招待
今回の台風は半端ないですね!
停電になったり大変でした。
城に着いたので、馬車から降りる。
「ようこそ二人とも、歓迎するよ」
先にエルビンが馬車から降りて、両手を広げて二人を招き入れる。
エルビンの背後に並んだメイドや執事が一斉に頭を下げる。
「おう!お邪魔するぜ」
肝が据わっているのか、動じる事なく堂々とした態度でラックが馬車から元気いっぱいに飛び降りる。
その光景をミュゼは頭を抑える様にして、まるで頭痛がする様に頭に手を置き降りてくる。
「はぁ、ラック!もう少し言いかたって物があるでしょう?もう、見っともないわね」
「何がだよ?俺はいつも通りにしただけだぜ?」
「そのいつも通りが問題なのよ。いい?今日は大人しくしといてよね」
「まあまあ、二人共。いつも通りにしてくれた方がこっちも気が楽だからそうして」
「ほら!エルもそう言ってるぜ?」
「はぁ、もう知らないからね」と一度大きな溜息をしてから、エルビンに向き直り「お邪魔するねエルくん」
「うん、どうぞ」とエルビンが言うと使用人達が「「「いらっしゃいませ。ラック様、ミュゼ様」」」と声を揃えてお辞儀をする。
「すげぇ!息ピッタリだな!」とラックは感心していた。
「うん、確かに凄いね。でも当たり前か……何せバルフィナンス侯爵って言えば、貴族の中の貴族の大貴族だもんね。このエイラム帝国の十大貴族で確か魔導貴族のトップに位置する偉い家だものね」
「詳しいなミュゼ」
「何言ってるのよラック。村長さんが偶に勉強会を開いてくれてるでしょう?その時にこの村を治めるバルフィナンス侯爵家の事も教えてくれたじゃない」
ラックは頭に手を置いて「いや〜、俺って勉強嫌いじゃんか?だから殆ど寝てて聞いてなかったんだよな」
「もう、これからはちゃんと聞いときなさいよ」
「わかったよ。そう怒るなって」
「二人共、そろそろ中へ入らない?」
「そうだな。よし!行こうぜ」
「もう調子が良いんだから」
エルビンは二人を連れて城中へと入る。
「うわぁ!広いな」
「うん!凄く広いね」
二人は楽しそうにエントランスを見回す。
「色々と城の中を案内してあげるよ」
そう言ってエルビンは教えても問題ない場所を紹介して行く。
「とても一日では、周りきれそうにないね」
「ああ、あと二、三日は必要だな」
そう呟く二人にいつでも来て良いと伝える。
そう言うと二人は喜んでくれた。
まあ、ミュゼの方は少し恐縮としていたが、ラックは相変わらずであった。
そして色々と回っているうちに、時刻は昼に差し掛かっていた。
「二人ともそろそろ昼食にしようか」とエルビンが言うと、タイミングよく侍女長がやって来た。
「エルビン様。奥様がお友達二人と共に一緒に昼食にしないかとお誘いが御座いますが、如何致しますか?」
「そうだね。二人とも母様と一緒に食べない?」
「おう、エルの母ちゃんにも会ってみたいしな」
「ラック!もう、私も参加します」
「畏まりました。では、その様に伝えさせて頂きます」
侍女長は一礼して立ち去っていく。
「あ!でも私達こんな格好だけど良いのかな?」
そう言うミュゼとラックの服装は、平民がよく着る麻で出来た簡易な衣服である。
ラックは短パンに半袖姿で、ミュゼも簡素なワンピースである。
「大丈夫だよ。任せて」
そうエルビンは二人に言い、彼等の服装を用意する。
「さあ、好きな服を選んで」
そう言うと小さくても女の子なのか、ミュゼは目を輝かせて「本当に良いの!エルくん!どれでも好きなものを選んでも!」と興奮気味に問い掛ける。
「うん!好きなものを選んでくれて良いよ」と返答すると早速服を吟味し始める。
それに対してラックは「ならこれにするかな」と適当に近くの服を選んでいた。
執事が一人が採寸をして服装をラックに合わせて行く。
その間にエルビンも服を着替えに行く。
外に出るときは割りかしラフで地味な格好を選んでいるからだ。
まあ、見るものが見ればわかる仕立ての良いものではあるが、それでもTPOを弁えているのである。
一時間後着替え終えた3人は食堂に向かう。
食堂には母のフェリーネだけでは無く、父カザールの姿もあった。
エルビンは二人を紹介する。
ラックは流石に父の威圧感に何時もの調子とはいかなかったが、それでも堂々とした態度で挨拶をし、ミュゼはガチガチに緊張しながらも丁寧に挨拶を交わした。
その様子をフェリーネは微笑ましそうに見ていた。
そして昼食が始まり、和やかな時を過ごした。
フェリーネはラックとミュゼを気に入り、いつでも家に遊びに来る様に言った。
カザールもそれに許可を出したので、二人は今後自由にバルフィナンス城に出入りが可能になった。




