食料配達の悲劇
大毅Side
「娘を探す?さらわれたのか?」
一人の男が俺のところに来て、そう聞いた。
「まぁ、そうだな。コンビニに言ったら拉致された。」
「なら俺と探しに行こう。」
そう言ってその男は駐車場へと向かった。
「待ってくれ。まだ名前も知らないぞ。」
「ああ。俺は又木だ。よろしくな。」
「わかった。加寿と俺と又木さんでいいな。」
「わかった。」
「作戦を練ってから行こう。どこか作戦会議できる場所はあるか?」
「あぁ。あそこだ。行こう。」
・・・・・・・・・
「まだどこにいるのかもわからない。GPSを付けていたんだが通信妨害で現在位置を確認できない。」
「そうか・・・車で逃げたのか?」
「そうだな。」
「うーむ。ならこうしよう。」
そう言って又木は地図を取り出した。
「現在位置はここだ。その周りにあるここのコンビニ、そしてこのスーパーから食料は全部取っていった。もう遠征するしかないんだ。」
「そうか。」
「ちょうどいいタイミングだったな。遠征するついでに探しに行こう。」
「わかった。どこまで行く予定だ?」
「そうだな・・・」
又木はしばらく考え込んだ。
その間に俺も考え事をしていた。
優がいそうな場所。そしてその後の対応。
優は冬馬に襲われた。
そのことについては触れないようにしたほうがいいだろう。
「ここまでだ。とりあえずここのコンビニまで行ってついでにその娘を探しに行こう。」
「分かった。」
「そうと決まれば、行くぞ。わかったか、大毅、加寿。」
「ああ。」
「分かりました。」
そうして俺たちは、駐車場へ向かった。
・・・・・・・・・
キャンプを出ると、多くの人がキャンプの前に集まっていた。
「頼んだぞ。」
リーダーの男が又木にそう言った。
「食料は任せろ!すぐ帰るからな。」
「わかった。」
たくさんの人に応援されながら、俺は車に乗る。
「んじゃ、行ってくるな。絶対に優を連れて帰る。」
「お願いします、大毅さん。」
そうして車は発進した。
__________________
加寿Side
「それで?なんか思い当たる場所でもあるか?」
「俺の会社ではなさそうだし、多分どこかの秘密基地だろう。」
「そういや俺たちが向かってるコンビニの近くにシェルターがあるな。」
「そこを調べれば・・・」
「多分な、とりあえず向かってみないと。」
俺はずっと優のことを考えていた。
あの冬馬を俺は許せない。
あいつを殺すことは俺の心の中で決めていた。
その心は秘めつつ、俺は気になってることを聞いてみた。
「あの、食料に余裕はあるんですか?」
「ん?ああ、まぁまぁ残ってるな。一ヶ月持つか持たないかくらいの量。」
「まぁ心配ですね。気を付けないと。」
「まぁな。っと、もう着くぞ。」
時間にして約1時間程度。みんなが緊張した空気の中、俺は車を降りた。
コンビニには板が打ち付けられていて、どうやら中に人がいるようだ。
「何者だ!」
コンビニの中から若い男2人が出てきた。
その男は金属バットを持っていて、攻撃的だ。
「なんだ、やろうってのか?こいよ。」
俺はそのわかりやすい挑発に乗った。
「死ね!」
一人が俺に金属バットを振る。
俺はそれを片手で受け止め、腹に腕を刺す。
腕がそいつの腹を貫通して、血を吐いた。
「がはっ・・・そんな・・・」
腕を抜くと、そいつは力なく倒れた。
「なっ・・・この野郎!」
もう一人が捨て身で突っ込んでくる。
「無駄なことを。」
俺はそいつの首めがけて蹴りをお見舞いする。
すると首はありえない方向に曲がり、そいつも吹っ飛び死んだ。
「よし、片付けましたよ。」
「よくやったな。食料をとっていこう。」
又木さんがコンビニの中に入る。
「じゃあ俺はここで見張ってる。大毅さんはコンビニの中に入って手伝って。」
「了解。何かあったらすぐ無線な。」
「ああ。」
大毅さんもコンビニに入った。
・・・・・・・・・・・・・・
数十分、それくらいでコンビニから二人は出てきた。
「すごい収穫だったぞ。これでしばらく持つな。」
「それはいいんだけど・・・あれを見てください。」
俺が指さした先に、おそらく200は超えるだろう量の感染者が押し寄せてきていた。
「まずいな。車に急げ!」
感染者はそこからだけでなく、いろいろな方角から集まってくる。
「くそ!どこからこんな量の感染者がくるんだよ!」
すでにコンビニからそんなに遠くないところに感染者は来ている。
俺たちは車へ走った。
大毅さんと又木さんは片手にハンドガンを持っていた。
「俺が足止めする!先に乗れ!」
又木さんはそういって銃を構えた。
「加寿!行くぞ!」
ぼーっとしていると、大毅さんに声をかけられた。
俺は急いで助手席に乗る。
「又木さん!もう大丈夫です!」
「分かった!」
又木さんが銃を撃ちながらこっちに向かってきた。
そして走り出したとき・・・
「うっ!」
感染者に肩を噛まれてしまった。
「そんな!又木さん!」
「離せ!この!」
又木さんがはそいつに銃を向け、そして撃った。
「はは・・・殉職だ。」
又木さんは自分の頭に銃を向け、引き金を引いた。
「待って!又木さん!そんなぁぁあぁ!」
俺の悲鳴もむなしく、大毅さんは車を発進させた。
・・・・・・・
「・・・・なんでだろうな・・・」
「・・・わからない。」
車内は重苦しい空気だった。
とりあえず次の目的に目を向けることにした。
「優を・・・・・探しに・・・・行こう。」
「あ、ああ・・・・そうしよう。分かった・・・・」
車内は、静かだった。
To Be continued................




