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幸せな夢

今が苦しい

じゃあ、昔は...?

昔は幸せだったの?昔が幸せだったら何だったの?

なんで昔の幸せを思い出さないで、今の苦しみに立ち向かってるの?

甘いを知るためには、苦いを知る必要があるんだよ


優Side

よくわからない「何か」は、坂橋さんを押し倒した後に牧人さんに標準を変えて、手についている長い爪で彼を突き刺した

「なっ....!まるで効いてないぞ!」

ずっとお父様とマスターが銃を撃ち続けていても、「何か」は怯む様子も見せない

牧人さんが死んだと確認して、こちらに歩いてきた...

ーなにを....こんなに...彼らが何かしたのかしら....ー

私の中に、今までで一番熱い怒りの炎が燃え上がった

無意識のうちに何かに近づく

「優!」

お父様がそれを制止しようとしたけれど、向かってくる途中で口を開く

「ここは私が、私がこいつを終わらせるのよ。」

言い切る形で告げる

それが私にとっての警告であり....

_こいつへの宣戦布告だから_

怪物は吠え、私に向かってくる

隙のない突進に私は横跳びで軌道から外れた

「甘いわねっ」

突進が外れ、よろけている隙に横から蹴りをくらわせる

その攻撃が効いたのか怪物は蹴った方向に少しよろけ、体制を崩した。

「今よ!お父様!」

お父様にポンプアクションのジェスチャーを出した。

お父様が頷き、怪物の頭にショットガンを向けようとする

しかし....

「こいつ...!うがっ!」

お父様が持っていたショットガンを掴み、お父様ごと廊下の果てに投げつけた

少しだけど呻く声が聞こえたから、まだ息絶えてはいない。

「まだ続けるつもりね...」

私が戦いを続けている中、マスターが坂橋さんを起こそうとしていた

そんな状況を横目で見ながら、次の怪物の攻撃を観察する。

ー次は...そんなっ!ー

怪物はシンプルに横振りのパンチを連続させてきた

しかしその威力は研究所の壁にヒビを入れるほどで、生身の人間ならひとたまりもない。

_生身の人間、なら_

どこか、力のリミッターが外れた感覚がした

横振りの攻撃を観察し続け、一瞬のスキを見つける

それを利用して怪物に渾身のストレートを決めた

ー加寿も、こんな感じだったわよね....。ー

綺麗に腹に決まった一撃は怪物にかなり効いたようで、後ろによろけて膝を崩した

「このやろー!」

真奈美が走り込み、跳んだ。

その手に持っていたものは....

「真奈美、あなた!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あたりに血が舞い、理解に時間がかかる

私は周囲を見渡し、仲間が無事なのを確認して安堵すると同時に、頭部を失い力尽きた怪物の姿を見て今更吐き気を催す。

「真奈美、あなたは...」

「ごめん...もう誰も死んでほしくなかったから、特に優...」

よろよろと廊下の向こうから誰かが歩いてきた

その姿は...

「おとう...さま...?」

服が破れ、腹を抑えたままうめき声をあげるお父様がいた

「し、死ぬ...」

近くの柱に力なく倒れ、意識を失った

さっき真奈美が怪物に打ったとどめの一撃は、爆発弾を仕込んだ試作段階の散弾銃だった

完成していないから使うのはパスとみんなに伝えてにもかかわらず、わざわざ持ってきて真奈美は撃ってくれた

動く様子のない怪物のその後ろには、同じく動く様子のない牧人さんと坂橋さんがいた

「返事をしてくれよ...あんたが救いだったんだろ...この腐った世界を変えるって決めたんだろ...これじゃ...終わりじゃねえか...」

マスターが悲観していた

ー無理もないわ、こんなことになるなんてー

ふと、一筋の涙が頬を伝った

「優...少し休もう、場所変えてさ」

私は牧人さんを抱き上げ、全員で移動を開始した

____________________

真奈美Side

_ぼーっとしてたって言ったら信じるかな_

他人の心配ばっかりで、自分のことはないがしろにしがちだ

もっと自分のことも優先しなさい

私のことを考えてくれるのはうれしいけれどあなたが潰れていては私も悲しくなるわよ


切ない、永遠と信じていた平凡な思い出の数々が、夢だったように錯覚しはじめている

ー夢なら、忘れればいいのにー

ーいっそ、こんな幸せなこと知らなければー

幸せな過去を後悔し、あたしは何をしたいんだろう

考えすぎて、何も考えられない....

「真奈美っ」

デコピンされて顔を上げた

優が頬に血を付けて、取り繕ったような笑顔であたしを見ていた

「慰めのつもり...?その笑顔」

ただ聞くつもりがすこし強く言ってしまった

「ごめんなさい...美香さんも牧人さんもいなくなって」

「...思い出したくない」

ー逃げた、で合ってるのかなー

美香も牧人も、最後まであがいて、頑張って、それで死んだ

逃げた...のかな

「真奈美」

さっきとは変わって真剣な声で私の名前を呼んだ

「うん...」

「お互い、強がってたのね...強がるしかなかったのね」

絞り出すように、限界だわと付け足し、優はうつむいた

目の前が潤む....

「やっぱり....なんでもお見通しだね、優」

「あなたも...わかってたでしょ...」

目をこすり優を見ると、優も泣いていた

あぁ...今だけは...今だけは....

「優...幸せな夢の続き、見よう...?」

優は何も言わずに頷き、机越しに抱きしめてくれた

今だけは、幸せな時間.....


To be continue......................



もし今、苦しいって、消えてしまいたい、逃げたいなら、それは苦い気持ち

甘いは、簡単にはやってこない

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