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次なる問題

お待たせしました。

最近忙しく中々執筆時間を取れていませんので、申し訳ないですが、今年最後の投稿だと思います。

メリークリスマス!

皆さん良いお年を!

 ラクラトルト辺境伯に呼ばれて天幕の中に入ると、そこには西方各地の今集まれる領主とケンタウロス族や、騎馬民族の氏族長達が集まっていた。



 エルビンは出席者達に、軽く挨拶してから用意された椅子に座ると会議が始まる。


 議題はこれからの事である。


「今現在、敵は撤退して行っていますが、まだ砦は敵部隊が包囲しており帝国軍が中に閉じ込められています。先ずはその包囲部隊の撃滅が急務かと私は思います」


「儂もそれに賛成です。解放出来れば、無傷の味方が2万も手に入ります。正規軍と力を合わせてガトーレン連合王国に報復戦を仕掛けるのに役立つかと」


「その通りです!国境近くの領主達の仇です!彼らの土地は略奪され火を放たれ!民草も相当する捕らえられています!彼らを取り戻してガトーレン連合とレリジオーネ法国の者共に、誰を相手にしたのか思い知らせて見せましょう!」


 大国エイラム帝国人としての誇りと、同胞の仇の為に皆憤っていた。



 これは止められそうにないな。とエルビンは考えた。


 そしてこの場に居ない親戚のリレディー伯爵やその家族の事を考える。


 一応無事だと報せは届いているが、それでも被害は大きかったそうだ。


 それを考えると、このままにはしておけない。とも思える。


 だが、後のことは大人達に任せるべきだろう。


 これ以上の戦闘はエルビン自身は望んでいない。


 それに将来の事を考えると、あまり介入し過ぎると原作にただでさえ影響が出ている筈なのに、これ以上大きく影響すると予想が立て難くなる。



 取り敢えず、国境の砦の帝国軍を解放する所までは付き合い、それ以降はリレディー伯爵領の復興作業に手を貸すだけに留めて置こう。


 出来れば逆侵攻もして欲しくはないが、この雰囲気でそれは言いづらい。



 あとでラクラトルト辺境伯と話して、何処まで侵攻するか話し合わなければならない。



「まあ、待て。そう焦る事もあるまい。もう間も無く日が暮れる。夜の追撃戦はこちらにも余計な被害が出る可能性がある。せっかくの勝ち戦に泥を塗りたくはあるまい。それに前線で戦った兵士達も披露している。

 追撃は夜の闇でも問題なく動ける者達の少数による嫌がらせに留めて、明日の朝に諸君らの精強な兵士らに頑張って貰いたい」


 ラクラトルト辺境伯がそう告げると、他の貴族達も「それもそうですな。少し熱くなり過ぎていたようです」


「私もそうですね。まずは先の激戦を潜り抜けてくれた兵士達を慰問でもしましょうかな」


「おお!それは宜しいですな」


 と殆どの中小貴族は賛成したが、大貴族と呼ばれる者達は少し苦虫を噛み潰したような表情をしている。


 彼らは後からエイラム帝国の貴族籍に就き、自分と同等かそれ以上の地位についたラクラトルト辺境伯を疎んじている勢力である。


 ラクラトルト辺境伯の事を影で蛮族と呼び蔑んでいる選民思想に染まった愚物どもではあるが、広い領土と古来からの人脈なども馬鹿に出来ない厄介な存在である。


 だが、今のところは大人しく従うようで、反対意見はせず静かにしている。


 それが不気味でもある。


 確か彼らの幾人かはレリジオーネ法国と裏で繋がっていた筈だ。


 だが、肝心の証拠が無いな。


 諜報部隊も何とか確保出来たが、まだ満足が行くほどに組織が成熟しておらず、人手も不足している。


 次の大戦迄には何とかしたいものである。


 エルビンは大人しく会議が終わるのを待つ。


 2時間ほどで大体の方針が決まり、解散となる。


 エルビンはラクラトルト辺境伯に近付いて「閣下。少し宜しいでしょうか」


「うむ。付いて来い」


 ラクラトルト辺境伯の後をついて天幕を出て、彼個人の天幕へと向かう。


 天幕の中に入るなりどかっと椅子に座り「お前も座るが良い」と言われたので一言断りを入れてから座る。


「何を懸念しているかはわかっている。何の情報もなし、事前準備もなしの現状で、逆侵攻が如何に愚かな行いかは理解している。しかしそれではアイツらは止まらないだろう。実際に親族や親や息子などを今回の戦争で亡くしている奴も居るからな。俺も気持ちはわからんでも無い。だが、復讐心だけで無謀に侵攻するのは駄目だとは理解している。

 だからある程度のところで引き返す予定だ」


「私も閣下と同じ懸念を抱いていましたが、そのお言葉を聞き安心致しました。私としましては、ガトーレン連合王国の東部最大の交易都市である、ライツェンまでが宜しいかと、兵站の事も考えるとそこまでが限界ではありますし、落とし所としてと適しているかと思われます」



「ガッハッハ!次代のバルフィナンス侯爵家は安泰だな。俺もそれが最良の選択だとは思うが、それでも奴らは止まらんだろうな。だが、心配するな。あとは大人の仕事だ。任せろ」


 力強くそう宣言したガルゾルにエルビンは安心する。


 この人なら有言実行してくれるだろう。と確信を抱かせてくれる。


「わかりました。後のことは宜しいお願いします」



「おう、任せておけ」


 一礼して天幕から出て行く。


「さてと、今のところのアインシュバルツの充填率はどの程度だ?」


 そう言うといつのまにかエルビンの背後に現れた男が返答する。


「は!今現在は45%程です。飛行には問題はありませんが、魔砲は二、三発撃てるかどうかですね」


「そうか、充填が70%を超えたら帰還するぞ。それまではここで待機するように伝えてくれ」


「畏まりました」


 サッと音もなく消えたのは、エルビンが個人的に持つ諜報組織の者である。


 優秀だが、まだ数が少なく各地に根が下ろし切れて居ない。

 今は種をまいている準備期間である。


 今回は緊急的に少数だが動員して連れて来ているのである。


 元々は原作主人公が、出会う筈だった者達だが、先に確保したのである。


 自分の天幕に戻ると、早速グレキンスがやって来た。


「若君。負傷者の収容が完了しました」


「そうか、早く後方に送ってあげてくれ」


「畏まりました」


 戦闘艦は使えないが、飛空船は使えるので飛空船に乗せて後方に送る予定だ。


 本来ならスカーレットアイの治癒部隊に任せれば良いのだが、彼らには重傷者の治療を優先して貰ったので軽傷者は後回しにされたのである。


 それに後方に送るのはバルフィナンス侯爵軍だけではなく、他の貴族の兵士達もである。


 売れるところで恩は売るべきである。


 それに飛空船は従来の飛空船なので、そこまで見られて困る物ではない。


 そういう事も相まって現在飛空船を数多く所有している、エルビンが負担する形になったのである。



 さて、後はなんの問題もなくゆっくり出来ると思ったが、そこへ伝令がやって来る。


「失礼します。もう間も無く帝国軍が到着致します」


「ん?予定よりも早いようだな」


「そのようですな。飛ばして来たのでしょうか」


「まあ、どちらにせよ出迎えなければならないだろう。準備を頼む。他の各家にも報せは届いているな?」


「はっ!他の家にも伝令が走っておりました」


「宜しい。またすぐに呼び出しが来るだろうな」


 エルビンの予想通りに、数分と置かずに呼び出しの伝令が来た。


 内容は予想通りであり、すぐにまた先ほど軍議を行った大天幕に移動する。


 どうやら今回は最後ではなく、最初の方に来れたようだ。


 暫く待つと全員が揃った。


 進行役の貴族が立ち上がり話し始める。


「さて、皆さん既に知っていると思いますが、改めて集まった理由をご説明します。本来なら3日後に到着予定であった帝国軍の援軍が後1時間程の距離まで近付いて来ているとの事です。その為に彼らの迎え入れの準備と朝の作戦の見直しの必要が出て参りました。細部は帝国軍が合流してからでも宜しいでしょうが、大体の方針などは先程の会議で決めた内容で宜しいでしょう。

 そして明日の追撃戦に関しては、当初の予定通りに我々が請け負い、その後の国境要塞に閉じ込められた国境防衛軍の解放には、共同であたりその後のガトーレン連合王国への進撃には、増援の帝国軍に働いてもらいましょう。我々にも少なからず被害が出ていますので、これ以上の連戦は正直殆どの軍は難しいでしょう。この戦いが終われば復興作業にも兵士は必要ですし、此処は我慢の時です」


 進行役の貴族の言葉に、何人かの者達はホッとした安堵の息をしていた。


 それは領地を攻められ、被害が出ている貴族達である。


 それにガトーレン連合王国は厄介な国である。


 国と名乗ってはいるが、実質は貴族が寄り集まった形であり、貴族一人一人が一国一城の主人であるので、ガトーレン連合王国は互いに反目して時には武力衝突がよく起きる国である。


 理由は様々で川の利権やただの村人同士の争いから、本格的な武力衝突が起きるぐらいだ。


 そんな国が国として形を成しているのは、評議会と言う旨味がある席があるからである。


 まあ、殆どは大貴族が評議員だが、彼らに気に入られればその席に座る事も夢ではない。


 王家もいるが、それは元々ガトーレン連合王国の中心にあった小さな国の王で、周辺諸国に国として認可される為だけに生かされた、傀儡の王である。


 その為にガトーレン連合王国の貴族達は自立心や自尊心が他国と比べて高く、大きな要塞や砦が異常な程多く占領後の統治も面倒な国である為に、今まで生き残れてきた様な国である。


 更に他国からの亡命者が逃げ込むのに便利な国であるので、保険として残されて来たのである。


 閑話休題


 反対意見は出なかったので、この方針で話を進める事になった。


 正直バルフィナンス侯爵家は、これ以上西部の争いには関与しない構えである。


 何せ今現在バルフィナンス侯爵家の艦隊が、東でも戦っているために、これ以上の介入はしないようにカザールからの言伝もグレキンスから告げられたのである。


 それに後は西部諸侯に任せても大丈夫そうである。


 なんとか話はまとまり、帝国軍と話をつけるのは代表してガルゾルが行う事になった。


 序列的にも妥当だろう。


 それにしても色々あり疲れたので、早く天幕に戻って眠りたい。

 話も纏まり解散とした雰囲気が流れる。

 見ればエルビン以外にも眠そうな人がチラホラと見受けられる。


「では、そろそろ解散致しましょうか」

 進行役の貴族がそう言って御開きとなる。


 何人かはエルビンと話したそうにしていたが、年齢が年齢で夜も遅いので理解してもらい天幕に戻り眠りについた。

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