消えてゆくもの
「ここまでお疲れ様」
暗い道を歩いてきた俺に、すでに名前はないみたいだ
突然目の前に、女神を思わせるような巨大な女が出てきた
「そりゃどうも、ここで終わりか?」
「ええ、終わりよ」
きっぱりと、冷たく無機質に女神は俺に告げる
__ホントは戻りたいんだけどな
そんな思いをかき消して、さらに前に一歩進んだ。
「事実を知り、それでいてもなおたいせつなものを守り続けたあなたは、人間として模範的な人生を送ったと認めるわ」
「人間?俺が?...皮肉のつもりかよ」
厭味ったらしく言うが女神はそれを聞いていない様子で続けた
「あなたは、もう休んでいいのよ。ここであなたの物語は終わり。」
「....わかった」
俺はまた先に進み始めた
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優Side
とても暗い、静かな場所だった。
__加寿...__
最後まで私のことを抱きしめて離さなかった彼は、未練がないような顔をして...
....事切れていた
どうしても真実を認められず、思考も止めてただ加寿だけを見つめていた
お父様も、真奈美も来てくれたけど、かまわず私は加寿だけを見つめる
日が昇り、加寿の姿がさらに鮮明に映し出される
私は...現実を受け入れるしかなかった。
「....」
言葉も出ない、私は加寿を背負ってお父様と真奈美の方を向く
何か言おうにも、私が二人に何を言えばいいのか思いつかない...
向いたまま、私は涙を流してしまった
「大丈夫だ、俺たちはいつまでも待つよ」
お父様が私の肩を叩いて優しく言ってくれた
真奈美も加寿を見て泣いている...
もうこれ以上困らせるわけにはいかない
「行きましょう、悪夢を終わらせるのよ。」
加寿を背中に背負い、私は立ち上がった
__もう、誰も失わせない。__
最後に流れた涙は、地面に落ちて光った
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また先に進むと、今度は映像がコマ送りのように流れていた
最初のコマには、俺が生まれたときの映像、次は幼少期の時の俺...
そこから先にはなぜか、ノイズが走っていて見ることができなかった
ノイズが途切れた先には、俺と、楽しそうに笑ってる女たちが映っている。
__こいつらは、確か....__
記憶のどこかに存在していた彼女たちの名を、思い出すことができなくなっていた
その次のコマには、大人の男が俺の背中を叩いて笑っていた。
__こいつも、俺と仲が良かった奴なのか...__
血だらけだが高そうなスーツに身を包み、俺とさっき出てきた女たちを守っている映像もあった
確かに俺がかつていた世界は終わっていた
希望も夢もなく、明日も暗闇の、今進んでいるこの一本道のようだった
しかし、俺と映像の奴らは、そんなことを微塵も感じさせない、生き生きとした雰囲気を感じる
「こいつら、俺の支えだったんだな...」
ただ一人、思い出せるはずのないこいつらのことをただひたすら考え続けていた。
To be continue...................................




