番外編 (あの太陽の下)ルナとカル
ーⅠ(プロローグ)ー
「カールー!!・・・・カルったら・・・」
お昼になっても顔を出さないのが密かに気になっていた
ルナはまたサラとルイドが仲良くしていたのに
焼餅していることを聞いてもらいたいのを
言い訳にしてカルを探す。
真っ先に行った部屋には居なかった。
食堂にも広間の所にも
「・・・・・カル・・・・・。」
怒った顔を作っていたのが次第にしょぼくれ顔になる。
傍に居る時は散々馬鹿っとか
叩いたりするけどそれは照れ隠しが多分に入っているのだ
あまり男の子の免疫がないルナにとって
好きだと言ったり恥ずかしげもなく口説くような事を言って
引っ付こうとするカルは
かなり傍に居て照れてしまう存在だった。
好きだと言われたら
恥ずかしくてどんな顔すればいいか分からない
可愛いねってお嫁さんって言われたら
胸がむずむずして落ち着かない
抱きしめたれたりなんかしたら
触れている所が熱く感じて堪らない
その癖、無意識に何処に居るのか気になって
傍に居て欲しくてしょうがなかった。
ーⅡ(カルの気持ち)ー
「カールー!!・・・・カルったら・・・」
ルナの声が聞こえる僕の愛しい
大切な女の子の声が・・・・
寝たふりをしたままクスクスと笑みをもらす
まだまだ子どもな彼女だからわざわざ
僕も茶化したような態度を取る。
いつか大人になるまで待っててあげるから
出来るだけ急いでなって欲しいという気持ち
半分・・・・
まだまだ子どものところが可愛いいつまでも大人にならないで
独り占めしていたい気持ち
半分
町で一目見て惹かれた・・・・僕のものにしたい
あの小さな幼い少女を
可愛い・・・穢れの無いあの少女が
欲しい・・・・
サフラの姫君、僕の月砂の姫。
・・・・ねえ・・・ルナ、同じ位の歳だと思っているかもしれないけど
僕は少年じゃないんだよもっとずっと生きているんだ
そんな僕を本気にさせたのは君
君が大人になったら
少しでも僕の気持ちを受け止めるそぶりを見せたら
誰にも触れられないうちに
君を食べちゃおうかな・・・・・
ーⅢ(ルナの気持ち)ー
風が頬をかすめる
ふと其方の方を見つめて気が付いた
サンサンと輝く太陽の下、草むらで太陽を浴びて
寝付いてしまっているカルの姿。
しゃがみ込んで寝顔をジッと見つめていると
又風が吹いてそっと
カルから太陽を浴び続けた匂いを運んできた
額に掛かっていたカルの深紅の髪がそよそよと
弄られて靡いている。
いつもふざけたような事を言って真剣な顔を滅多にしない
せいかあまり気にしないけれど
カルの顔は整っている。
男の顔というより
顔立ち自体は実は繊細にな程に
きめが細かい顔だ
凛々しさと少年の悪戯っぽさと
繊細さが同居した綺麗な顔だった。
思わず見惚れて徐々に顔を近付けてゆく
カルの閉じられた瞳を隠す長い深紅に染まった睫毛と
寝息をたてて少し半開きになった唇が
真近に迫ってハッと気が付く
(何してるの!?)
途中で止めたものの前のめりになっていた体は
止まれずカルの方に倒れこんでしまった。
腕で何とかカルの体の上に倒れるのは
防いだもののルナの両手はカルの両頬の真横
唇と唇は五センチも離れていなかった。
至近距離で見るカルに何故かドキドキしながら
それでもルナは何故かその体勢から身を起こす事が出来なかった。
半開きの唇の吐息に吸い込まれるように
ルナは無意識のうちに瞳を閉じてゆっくりと顔を近付けていった。