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終幕話 二人歩み出す未来。

―キーンコーンカーンコーン―

いつも通りのチャイムが鳴る。僕はいつも通り学校なるものに来ていた。まぁ、今でさえなんでこんなところに来ているのか不思議に思っている部分はあるのだが、これが一般的な人生の中途だというのだから仕方なく毎日通っている次第である。


「はぁ…」

ため息をつきながら寄り掛かった木製の椅子がギシッと音をたてる。


「大丈夫か、この椅子…」

独り言を漏らしながら席を立つ。ちなみにさっきのチャイムは下校のチャイムだ。今日は担任の教師は出張だと前もって聞かされていたので、ホームルームも無いだろう。さっさと帰路につかせてもらう。


―――そして、いつもの道路を通る。ふと、

「そーいえば、昨日変な女に会ったな…でも会ったのは昨日が初めてだし、そんなに毎日ここを通っているわけでもないだろうなぁ…?」

そんなことを思った。何度も言うがここは本来通ってはいけないエリアとなっている。なぜ、そんなことになっているか?そんなのは僕も知らない。この高校に入学した時からずっとだ。前からある伝統かなにかではないだろうか。こんな変な伝統たまったもんじゃないが。


そんなことを思いながら、歩いていると昨日と同じくらいのタイミングで、向こうから人が歩いてくるのが見えた。


「ポニーテール…女…」

昨日は一切興味を示していなかったものだから、風貌にも関心は無かったのだが、今回は否応なしに前方を見てしまっていた。


「絶対昨日の女だよな…会いたくないと思ってたのに…」

そんなことを思っていると、


「おっ。」


「あ…」


いつの間にか二人の距離は近づいており、視線が交わっていた。


「やぁ、また会ったね。」


「お、おう…できれば会いたくなかったんだけどな…」


「なにそれっ!ひどいっ!!」


実際会いたくなかった。昨日別れた時一瞬見えたあの寂しげな表情が脳裏に焼き付いてしまっているから。こいつにも、なにか後ろめたい部分があるんだなと。なにか大きなものを抱えて生きているんだなと。あの顔を見たらそう思ってしまった。それは、今の僕と、いや、今までの、そしてこれからの僕と同じようなものだ。


だからだろうか、


「お前さ…友達とかいんの…?自分の中の不安や恐怖を打ち明けられるような存在がいるのか?」


柄でもない、こんなことを聞いてしまった。昨日会ったばかりの、しかも女子に。こんなこと聞かれたら、普通怒るはずだ。私の何が分かるのだと。しかし、


「…いないよ。そんなの。」


激昂するどころか、むしろ沈静化した。昨日よりも何段階も静かである。かと言って軽口を叩いて元気を出させられるような雰囲気ではないことは僕にも分かっていた。


「そうなのか。やっぱりな。」


「え?なに?やっぱりって。きみ、人の心情とか読める人?メンタリスト?」


心なしか、少し元気になった気がする。調子を取り戻してきたかな?

「そんなのじゃないよ。僕も…同じようなものだからさ。」


「え…?」

どこか驚いたような様子の彼女。


そんな彼女に続けて声をかける。

「大変だよな…つらいよな…誰も話す人いないって。学校だってなんのためにいっているのか分からない。味方なんてどこにもいない。親も教師も親身になって話してくれない。僕が何をやったのか、なにもやってないだろうが。まぁ、おれは昔の素行とかがあんまりよくなかったからさ、自業自得と言ったらそれまでなんだけど、僕だってこのままじゃいけないって、改心に改心を重ねて世間で言う一般人になったつもりだったんだ。でも、誰も今なんて見ちゃくれない。見るのはいつも悪いところ、短所だ。昔の記録しか見ない。今が良くても、昔こんなんだったんじゃねぇ…とかのたまいやがる。昔は変えようがないから今を変えたんだろうが。その僕の血も滲む努力を無碍にするなんて大人は腐ってる。いや、人間が腐ってるんだ。僕はこんな世界嫌だよ。なぁ、お前も…君も…そうなんだろ?」


今までの経験から、思っていることまで洗いざらい吐き出した。彼女に。そして彼女が、

「うん…その気持ちとっても分かる。私も大人が大嫌い。この世界がだいっきらい。私もね、君と同じであんまり優等生じゃなかったんだ。まぁ、不良みたいな感じだったよ。不良って言っても悪い人達とつるんでたわけじゃないよ?学校が嫌で…他の人の視線が、教師の視線が、クラスメイトの視線が怖くて…別に何も悪いことはしてなかったんだけど気まぐれに休んじゃったりしてたからさ、結構変わり者だって思われてたみたいなんだよね。それで勇気を出していった日に、下駄箱開けたらさ…すごい落書き…っていうか悪口とか書いて…あって…さ…もう嫌になっちゃったよね…せっかく勇気出してきたのに、私は学校から歓迎されてなかったんだ…もうその日を境に学校には行ってないんだ。だから昨日も、今日も、制服なんか着てるけど、実は遊びに外に出てただけなんだ。」


彼女の境遇を知った僕は、やはり僕と彼女は似ている。故に助け合っていかなくちゃいけないと瞬時に考えてしまっていた。僕たちは一人じゃ生きていけない。お互い慰め合って生きていかなくてはと。同じつらさだって、二人で分け合って浄化してしまえば楽になると思った。だから、


「ねぇ、明日からさ、僕も一緒に遊ぶよ、君と。」

僕の中で結論を出した。


「え…?だ、だめだよ!君は今までちゃんと学校に行ってたんでしょう!?その頑張りを無駄にしちゃうかもしれないんだよ!一度休んじゃうと、どんどん生きづらくっちゃうよ。私みたいに…」


自分の二の舞を出すまいと、僕の心配をしてくれている。なんだ、普通に優しいやつなんじゃないか。

「ふふっ。いいんだよ。もうあそこに俺の居場所はない。そんな感じがしてたよ。入学した時から。クラスの連中は常に僕とは違うところを見てやがる。それを見るのがとてもつらかったんだ。眩しかったんだ。自分がみじめに見えたんだ。まぁ、行ってしまえば逃げなんだけどさ。でも、僕は一度決めたことは曲げないよ。明日からは君と一緒に行動するよ。喜びや悲しみ、辛さ、楽しさ全てを共有して生きていくよ。」


我ながらとても告白っぽいことを言ってしまったなと思った。


「そんな…ふふっ、君って、とんでもないお人好しなんだね。なんかとっても嬉しい…。私がもう一人いるみたい…。」


「ああ、僕はもう一人の君になるよ。運命共同体だ。だから、僕の気持ちも共有してほしい。」


「うん、分かった。じゃあさ、ひとつ。君の…名前…教えて…?」


「名前…僕の名前は輝…ひかるだよ。」


「え、うそっ!私もヒカルなんだけど!」


「な、まじか。」


「マジだよっ!…運命共同体で…しかも名前まで一緒なんて、なんか素敵…。」


うっとりしているヒカルを見ながら僕は告げる。


「ヒカル…君のことは僕が守るよ。だからもう塞ぎ込んだりするなよ?」


「う、うん…あ、ありがと…。な、なんか元気出てきたよ!不思議と身体もあったかいし…。」

心なしかヒカルの顔が赤くなっているような気がする。


「じゃあよかったよ。明日から…いや、これからよろしくな。」

握手の手を差し出す。


「ふふっ。ありがとう!私の王子さま!!」

手をすり抜けて抱き着いてくるヒカル。


「お、おい!なんだよお前!やっぱなんかおかしい!!」

なんか僕の顔も赤く、熱くなってきたような気がする。


ヒカルが顔を上げて口を開く。

「こちらこそ、よろしくね。これから一生守ってね。」


そんなヒカルの言葉に、

「ああ!男に二言はないよ!」


そう高らかに宣言し、澄み渡る青空に向かって二人で笑い続けた。 ――終――

とんでもない自己満足短編小説となりました。申し訳ない!だらだらとのろけ話を書くよりも「俺たちの戦いはこれからだ!」みたいな感じで終わらせた方が締まりもいいかなと(適当)追記させてもらえるとしたら、この二人は一生幸せに暮らしますよ。ハイ。今の時代、高校なんか出なくても就職できますからね。最後に、この作品はフィクションです。ありがとうございました。

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