117 魔族とシフォン
現在又懲りずに『男の娘って何』
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3章 2~コラボ中~。
これらは、同日更新又は前後日更新の物と同時間軸の物とする予定ですので
興味の有る方は、覗いて見て下さいませ。
今後とも『異世界で最高の・・』
宜しくお願いします。
レアが降り立つとほぼ同時に魔族らしい角の生えた青い髪の男性が捜索に来た兵士達の元へ
歩み寄るのが見えたが兵士達はその男を警戒して近寄らせなかった。
シフォンはその男と話をする為兵士達の前に出ると兵士長にその場に留まるように伝え更に
その男の前へと進み寄った。
「私はシフォン、貴方には白銀の魔女と言った方が分かり易いかも知れないわね」
するとその男が驚きの表情を表し
「貴女が白銀の魔女。俺は元魔王軍四鬼神の一人ファシズ・マリガンス、
魔族だが現魔王と対立する者だ。
実は貴女達と話がしたいと思って居たんだ。出来れば落ち着いた所で話をしたいんだが。」
「現魔王と対立して居る魔族が居るの?それじゃ行方不明になった兵士達とは」
「彼等は、現魔王側に操られて居る。今俺達を襲って来た奴らもアイツに操られて居た者達だ。」
そう言って両手を縛られた一人の魔族を指さした。
そして続けてシフォンに向かい。
「どうだろう俺達を信じて話し合いに乗って貰えないだろうか?」
その言葉を聞き改めて彼の仲間達を見るとそこには見た事の有る顔が数名居た。
『あれは確かイズミの友達よね。それにあのエルフはシャーリの姪・・確かタルトと言ったわね』
それを確認すると目の前の男に対して。
「分かったわ。どうやら私の知って居る人達も居る様だし信用しましょう。
ただ彼らは何処まで信じてくれるか分から無いけど」
そう言ってシフォンの後ろで剣を構えている兵士達をチラッと見た。
その後シフォンの説得に応じて兵士長が話し合いを認め
シトラル始めフェスタまでシフォン一行全員と兵士長とその部下3名
魔族側はファシズと前魔王の妻と言われるミンク・シャルドとその娘カフェス・シャルド
そしてファシズの部下3名と護衛としてテント前でオアニニスの兵士と入り口を挟んで3人ずつ立ち話し合いが始まった。
口火を切ったのは魔族のファシズと言う男だった。
「まずは、自己紹介をさせてもらおう。俺は元魔王軍四鬼神の一人ファシズ・マリガンスそして
隣に居るのが元王妃のミンク・シャルドそして姫・・いや彼女の娘のカフェス・シャルドだ。」
『元魔王軍四鬼神』と言う言葉を聞いてフェスタの表情が変わった。
ラモルと同じ元魔王軍四鬼神の一人ならばきっとラモルの事を詳しく知って居る筈。
そう思うと居ても経っても居られなかったがこの緊張したテントの中では
自分本位の行動をとる分けにも行かず我慢するしか無かった。
そしてシフォン達も自己紹介を始めフェスタの所へ来た時に
フェスタが気にして居たラモルの名をシフォンが出した。
「彼女の名はフェスタ。ムストニア王国のバレルの森でラモル・ファシシアと言う魔族の方と暮らして居たそうです。」
その名を聞くとファシズが驚き思わず立ち上がった。
「何!ラモルと一緒に暮らして居た少女だと!」
その行動にオアニニスの兵士達も立ち上がり剣に手を添え
一時緊張状態となったがファシズが両手を軽く肩まで上げながら静かに又席に着いた為それ以上揉めそうな様子は無かった。
その後最初に口を開いたのはやはりファシズだった。
「俺達は前魔王のカラファ様の意思を継ぎ人族とも上手くやって行きたいと思って居たが
現魔王のバクスは自分の力を示し魔王国の領土拡大を図って居る。
俺達はバクスを倒しカラファ様の思う人族と共に歩んで行ける魔王国にしたい。
これは互いに利害は一致してると思うが協力して貰えないだろうか?」
「残念ながら我々は魔族を信用できない。一体どうしてお前達を信用しろと言うんだ!」
突然立ち上がり強い口調で魔族を否定したは兵士長だった。
「その気持ちは分かる。しかし見てくれカラファ様の奥方であられたミンク・シャルド様は人族だ。
自分の愛する者として人族を選んだそれだけ前魔王カラファ様は人族と共に歩もうとしておられたのだ。」
「それがもしウソだとしたら?一体何が本当で何が嘘なのかそれを証明する物等何も無いじゃないか!
我らの仲間を操って居たという魔族もそうだ。自分の言う事を聞かない仲間を犯人に仕立て上げる
魔族ならその位するんじゃないか?」
いきり立つ兵士長はっまだ興奮を抑えきれずにまだ何か言おうとして居たが
隣で控えていた兵士に宥められそこまで言って席に着いた。
それを見て居たシフォンが魔族のファシズと前魔王の元王妃とその娘たちを見ながら
立ち上がった。
「人族側としては兵士長の様な意見が大半だと思いますが私は彼らは信じられるのではないかと思って居ます。
彼等の中に私の知り合いが居るのもその理由の一つですがファシズ
の話を聞く限り信じるに足るものではないでしょうか?私の聞いた所ではここ200年程魔族側から大きな動きは無かったと聞いて居ます。それが彼が話して居た魔王カラファが統治して居た時期で今また動き出したのは政権を奪い取った魔王バクスが動き出した為だと考えられ無いでしょうか?」
「白銀の魔女殿!それは余りにも危険な考えではないでしょうか!」
兵士長が又もや興奮した様子で今度はシフォンに向かて怒りを露わにして来た。
しかしシフォンもその兵士長に対して臆せず。
「兵士長先程申しました様に魔族を嫌うのは分かります。しかし今魔族側の動きに矛盾が有るのも確かです。私が初めて魔族を見た時彼らは互いに争って居ました。それはきっと現魔王側と前魔王側との争いでは無かったのではないでしょうか?その事は国王にも報告して有りますので兵士長もご存じの筈ですが?」
「魔族は信用ならん。それも奴らが我らを騙す為の物だったかも知れないでは無いではないか!」
結局この日は魔族側と物別れに終わりその内容は急ぎ駐屯地へ届けられその後王都ニニスの本部に
送られ国王の耳に入る事になった。
そしてそれが後にシフォン達の行動に大きな影響を及ぼす事になる。
この会談後ファシズがテントから出て来ると後を追う様に出て来たのがフェスタだった。
「待って下さい。少し私に時間を貰えないでしょうか?」
「ああ、確かラモルと一緒に暮らして居たと言うフェスタだったかな?」
「はい。その貴方は元四鬼神の一人だとお聞きしました、それならラモルの事も詳しく知って居るのではないかと思いまして・・」
「良く知ってるとも、奴とは結構気が合ったからな。」
それからテントから少し離れた所に倒れた木に腰かけ2人でラモルの事や
魔族に着いて話し合った。
その中で幾つか分かった事が有る。
それはラモルは元王妃やその姫達を守る為元四鬼神と数十名の仲間と共に『現魔王バクスから逃げて来た事』
その元王妃達を守る為殿を務めていたラモルが『皆を逃がす為バレルの森に残った事』
その後追い着いて来る筈だったそのラモルが何時まで待っても『待ち合わせ場所に現れなかった事』
そしてラモルを訪ねて来た『ヤグス・ハンガルドと言う魔族が現魔王軍四鬼神の一人で元ラモルの弟子であった事』
そのヤグスと会ってからラモルが年老いて行ったのはおそらく
『ヤグスがラモルの魔力を少しづつ失わせる薬を飲ませたのではないかと言う事』
そのヤグスが『私に魔法を掛けてその記憶を保てなくしたり疑問を抱かない様ににしたのではないかと言う事』だった。
ただ後半の幾つはあくまで推測であって本当は何が有ったかはそのヤグス本人に聞くしか無かった。
それらを聞いたフェスタは有る決心をした。
「私シフォンが何と言おうと貴方達に着いて行きます。連れて行って下さい。お願いします」
ぎゅっとファシズの右手を握りしめていた。




