魔法適性と契約
2歳になりました。
フィルムは先日2歳にの誕生日で、もう既に歩く事が出来るようになり、喋る事も出来るようになりました。
そこで今日、フィルムは外で剣を振っているグレインの所へ、魔石を借りる為に廊下を歩いてた。初めて魔法に関する本を読んだ時と比べて、魔力の総量はかなり増えたた。最初は、5分も経たないうちに魔力切れで倒れていたが、今は、何時間経っても全く魔力切れになる気配がない。
廊下を歩いていると、向こうからレミルが歩いてきた。
「フィルムちゃん、そんなに急いでどうしたの?」
「えっと、僕も魔法を使って見たいので父様に魔石を借りて、適性を調べようかと……」
「フィルムちゃん、どうして魔法のことをそんなに詳しく知っているの?」
「父様の書斎で”魔法の基礎”という本を読んで勉強しました」
「えっ……フィルムちゃん、文字……読めるの」
「はい!頑張って勉強しました」
そういうと、レミルはフィルムを驚いた表情で見つめていた。
「天才よ……この子は、天才よ……」
「あの、母様?」
「少し待ってなさいフィルムちゃん、今すぐ魔石を持ってきてあげるわ!」
「あ、ありがとうございます」
それだけ言うと、レミルは急いで魔石を探しにいってしまった。
10分後
今フィルムは、エルガー家にある使われていない空き部屋の1つにいる。そこには他にもグレインとレミルの2人がいる。だが、3人が浮かべる表情は、絶望だった。
その理由は、魔石を使いフィルムが適性を調べたところ、適性属性が1つも無かったのだ。
「そ……んな、適性がないって、じゃあ僕は……魔法が……」
「「……」」
そんな絶望するフィルムを見ているグレインとレミルは何も言う事が出来なかった。
「フィルム、お前は絶対に俺たちが守ってやるからな」
「フィルムちゃん、例え魔法が使えなくても生きる道は沢山あるわ。フィルムちゃんは頭が良いのだからこれから違うことを勉強すれば、きっとすごい人になれるわ」
「……父様、母様……ありがとうございます。こんな僕のことを心配してくれて、僕は父様と母様の子供で幸せです」
「俺たちこそお前みたいな子供を持って幸せだ」
レミルとグレインがフィルムを挟んで抱き合う。そんな2人にフィルムは、絶望した心を癒された気分になった。
夜になった。
今日は満月だ。
フィルムは、1人外に出て月を眺めていた。
(魔法、使えないのか俺。はー、明日からは使えると思ったんだけどなー)
寝付けずにそんな事を考えながら、ただ月を眺めてるフィルム。もうそろそろ帰ろうかな、と思っていると、何処からか声が聞こえた。
『なぜ、そんなに絶望しているの、君には別の力があるのに』
「だ……れ、何処にいるの。それに別の力って何?」
『私は、夜と月の神エレノア、私は今神域って言う神様の世界にいるの』
「神様、でもどうして神様が僕なんかに話しかけてくるの?」
『あまり驚かないんだね。話しかける理由か〜…………君と契約する為、かな』
「契、約……僕に出来るの?僕は、適性のない無能なんだよ」
『違う、君は無能なんかじゃない。まだ目覚めていないだけ……それで契約するの?」
「……する……君と契約する……でもどうすれば出来るの?」
『精霊契約と同じよ、契約の呪文を唱えるだけよ』
「でも、僕は契約の呪文なんて知らない」
『そうだね、確かに君は契約の呪文を知らない……』
「なら……」
『でも君は唱える事が出来る、心の中で念じてみればわかる。自分が呪文を唱えて私と契約しているところを想像してみて』
「……想、像……わかったやってみる」
フィルムは目を閉じて心の中で念じる。
すると、頭の中に不思議と知らないはずの呪文が浮かんでくる。
根拠はないが、フィルムは何故かこれを唱えれば契約できると感じた。
そして、フィルムは頭に浮かんだ呪文を詠唱する。
「我契約す、夜と月の神エレノアよ
汝、闇に染まりし世界の神にして
月の輝きを秘めし神、エレノアよ
我は汝の主となり依り代になる事を誓い
我は汝エレノアとこの命が尽きるその時まで契約する事を誓う」
フィルムが詠唱を終えると、黒く輝く一粒の光が降ってきた。
光は地上から5メートルほどの所で止まると、より一層光が強くなりフィルムの視界が黒い光で覆い尽くされた。
フィルムは、思わず目を瞑る。
……目を開けるとそこには1人の少女が浮いていた。
小柄だが、膝までつくような長い黒髪に整ったかを立ちをしている。
誰が見ても見惚れる美少女だ。
「夜と月を司る神エレノア、君と契約を結ぶ事を誓う。これからよろしくフィルム」