには長い年月辛い思いを強いる事になるがそれが出来るのは自分しか居ないと。

そして僕はラモルに言われた通り少女にラモルの今の姿を忘れる術を掛けバクスの元につく事にした。

バクスの信頼を得る為今迄何でもやって来た。

時には人族に手を出し同族のバクスの反対勢力への粛清にも手を貸し多くの命を奪って行った。

僕の手はそうやって汚れて行った。


そして又前魔王カラファ派の者達への説得と共に秘密裏に信頼できる者達を探し出し

10年以上の間どんなに嫌な事でも自分を殺しバクスの言うがまま動いたが用心深いバクスは

最後まで僕に本心を明かす事は無かった。


そんな時、特殊な力を持ったマリスシアに出会った。

彼女の力のお陰で人の命を奪う事が殆ど無くなったが逆にバクスの自分を見る目が更に厳しくなった気がした。


そして遂にファシズ達が動き出し怪しまれて居る自分からではなくリアナを通して

バクスに助言として話を通して貰い今に至った事を全てフェスタ達に話した。


「ヤグス、貴方はずっと一人で10年以上そんな辛い思いをしていたんですね。」


ぎゅっと拳を握るヤグスの顔を見ながらフェスタが近寄ると

その手を両手で包んだ。


「貴方はラモルの意思を継いだ。そう言う事よね。有難う・・・」


そのままフェスタは下を向くと涙が零れ落ちた。

そしてそのままヤグスに零れ落ちる涙をを拭く事無く顔を向けると。


「私はレアが居るから大丈夫。だからもっと自分を許してあげて、そして本当に自分の思う道を進んで下さい。きっとラモルもそれを望んで居ると思います。」


「どうだヤグス、俺達と来ないか?俺とクリアが魔王の仕事に付くと

4鬼神の座に就く者が空く事になるお前がそこに入ってくれ。」


ファシズがヤグスの肩に手を掛け誘うがヤグスはまだ項垂れたまま


「しかし僕は・・」


「いいから来い!」


その強い声にようやく顔を上げたヤグスはファシズの顔を見つめた。


「僕で良いのか?」


「お前しか居ない」


「分かった。やらせてもらう。」


そしてヤグスがリアナと共に新制レミニアス魔王国4鬼神の一人となった。

午後からはマリスシアとレアが転移でファシズの隠れ家に赴き残って居たファシズの

妻達を連れ帰り無事の再会を喜んで居た。


しかしそこにはファシズ達に捕らわれていたジャグリスとドゥガの姿も有った。



現在『男の娘って何』

https://ncode.syosetu.com/n0108ge

と又もやコラボ中~。



これらは、同日更新又は前後日更新の物と同時間軸の物とする予定ですので

興味の有る方は、覗いて見て下さいませ。

今後とも『異世界で最高の・・』

宜しくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ