番外編 (あの潮の香の下2)ルナとカルの出会い
「子供一人じゃ旅できないよね・・・」
「子供二人じゃ旅できるかな~?」
「・・・・・子供だけじゃやっぱり無理じゃないかな
一人でも二人でも三人でも・・・・・・更に飛んで10人でも・・
いやさすがにそれだけいたらどうにかなるかな・・・・」
無意識に聞こえてきた声に答えを返したが驚いて顔を上げる。
「・・・・・・・・・誰・・・・と言うか何かご用ですか?」
間近で此方の顔を覗きこんでいる少年に
ルナは尋ねてみた。
「・・・・わあ~凄い可愛いね~君~」
その明るい茶色の瞳にルナの瞳が映っている。
同じ位の年頃の少年
珍しい深紅の髪の、
でも瞳は良くある茶色の色をした少年。
突然のことにあっけにとられたルナは思わずしげしげと
少年を見つめてしまった。
「・・・・・・・僕はね~謎の少年だよ~。」
「謎の少年?」
鸚鵡返しに繰り返す。
「で!?可愛い君は誰?・・・謎の少女?」
「ルナ・・・・。」
おかしなことを言う子。
反射的に微笑んで正直に思わず
答えてしまって後悔する。
「・・・・そうなんだ~可愛い名前だね。
ルナはここに座り込んでどうしたのかな?」
「・・・・・気持ちが悪くなったから座っていただけです。」
いきなり許しもなく呼び捨てにする
なれなれしさに少し警戒しながら慌ててたちさろうとすると
「ねえ・・?僕の名前は聞かないの?」
そんなことを言ってくる。
どうやらルナの反応が面白いらしく
異様に目キラキラしているように見える。
「・・・・・・・・・な・・何ですか?・・・・」
「僕、名前が無いの~」
聞かなければならないのかな?と思いつつ尋ねたルナに
何故か嬉しそうに答える少年に
そんな馬鹿なと思うがもしかして本当だったらどうしようと
黙り込んでしまった。
「ねえねえ~僕何だか君に一目ぼれ~
名前つけてちょうだい~」
相変わらずニコニコ微笑みながらそう言う少年に
初対面で面と向かってそんなことを言われて
頬の辺が恥かしさに熱くなって来た。
「・・・・・・あの・・・・・・初対面で初めてで・・
何と言うか・・・・さようなら・・」
不信と恥かしさと引きこまれている自分に混乱した
ルナの頭はこの場から逃げ出すことを選んだ。
「待って~ルナ~どうして逃げ出すの~
・・・・・可愛いんだ~」
一方少年はますます嬉しそうだ。
悲壮な思いで飛び出して来た筈なのに
先行きに不安を感じていたルナなのに今は何処かに
ふっとんでしまっていた。
「名前~名前頂戴~」
「保護者の方とかいらっしゃらないのですか?・・・・
保護者の方に付けてもらって下さい~」
「名前~僕一人だもんン~子供の一人生活。
謎の美少年~」
「・・・・・じゃ・・・じゃあ・・・カルフォス!はい!付けました
それで良いでしょ?・・・・さよならごきげんよう。」
「・・・・長いよ~でも聖カルフォスの名前くれるの~」
ちょっと考えて急いで答えた。
「じゃあ『カル』!」
少年は『カル』となった。




