勇者なのに本人はやる気なし
僕は伊藤亮一、ごく平凡な高校2年生。
毎日休まず通学し、平凡で変わらない日々に、何気ない出来事、
時には泣いたり笑ったり。
その何気ない日常の、繰り返しが僕の生活スタイル。
それで満足だし、特に変わったこともなくていいし、
トラブルはなるべく避けて生活している。
そんな、なんの変哲もない日々を送る僕に、ある日使命が与えられる。
「勇者になって世界を救ってください!!!」
普通の生活を望んでいるの僕が、なんでこんなことになってしまったのか?
一体どこから来たのか、突然目の前に出現した、妖精の少女ニーノ。
トンボのような羽が生えた50㎝程の女の子。
僕は危ないから、変な化け物をたまたまを追い払っただけなのに。
それからニーノに大きく期待されてしまい、それから僕の生活は急変していく。
でも、結局事なかれ主義。
少女ニーノの要求に答える気は無いし、
正直やる気もない。
でも、その性格のためにハッキリと断れ切れずに、
どんどん深みにハマっていく。
これから僕は一体どうなるんだろう?
第1章 出会い
そろそろ冬の入り感じる寒さの、学校帰り。
今日は毎週楽しみにしてる、インターネットのアニメ番組がある日だ。
僕は寄り道もせずに真っ直ぐ帰ろうと学校を走って出る。
そん何の変哲もない帰り道、前触れもなく
辺りがが突然薄暗くなる。
「あれ?」
僕が立ち止まって、不思議がっていると、
地面から黒い馬?
のような3メートル程の怪物が現れる。
目が赤く鋭く光っていて、息が荒くこっちを見ている。
「な・なに??」
僕はとっさの事にどうしていいかわからず、その馬を見ながら恐怖で棒立ちしている。
すると、息を荒げた、その馬が、急に僕に飛び掛かってくる。
「うわっ!!」
僕は思わず転びながら避ける。
何とか偶然よけられたけど、また攻撃してくる。
その時、僕の右手に何かが触れる感触がある。
反射的に思わずそれを馬の前にかざす。
すると
(ザクッ)
と音がして、
(ドサッ!)
と馬は倒れる。
「え?どうして?」
と僕は不思議に思い、手に持ったものを見る。
そこには青い炎に包まれた剣。
「なにこれ!?」
と僕は驚きながら剣を見る。
長さは1メートル程で、青い炎は、ゆらゆらと揺らめいている。
そのまま僕は剣を見つめながら、固まっていると、
薄暗かった辺りは明るくなり、元に戻る。そして馬の姿もいつの間にか消えていた。
そこには、何か光るものが。
「これってネットマネーのカードだ」
定額のネットゲームでの、買い物が出来る券。
どうなってるのか良く解らなかったけど、そのままなのも何だし
僕はとりあえずポケットに入れる。
すると、どこからか
「すごいです!」
と甲高い女の子の声がする。
僕は「!!」
と驚いて飛び上がる。
そして(え、どこ!?)
と声が聞こえる方を向き、キョロキョロする。
すると
目の前が、光始める。
そして
(パッ!)
と輝く。僕は思わず目を瞑る。
ゆっくりと目を開けると。
そこに50㎝程の謎の少女が現れる。
見ると、背中にはトンボのような羽が生えている。
外見は金髪の髪でロング、薄緑のフリルが付いたスカートと水色のビスチェを着ている。
まさに(妖精)と言うにはピッタリの外見。
「え?」
僕は何が起こったのかわからず、呆然としている。
すると
「素晴らしいです!」
と声高にその少女が言う。
そして
「初めまして!私はニーノです!」
と言われ、更に
「よろしくお願いします!勇者さま!」
と、元気よく宙に浮きながら、ペコリと頭を下げて挨拶してくる。
僕は
「あ、こんにちは」
と反射的にペコリと頭を下げる。
これも誰とでも当たり障りなく接する僕の癖、つい誰にでもすぐ頭を下げてしまう。
ニーノは
「さっきは凄かったですね!!」
と言う。
と、いうことは、僕の行動を見ていたんだ。
「いや、別にさっきはこの剣が勝手に・・」
と僕は右手を見る。
「あれ!?」
そこには剣はなく。
手に持っているのは、僕のスマホだった。
それをニーノは見ると
「それが剣に変化するんですね!!」
と感心している。
「いや、これは・・」
僕は訳が分からなかった。
「なんで?」
僕は余りに色んなことが起こりすぎてパニックになっていた。
そんな時ふと、スマホの画面の時間を見ると時刻は17時、
(ああ、もうアニメは終わってしまった!)
(楽しみにしてたのに・・)
僕は残念な気持ちでいっぱいだった。
僕はその余りのショックでその後、覚えていない、
アニメを見逃したことが残念すぎて、
ガッカリしながら、自宅へ帰る。
その帰り道、何か小さな蛍?
みたいな光がふわふわと頭上を漂っていたけど、
気にしていなかった。