番外編 (逢引?)ルナとカル
「カル・・・カル居る?」
暗闇の中小声で話しかける声
ルナがカイルの胃痛の可能性を無視し、
またもやサラとカイルが目を離したすきに
部屋を抜け出して来たのだ。
「はいは~い居るよおおおお~ん!!」
物陰から突然現われルナに抱き付くカル。
「もう~ふざけてないで・・・
見つからなかった?」
カルの手を少し慣れてきた様子で、
落ち着いて剥がしながらやはり小声で尋ねる。
「僕は、見つからないよ~だって~ルナとサラだけしか
見張られてないもん~僕ノーマーク!!
カイルも2人じゃ大変だよね~
なんか僕ルナの護衛扱いされている感じはあるけど~」
剥がされようとするのに反抗してますますきつく抱き付いたまま
「こないだだってさ~
お前の体を張ってでも姫様をお守りするんだぞ。
って言われちゃったぁ~ん」
ルナに頬擦りまでしながら話しを続けるカルに
「もう~!!」
と呟きながら身を離そうともがく。
「逢引きだね~ぼ・く・た・ち~カイル優秀だから
1分後位には見つかりそうだけど~」
「馬鹿!!カイル来て斬られちゃうよ!!」
突然ルナが動くのを止める。
「・・・?・・あれ?!ルナいいのお~」
カルが瞳をウルウルさせながら少し力を抜いた瞬間
ルナは、一気に抜け出し得意げに微笑む
「押してだめなら引いてみろっていうしね・・
・・油断したでしょ!!」
ルナのしてやったりという顔を見て
カルはハンカチでも噛みそうな顔でこう言う。
「ああん~もう~いけずうううう~」
ますます可笑しそうに笑うルナを見て
カルは、急にその笑顔に吸い込まれるように
真剣な表情でルナを見つめ
「・・・!?・・・何・・?」
その顔に驚いたようにそう言うルナに
うんうんと、頷いて
「いやぁ~ルナってぇ~やっぱりぃ~
美人だな~って~ん」
顔面真っ赤のルナに
ニコニコ微笑みながら
「きっと~この世界を守っているという
月の女神も~ルナみたいな美人なんだろうね~」
「ち・・違うよ~月の女神みたいな美人っていうのは、
姉上みたいなのを言うの~・・・ちょっと童顔だけど・・・。」
「そうかなぁ~」
首をかしげるカルに重ねて言う。
「姉上は色合いこそ違うけど、月の女神の転生か?
とも言われたサラ大伯母様そっくりの髪質と、
幼きころの面影を持ってる・・・らしいんだから!!」
必死になってそんなことを言っているルナの髪を手に取り
「ルナの髪も綺麗だよ・・・月に照らされて
月の砂みたいにキラキラしてる。
夜空にとっても映えて魅力的だなー。」
そんな言葉にも真剣な瞳にも免疫が無いルナは、
もうどうしていいのか頭を混乱させながら
お願いだからカルは、真面目にならないで欲しいと思うが、
「僕の女神・・・」
カルは、そう呟き髪に口付けをする。
「僕の女神は、ルナだよ。長い髪だったらますます
女神みたいだ。」
「か・・・髪?・・た・・旅に出る時に、切ったの!!」
そっぽを向いて居心地悪そうなルナの姿に
優しい微笑みをうかべ
カルは、その後いつもの調子に戻って
「ル~ナ~アア~ンでもぉ~綺麗な星空だねえ~ん
逢引きにぴったり~んな星の綺麗な夜空の下・・
愛を語り合う2人~ん・・・」
またもやペラペラとふざけた事をしゃべり始めたカルの
頭をルナは、安心したようにポカッと叩き
「もう~ちょっとは静かにしなさい!!」
っと叫んだ。