肉がガッツリ食べたい
あ、肉がガッツリ食べたい。
こう何と言うか、肉ーって感じの肉の塊を食べたい。
よし、今日は肉を焼こう。
そうと決まれば肉と焼肉のたれを買いに行こう。
大抵の肉は焼肉のたれさえあればとても美味しくなる。
そう思ってエコバッグと財布と携帯を持って玄関を出ると、目の前に巨大な鋭い牙の口が大きく開いていた。
そのまま口の中に包まれて、生臭い臭いに包まれてしまう。
体には唾液が絡みつき、ねばねばとしていて非常に気持ちが悪い。
喉の奥に流されてはたまったものではないと近くにあった歯にしがみつくと、同じように歯にしがみついているトゲトゲとした生き物が目にはいった。
そのトゲトゲとした生き物のしがみついている所は赤く腫れ上がっており、巨大な口の主の悲鳴が聞こえた。
「頼むから口の中にいる変な奴を取ってくれ!」
「そしたら口から出してくれる?」
「もちろんだ!」
泣き出しそうな声に、溜め息をつきながらもそのトゲトゲとした生き物の所へと行き声をかける。
「ねぇ、一緒に外へと出ましょう?」
すると、トゲトゲとした生き物はプルプルと震えながら言った。
「食べられるのは嫌だ!」
「大丈夫よ。そとに出してくれるって。」
「そんな言って飲み込まれたらどうするんだ!」
「その時は胃の中でそのトゲトゲで攻撃をしたらいいよ。」
その言葉に、口の主は悲鳴を上げた。
「痛い事を想像させないでくれ!飲み込まないから頼む!」
「ほら、ね?」
トゲトゲとした生き物は、頷くとゆっくりとトゲを納めた。
私は抱き上げると声の主に言った。
「ほら、出して?」
口の主は、ゆっくりと口を開いた。
外へと出ると、そこは森の中で、目の前には巨大な口の毛むくじゃらの生き物がいた。
「ありがとう。救世主よ。本当に感謝する。」
「いえ、私はただの主婦なので。」
「主婦様!僕も感謝します。」
まんまるはコロコロと動いた。
「野の草を食べていた時そいつを間違えて食べてしまってな。すまなかったな。」
「そうだったの?てっきり、食べられるかと思った。」
「いや、わしは草食だ。」
「良かった!仲間だ!主婦様は?」
「私は雑食です。」
すると少し驚いた顔で見られて心外です。
でも、今は肉食な気分なんですが、草食の方を前にそうは言えず困りますね。
「主婦様、お礼にわしのとっておきのキノコをプレゼントいたしましょう。こちらへ。」
「僕は美味しいモチモチの実をあげるよ!」
えー。私は大変今は肉の気分なんですが、お礼って断るに断れない。
仕方がないのでついていくと、目の前にはきのこの群生が現れた。
その中の一つを毛むくじゃらは持ってくると言った。
「生で食べるのが上手い。そら、どうぞ。」
えー。本当かなぁなんて思いながらゆっくりと一口かじって衝撃を受けた。
ほどよく弾力のある食間。口の中で溢れる液体
。
「肉だ。」
「いえ、きのこです。」
「モチモチの実を取ってきたよ!はい!」
「きのこと一緒に食べると美味しいですぞ。」
そう言われてきのこと一緒に口に入れて衝撃を受ける。
「なんて!なんて濃厚なソース!!」
焼肉のたれを超えた。
こいつら草食って嘘だろう。これを好んでるなら絶対に肉食だと思った。
その後他にも色々木の実とか草とか貰って帰って美味しそうに並べてみた。
「わぁ、、、なんか今日は野菜尽くしだね。」
少しがっかりとした顔に私はにこりと笑みを浮かべて言った。
「食べたら、分かるよ。」
「えー?何それ。ちょっと怖いね。では、いただきます。」
「どうぞ召し上がれ。」
一口食べた瞬間の恍惚とした表情に私はにやりと笑った。
今日もお仕事お疲れ様。
今日は野菜三昧といきましょう。