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武術大会にて3

「皆、あの顔に惑わされて手加減してるね・・」

客席でサラの腕にべたっとくっついてルナは、

先ほどからの試合を評する。


「・・・いえ、ルイドは強い。・・国の将軍

と対等に闘えるくらい・・もしかしたら、それ以上・・」

「・・手加減してるの!!」

そう言いきりルナは、ますますサラにくっついた。

ルナとすれば、そう信じたいようだった。


「魔力が、ね・・とてつもないのよ・・・

なんてったって・・魔族だからね・・・。」

試合を終えリングを降りて行くルイドを見ながら

サラは、誰にも聞こえないほど小さい声で、

ボソッとそう言った。

そんなサラの横で、サラの腕から手を離した

ルナが、もじもじしだした。


「姉上、ちょっと・・」

今日何度となく繰り返したルナの言葉

サラは頷きながら

(今日は、えらくトイレが、近いわね。)

と思っていた。






一方ルナの方は、

(次、私の番だ!!早く行かなきゃっ)

と思っていた。

実は、皆に内緒で、出場登録していたルナなのであった。











「予選第5試合は、ルイド選手の勝利です!!」

高らかと司会の勝利宣言が、響く中、

ルイドは、会場から選手控え室へと帰ろうとしていた。


「ルイド、なかなか楽しそうに遊んでいたようだな・・・」

突然、どこからともなくひどく魅惑的な声が聞こえ

ルイドのすぐ後ろに人影・・・いや、

人にしては、美しすぎる存在が、舞い降りる。

それは、月夜の湖にも例えられるルイドの美貌に

勝るとも劣らないものだった。


「・・・・」

背後に立つその男が、居ないかののように

ルイドは、無言でその場を去ろうとするが、

男は、ルイドの長い髪を掬い取りクスリと笑う。


「この髪・・・本当に母親によく似ている。

・・・髪も・・・瞳も・・、愛しているよ・・・

私の最愛の息子

沢山ほかにも子を作ったが、

おまえが、1番だよ・・一番出来が良い。」

髪を絡め取られ動けずに居るルイドにの頬に

さらに指を伸ばして行く。


「サラも寂しがっていた・・・おまえに会えなくて・・・」

「・・魔王・・たわごとはいい・・とっとと去れ・・」

少しの殺気を込めて冷たく見つめるルイドに、

クスクスといかにも楽しそうに笑いながら、

魔王は、頬に触れていた手を離す。


「会えるわけがないか?

この私が,引き離しおまえから隠したのだからな・・・

あれは、私の花嫁、・・私の物なのだよ・・・」

「もうあの女とは、関係ない・・・」

くだらなそうな顔をし、ルイドはそう呟くと、

その場を後にした。


「本当におまえは、サラにそっくりだよ・・」

赤い髪の美貌の魔王は、おかしそうに微笑んでいた。











「ねえ・・どうしても出るの?」

後ろからやっと追い付いて来たらしいカルが、

ルナに不安そうにそう聞く。


「・・・うん・・・」

「危険だよ~心配だな~?」

カルのいつもよりは、少しだけ真剣な言葉を聞きながら

ルナは、予選会場へと向かって行く。


「私は、絶対手に入れなければならないものがある。

・・絶対に知りたいことがある。・・だから・・」

決意を込めたルナの声。

カルは、そっとルナの髪に触れる。


「お父さんとお母さんの死んじゃった訳と、

生き返らせる為のムーンテイアだね。」

髪に触れられ驚くルナの瞳には、

カルの微笑みが、映っていた。

何度も何度も愛おしそうにルナの髪を梳くカルに、

射すくめられた様にルナは、

立ちすくんでいた。











・・・その昔、神と魔王の戦いが、

あった神話の時代・・月の女神は、

人間に恋をした。

しかし・・・敵であるはずの魔王も

女神を愛していたのだという・・・。


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