学校探索
加寿Side
「暗いな・・・みんな気をつけろよ。」
俺は声を潜めて言う。
電気のついていない校舎は昼とは思えないほど薄暗く、気味が悪かった。
みんなは優が配ってたナイフを持参していたが、俺は感染していて、リミッターが解除されている。
つまり・・・
「奴だ。みんな止まってくれ。」
「どうするの・・・?」
「俺に任せろ。」
俺は廊下を徘徊している奴に向かった。
「ヴウウウウウゥ・・・」
虚ろな目をこちらに向け、よろよろとした足取りで俺に向かってくる。
「残念だったな。」
俺はそいつの頭に正拳突きを食らわせる。
その瞬間、奴の頭は吹っ飛び、返り血が俺に返ってくる。
そして頭を亡くしたそいつは力なく倒れた。
「ふぅ・・・こんなもんか。」
俺は感染して一応ゾンビの扱いだろう。
圧倒的な力と引き換えに、致命的なデメリットがある。
「腹が・・・減った。」
猛烈な空腹感だ。
理性を保っているため、優や大毅さんを襲うことはないが、この空腹は耐え難い。
まぁ、食べなくても生きていけるのだが、力が出せるかどうか・・・。
「片付いたようね。加寿。強くなったわね。」
優に声をかけられる。
確かに俺は力を得ることができた。
しかしそれは、俺が望んだものではない。
「力はついた。うれしくねえけどな。」
照れ隠しに聞こえるかもしれないが、俺はそういって廊下を歩きだした。
・・・・・・・
2階につき、廊下を歩いていると、優がつぶやく。
「もうライフラインは止まっているのかしら。」
言われてみれば、いままで水道の水をひねっていない。
「試してみるか。」
そう言って俺は水道の蛇口をひねる。
その瞬間、蛇口がとれ、水が噴き出た。
「ライフラインはまだ生きているようだな。」
「ここの水道はもう使えないけど・・・てか、早く止めないと!」
真奈美が駆け付けてきた。
「どうするか・・・」
「私、工業棟からテープをとってくるわ。」
「気を付けて!」
そう言って俺は優が工業棟へ向かう姿を見送っていた。
_______
優Side
工業棟へ走る。
行き方はこの先にある階段を上り、渡り廊下を渡ってさらに階段を上った4階になる。
階段を上って、3階についたとき、
「ヴヴウウウウウウ」
私の前に一体のゾンビが立ちふさがった。
「このっ!」
階段を上り切った勢いをそのままにそいつの頭に肘うちを決める。
ゾンビと私は倒れこむ。
「ヴウウウウウウ」
奴にはその攻撃はあまり聞かなかったようで、私に迫ってくる。
「まずいわね・・・!」
ふと私の目に、一本の箒が入ってきた。
これを口に突っ込めば・・・
箒を手に取る。すでに奴は私の足に迫ってきている。
「この・・・変態!」
喉元にかみつかれるすんでのところで、私は箒を奴の口に突っ込む。
「ヴウ・・・・・・」
その一撃が効き、奴は力なく倒れた。
「はぁ・・・はぁ・・・急がないと。」
私は起き上がって工業棟へ急いだ。
・・・・
さっきの戦闘で思ったことは、ナイフを使えばよかった。
そんな反省をしていたら、工業棟に到着した。
「テープ・・・どこかしら。」
工業棟は非常に広く、ものが多い。
片っ端から調べてみることにした。
_____________10分後
「あった!」
私は水に強いテープを見つけることができた。
「これで・・・急がないと。」
テープをバッグに詰めて、ナイフを手に取って私はまた走り出した。
・・・・・・・・・・・・・
加寿Side
優が工業棟へ行くと言ってから15分ほどが経った。
水道の水もそろそろ深刻になり始めている。
運悪く排水溝が詰まっていたので、水はただただ溜まっていく。
そろそろこぼれそうだ。
「加寿!手伝って!」
声のする方を見ると、真奈美が必死に水の出てる管を抑えている。
「無駄だ。それでも漏れているから体力を無駄に消費するだけだぞ。」
「優はまだかかるの!?」
「さあな・・・ちょっと向かってくる。」
さすがに心配になったので、俺も工業棟へ向かうことにした。
______
階段を上り、渡り廊下を目指す。
そこで目にしたのは、数えきれないほどの奴らの群れ。
そしてその奥で戦っているのは・・・
「はぁ!・・・どれだけいるのよ!」
優だ!
「優!大丈夫か!?」
「助けて加寿!」
俺の声に反応しないのは、奴らの声が反響しているからだろう。
都合がいい。
俺は目の前にいる奴を持ち上げる。
そしてそいつを振り回す。
振り回されている奴の速度は、扇風機よりも早くなっている。
それに巻き込まれた奴らは、肉塊に変化した。
「うおりゃああああああ!!」
血しぶきがひどく散る。
そして腐敗したようなひどい臭いが俺の鼻をつんざく。
ゾンビになっても、人間らしい感覚があるんだな_____
少し感動していた。
振り回していた奴が使い物にならないほど粉々になった。
唯一残っているのは、俺がつかんでいた脚だけだ。
俺はその足をフルスイングでまだ群がっている奴らの頭に放り投げた。
その衝撃で約6体ほどが頭をつぶして倒れた。
それでもまだ減らない。
「一体何体いるってんだ!うあああああ!」
俺は本気を出すことにした。
ただでさえリミッターが解除された体だ。
集中する。
アドレナリンが俺の体を巡っていく。
その瞬間俺は跳んだ。
「加寿!_____」
俺は優を抱える。
華奢な体をつぶさないように、弱い力で。
「投げるぞ!着地しろ!」
「わかった!」
俺は優を放り投げた。
そのあとの優は、まだ知らない。
とりあえず、このゾンビの山を片付けることにしよう。
「加寿!先に行ってるから!必ず来て!」
「もちろん!」
拳を作り、腕を振り回す。
次々と奴らの頭がなくなっていき、俺は快感を覚え始めた。
キリがよくなってきたところで、正拳突きを繰り返した。
シンプルだが、かなり楽しい。
そんなことをしていると、群れはなくなり、最後の一体になった。
「じゃあな、来世会えたら。」
俺は言い放って、そいつを思いっきり蹴り上げた。
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優Side
「みんな!遅れたわ!加寿はもうじき来ると思う。」
やっと戻ってこれた。
「急いで!もう浸水がひどい!」
すでに廊下の床は水でひどいことになっている。
私は噴き出ている管にテープを何重にも巻いた。
そうすると、水の浸水は収まった。
「まったく、加寿は・・・」
水の被害も収まったところで、私たちが雑談をしていると、加寿が戻ってきた。
「待たせたな。」
「うわ・・・血だらけ。洗ってけば・・・?」
「言われなくても。」
そう言って加寿は詰まってる水道に顔を突っ込んだ。
水が赤に変わる。
「洋服はどうしようもないな。とりあえずこれでいいや。」
「じゃあ、再開だな。行こう。」
お父様がそう言って、みんなが動き出した。
To Be continued.....................




