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番外編(あの潮の香の下1)ルナとカルの出会い

少女の長い髪が風に靡いていた。

耳元で髪を押さえる為に上げられた

ふっくらとした少女特有の小さな、

しかし成長したらおそらく美しくなりそうな

桜貝のような爪と真っ直ぐに伸びかけた指は

ところどころ傷ついていた。




「・・・・・姉様・・・・・いえ・・・姉上・・・行って参ります。」

決心をして出て来たつもりだったが

やはり別れは辛くて少しだけ瞳から涙が滲んで来る。


「必ず見つけてくるから・・・・・私が見つけるから・・・

側でその間・・・護れないこと許してね・・・」

すでに赤くなっていた目元をごしごしと擦って涙を拭うと

旅装の腰につけた剣を抜き、

瞳を閉じた。


「父上と母上にもう一度会いたいの・・・・

私の願い叶えて下さい・・・・私に下さい!

見付けさせて下さい・・・・女神様の願いの石・・ムーンティアを!!」



女神の清めの湖に月砂のようなダークブラウンの髪が散った。

目の前にそびえる白亜の王宮が少女には

再び酷く滲んで見えた。






「なんて人ごみなのかな・・・」

フラフラする頭を押さえ目の前を行き交う人達を驚いた顔で見ていた。


「気持ち悪い・・・・・」

急いで乗り込んだ乗り合い馬車に揺られてすっかり

気持ち悪くなってしまったルナは、そのまま道端に座り込んだ。

ひとりうなだれている姿を

チラチラと気になるように見る人達はいるが

背中を擦ってくれる人さえいない。

計画していた同行者が得られなかった為だ。



あの人はこう言った・・・・




「あの・・・・・」

「へい!いらっしゃい!

・・・・あれ?あんたはシアリス坊とこの?」

シアリスに教えられたこと、

連れて行ってもらった所を思いだし大分前からここに的を絞っていた。


「・・・・はい・・・こんにちは小父さん。」

まずは丁寧に挨拶をしてルナはシアリスにも

内緒で護衛の為の剣士を貸して欲しいことを

カウンターの前に座る男に言った。


「そんな・・・・夢みたいなこと諦めな嬢ちゃん!

シアリス坊にも怒られちまうよ・・・」


「でもどうしても行きたいのです!

無茶だって分かっているのですが・・・・

・・・・報酬だってちゃんと用意します。」



「いやだめだ!報酬がどうの言っているんじゃないよ・・

無理だよ・・・不可能だ。無茶なことは止めときなって言いたいんだ・・

すぐにシアリス坊に連絡するから・・待ってな!」


「小父さんお願いですから・・・・私・・・」

耐えきれずに零れてきた涙を拭いつつも

必死でお願いするも聞いてもらえない。

ルナだって男の言いたいことは分かる

でも引くわけにはいかない、

焦れた様にルナを捕まえにかかった男の手から

身を翻しルナは飛び乗った。






「・・・・・・・誰も・・・・・分かってくれないのかな・・・

私が幼いから・・気の迷いくらいにしか

何も分かってないと思われているのかな・・・」

グッと胸を突き上げてきた寂しさと哀しさ

気分の悪さも手伝ってどうしょうもなく

人恋しかった。


「父上・・・・・母上・・・・」

温かい自分の居場所を飛び出して来た事は

馬鹿なことと言えるかも知れなかったけど

やさしく抱き締めてくれる

大好きで大切な父と母がいないその場所は

半分しか温かくないそんな気がして。


「夢みたいなことじゃないもん・・・・

どうせ子供だもん・・・月の石・・信じてるもん・・・」

「お嬢ちゃん?どうしたの?」

自分の考えに入り込んでいたルナはその声と

背中におかれた手に

こんなとき物語とかでは生涯を共に出来るような

相棒に巡り会ったりするんだ・・・と期待して振り向いた


「大丈夫かい?」

「・・・・はい・・・・ありがとうございます・・」

お年をめした方だった・・・。

確かに親切に気を使った貰えるのは嬉しかったりしたが

自分が馬鹿みたいだった。


「少し休んでいるだけですので」

あっちの方が涼しいと日陰に連れていってもらって

またルナはへこんだ。

子供一人旅するのは余りにも危険過ぎる

しかもめいいっぱい王宮から指輪やらネックレスや

コツコツ溜めていたお忍びいく時のお小遣いをもったまま

無意識に袋を膝と胸の間に抱え込んだ。


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