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プロローグ

誤字脱字は注意してますが、ありましたら感想などで知らせてくれると有難いです。


気分転換に書いた作品です。


人気が出れば続きを書いて行きます。


取り敢えずは第1章分は更新する予定です。

 

 乙女ゲーム『戦場の花嫁』はそのタイトル通り、戦争があるゲームである。


 普通の乙女ゲームと違い、戦闘シーンや戦略などがちゃんとされており、ストラテジーゲームが好きな人やアクションゲームが好きな人にも人気のゲームである為に、男女問わず人気のゲームであった。


 妹は乙女ゲームが好きで、人気とあり『戦場の花嫁』を購入したは良いが、アクションシーンで躓き諦めて、兄である俺に攻略を頼んで来た。


 しょうがなくやってみたが、これが意外と難しく兄の威厳を保つ為に、有用そうな課金アイテムを片っ端から買い占め、更に攻略サイトも駆使して漸くクリアした。


「ふう〜漸くクリアしたな。おっともうこんな時間か」


 時計見ると深夜を回っており、早く寝ないと明日に差し支える。


「それにしても朝から何も食ってなかったな。何か買いにコンビニにでも行くか」


 そう言って部屋を出て階段から降り様とした時、立ち眩みが襲い階段から頭から転落する。


(あ、これやばい奴だわ)


 意識が段々と暗転して行き、静かに息を引き取った。



 ■


 エルビンは飛び起きると、そこは草原の只中であった。


「はぁはぁ………それにしても何だが嫌にリアルな夢だったな。あんな世界があるなんて知らなかったな。ん?あんな世界って夢の中じゃないのか?いや、違う!此処は!」


 立ち上がり近くの丘の上に向かって走る。


(一歩一歩が小さい!まるで子供になった様じゃないか!いや、俺は子供じゃなかったか?

 俺?確か一人称は僕だった筈?)


 思考がこんがらがるが、兎に角丘の上の目指して走った。


 まるでそこにこのモヤモヤとした、この気持ちの答えがある様な気がして。


 丘の上に辿り着き、そこから辺りを見回す。


 すると東の空から何かが飛んで来る。


 徐々に影は大きくなる。


 それは大空をまるで海上の如く航行する一隻の船であった。


 その名も飛空船(パリトートシップ)


 詳しい原理は知らないが魔力によって浮かび上がるその船は、海上のとは違い鋭利な形をしており、まるで潜水艦の様な形をしている。


 大きさは20メートルほどだろうか。


 確か他にも様々な形をした飛空船があるはずだ。



「そうか、此処は『戦場の花嫁』の世界か……。俺はあの後死んだんだな」


 何故か不思議と納得出来た。


 そしてある事に気付く。


「そう言えば、俺はよりにもよってエルビン・フォン・バルフィナンスに生まれ変わったのか。ハハ……このままじゃ死亡ルートじゃないか。いや、確かまだ幼い時はそれ程酷くはなかった筈だ」


 確か容姿は乙女ゲームだけあり、例え悪役のエルビンと言えど良かった筈だ。


 黒髪赤目の鋭い目付きの男だった筈だ。



 まあ、何はともあれ取り敢えず屋敷に戻る事にした。


 領内の治安は良好ではあるが、こんな所に子供一人で来るのは流石に危険過ぎる。


 そう言えば何でこんな所に居たんだ?


 踵を返して丘の下に行こうとした時、近くの林の方から「キャー!!」と悲鳴が聞こえて来た。


 何だ?と思ったが身体が勝手に動き、林の方へと走っていた。


 それにしても身体が羽根のように軽く感じる。


(そう言えば、確かエルビンは作中でも高スペックだったな。そう言えば血筋も良かったしな)


 一応護身用に家紋が入った短剣は、いつも肌身離さず持っている。


 だが、確かにエルビンは高スペックだったが、今はまだ幼い子供である。


 何故従者を連れて来なかったんだ?と思ったが今はそれよりも悲鳴が聞こえた場所に向かう。



 林の中ほどまで行くと、悲鳴を上げている少女の姿が見えて来た。


 そして少女が悲鳴を上げる原因を見る。



 少女の前には体長2メートルを超える熊がいた。


(この辺りには生息していない筈だが?)


 そう思ったが、今は考えるよりも先にあの少女を助けなければ。


 そう思い気が付けば少女の前に飛び出していた。


「大丈夫か!?」


 いきなり現れた闖入者に、少女は驚き熊は動きを止めた。


「は、はい!」


 少女は見たところエルビンよりも少し年上の、9歳頃である。


 そしてエルビンの服装から貴族と判断したのだろう。


 慌ててはいるが、口調は丁寧である。


(考えろ、考えるんだ!今のこちらの手札は短剣が一本に、多少初級魔法は使えた筈だ)


 この『戦場の花嫁』では魔法が使えるのは魔導貴族と呼ばれる、貴族の中でもエリート集団だけである。


 まあ、中には例外もあり魔導士ギルドと言う、一般人でも魔法が使える者が存在する。


 理由は不明だが学者達によると、先祖が魔導貴族であり、先祖返りした説が一番有力である。


 まあ、魔導貴族が没落して平民に落とされるのは滅多にない事だが、過去の文献から数度はあるのであり得ない事ではない。


 閑話休題。


(今の俺が使える魔法は《サンダーボルト》と《ファイアボール》の二種類だけだった筈だ。《ファイアボール》はこの林の中だと延焼の可能性があるから使えない。《サンダーボルト》も可能性はあるが、それでも《ファイアボール》よりはマシの筈だ。速度は速いから避けられない筈だが、今の魔力量だと多くて三回放てるかどうかだな)


 熊と数十秒睨み合っいたが、熊は焦れたのか大きな咆哮を上げて突撃して来る。


 後ろには少女がいるので避ける事は出来ない。


「クソッ!我が敵を貫き給え《サンダーボルト》」


 呪文を唱えて魔法を放つ。


 野生の勘か熊はエルビンの手に魔力が集中した瞬間、その巨体からは想像出来ない速度で横に逃げるが、流石に速さに特化した《サンダーボルト》を避け切る事は出来ずに、右前足を《サンダーボルト》に貫かれる。


「ギャウン!」とまるで犬の様な鳴き声をして、熊はその場に倒れる。


 右前足からは血が流れ出ている。


「ふぅ〜。大丈夫だった?」


 背後を振り返りそう告げると、少女は「あ、ありがとう……ご、ございます」とぎこちなく御礼を告げる。


「それにしても何でこんな所へ?」


「はい、此処にある薬草を取りに来ました」



「そうだったーー」


 悪寒を感じて背後を振り返ると、そこには先程の熊よりも大きい体長5メートル程の熊がいた。


「親玉か?いや、違う」


 その熊には腕が4本目あり、頭からは一本の鋭利なツノが生えていた。


「ま、魔獣が何でこんな所に……」


 魔獣とは文字通り、魔法が使える獣の事である。


 他にも魔物と呼ばれる獣とは似ても似つかない存在もいるが、割愛させてもらう。


(この辺り一帯には魔獣は居なかった筈だ。そうか!この熊はこの魔獣に追われて住処から離れてこんな林の中に逃げて来たのか。そしてこの魔獣はこの熊を追って来たのか)


 見れば目の前の熊型の魔獣は、こちらには見向きもせずに前足を怪我して動けなくなった熊の息の根を止めて、その巨大な口で食べ始めた。


「いいか、動くなよ。魔獣は幸いこちらに見向きもしていない。大人しく去って行くのを待つんだ」と少女に声を掛ける。


 少女はコクコクと首を縦に振る。


 暫くて魔獣は熊を食べ終わると、此方を向いた。



 そして次の瞬間にはいつのまにか、目の前に魔獣の姿があり4本ある腕のうち一本を此方に振りかぶっている姿であった。


 咄嗟に短剣で庇ったが、ゴムボールの様にエルビンは弾き飛ばされ、木に当たって止まった。



「グポッ!」口から血が溢れ出す。


 どうやら肋骨をいくつか折られた様だ。


 魔獣は此方には見向きもせずに少女の方へと向かう。


「い、いやぁー!!」


 少女は恐慌して逃げようとしたが、足元の木の根に引っかかって転んでしまう。


 その拍子に足首をひねってしまった様だ。


「俺の領民に……て…手出しはさせない」

 息をするのも辛いが、不思議と力が湧いてくる。


 エルビンは平民を人とも思わない奴だった筈だが、学園に入る前の数年間に何かがあったのか?と疑問に思うほどである。


 右手を突き出して魔力を練る。


 するとそれを鋭敏に感じ取ったのか、魔獣が此方を振り返り、先程と同様に猛スピードで此方に迫って来る。


「こ、ここまでなのか……」とエルビンが諦めかけた時に、目の前に誰かが立ちはだかる。


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