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紅玉眼

 

 エルビンはある朝、眼が覚めると目が焼ける様に猛烈に熱かった。


 まるで目に焼けた鉄の棒を突き刺された様だ。(実際にそんな体験はしていない)


 エルビンが痛みで叫び声をあげると、すぐに次女や兵士が飛び込んで来た。


 そのすぐ後にカザールも部屋に飛び込んで来て、すぐに治癒師を呼ぶように侍女に命じる。


 治癒師はすぐに来てエルビンの目を診療する。


「見た事のない症状ですな。目が赤くなっております」


「ん?元々エルビンの目の色は赤色だが?」


「いえ、今までの赤色よりも強く、まさに真紅と呼べる色ですな」


「真紅の様に赤い目…………もしや!」


 カザールは何かに気がつくと、この城の書物などを置いてある図書室へと急いで向かう。


「爺!爺はいるか!」扉を開けるなり、カザールはそう叫ぶ。


 爺とはこの図書室の主でもある、長年侯爵家に使える使用人の中でも最年長の老人の事である。


 別名図書館の主である。



「はい、ここに居ますよ。そんなに慌ててどうしましたカザール様」

 そう言って近くの本棚の後ろから姿を見せたのは、白髪の老人である。


「爺!そこに居たか!すぐに我がバルフィナンス侯爵家の秘伝書の巻物を見せてくれ!」


 その只ならぬ様子に爺と呼ばれた老人は、すぐに奥の方へと向かう。


 戻って来ると、その手には古い巻物が握られて居た。



 その巻物をカザールは手に取り、素早く中を見る。


 其処には今のエルビンと酷似した内容が記載されて居た。


「なんと………【紅玉眼】と言うのか。それにしても凄まじい能力であるな」


 巻物に書かれて居た内容は〈我々バルフィナンス一族の特徴はこの赤い目である。そしてこの赤い目には特殊な能力が宿っているが、全ての者がその能力を開眼出来る訳ではない。血の滲むよう様な修行の末漸く習得出来る代物である。だが、時折何かしらの拍子に偶発的に【紅玉眼】を開眼する者がいる。

 紅玉眼とは真紅の眼のことを指し、その能力は三つある。一つ目は魔力を見る事が出来る事だ。これにより魔物や魔獣の発見は容易になり、さらに相手が魔法を使う兆候をすぐさま、その魔力の流れにより判別出来る。

 二つ目は魔力を持つが、自力では引き出す事が出来ない者から、魔力を引き出す事が可能になる。

 そして最後の三つ目は、呪炎と言う特殊な異能が使える事である。

 魔法の種類の中にある呪いの類の中でも、強力な契約に類しており、紅玉眼保有者が指定した条件を破るとその身体を焼き尽くすのである。呪炎をかけられた者は、身体の何処かに炎の刻印が刻まれる。解除する事が可能なのは紅玉眼保有者のみである〉


 他にも色々と書いてあるが割愛する。


「ふむ、取り敢えず目の熱さは暫くすれば治り、3日ほど昏睡状態になるがすぐに元気に回復するのか。だが、一応治癒師には付いていて貰うか。ありがとう爺。これをまた保管しておいてくれ」


「畏まりました」


 爺は大事そうに巻物を受け取ると、また奥の方へと引っ込んで行く。


 すぐにカザールはエルビンの元へと戻り励ます。


「エル、大丈夫だ。私が付いているぞ。どうやらその症状は暫くすれば治る様だ」と伝える。


 エルビンも頷き暫くすると燃える様な熱さが治って行く。



 それから巻物に書いてあった通りに、3日ほど昏睡状態に陥ったが3日後にはすっかり目が覚め、目の色も真紅に変化していた。


 その後はカザールはエルビンにその目の事を話し、他言無用だと伝えた。


「わかりました。決して話しません」とエルビンも承諾した。


 それならしばらくは安静にしてなさい。とカザールは良いここ数日溜まっていた書類仕事に戻った。



 数日安静にすると、漸く父から外出の許可が出たので、ここ数日会えなかったラックとミュゼに会いに行くことにした。



「これが魔力が見えると言うことか」

 エルビンの目には魔力を持つ者には、その者を包む様なオーラの様なものが見えた。


 色が違うのは得意な属性だろう。


 その事を父に話すと「うむ。何人かは適性があるのだな」と頷き、誰に適性があるか言うように言われた。


 取り敢えずオーラを纏った者の名前を挙げて行く。



「なるほどな。またわかったら教えてくれ」と言い父は仕事に戻った。


 エルビンも二人に会いに村に向かった。



 馬車で向かう途中も外の景色を眺めながら、道行く人を見る。


 だが、意外と魔力を持つ者は少なく領都には殆ど居なかった。


 まあ、そうポンポンと魔力を持つ者がいたらもっと魔法使いの数も多かったであろう。



 そうして村にたどり着きラックとミュゼを見ると、二人には魔力が備わっている事が判明した。


 二人にその事を話したかったが、父からは他言無用だと言われているので話すことが出来ない。


「おう!エル!大丈夫か?熱だって聞いたけど?」

「うん、もう大丈夫だよ」

「そっかぁ〜良かった」

「うん、元気になって良かったね」

「ありがとう、二人とも」


 エルビンの元気な姿を見た二人は、安心した様な表情をする。


 一応外出の許可は出たが、まだあまり長い時間は許可されていないので軽く世間話をしてから帰る事にする。



 帰った後は、カザールに素質のある者達の名前や居場所や容姿を話す。


 その中にはラックとミュゼの名があった。

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