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大嫌いで・・大好きの気持ち

召喚された四聖獣に囲まれながら驚いたようにルナは、


リュクシスの方を見る。




「リュクシス・・・凄いね・・、


どうしてブレスレットとかのこと分かったの?」




にっこり笑って、リュクシスが、答える。




「・・・この剣が・・


カルフォス王の意思が教えてくれるのです。


・・・王は、姫を守りたいのですね・・


そこが、気が合った所なのかも知れませんね・・」




ルナの意志を汲み取り、


四獣が二人を守るようにして四方を固め、


周りを火水風地の力を持って寄せ付けないようにする。


四獣からその主である聖騎士達の意思をも感じる




「さあ・・・姫、次はどうしますか?」


私は、皆に大切にされている


大好きな皆が私を支えてくれる。


幸福感に笑みが零れ落ちながら、




・ ・うん・・・


ルナは、一つ頷くと魔王の方を・・


カルの方を見据える。






「・・・・カル・・・・」


「・・・ルウナ・・・憎い・・


愛しくて憎いルウナ・・・殺したいルウナ」


憎いと言いながらも


切なく見つめ返す魔王にルナは微笑む




「・・ソウレは本当にそう思っているの?


・カルは・・・カル、そう思っているの?」




「ルウナもルナも・・・僕よりも他の者を選ぶ


・・・僕に振り向いてくれないくせに・・大嫌いだ・・ルナ」




魔王の瞳が黄金から茶色に変わり、業火で身を包む。


ルナよりも自分を燃やし尽くしたいとでもいうように




「・・・でもね・・・・カル・・・じゃあどうして


私の前にカルとして現れたの?


私と一緒に旅してくれたの?


・・・じゃあどうして私に対しては直接攻撃しないの?」




水銀の髪、大地の緑の瞳になりかけていたルナの姿が、


本来のルナのダークブラウン、淡い緑の瞳へと戻ってゆく。




「・・・大好きだから・・・


ルナが大好きだから・・・」


茶色の瞳がじっと此方を見ている。




「・・・・僕を殺して欲しい・・・


僕と一緒に・・穢れない君のまま一緒に消滅しようよ」


その言葉を聞いて、グッと握り締めたルナの拳が震える。




口を開きかけて閉じて何かを堪える様に下を向く。


俯いたままルナは、後ろのリュクシスに言う。




「リュクシス・・・・どうしたいか


決めた・・・」


「・・・はい・・」


クッと力強く頭を上げ正面に立つ、カルを睨む




「私は、カルを一発殴りに行く!」


リュクシスは、その言葉に、


驚いた顔をして口を空けるが、すぐににっこりと微笑んで、


前を、カルを睨んでいる、ルナの


ダークブラウン後姿を、優しく見つめる。




「リュクシスお願い・・」


「良いですよ」


答えを聞いて、一瞬リュクシスの方に微笑みかけてから、


カルの方に駆けるルナを援護するように、


リュクシスも、胸を押さえその後に続いた。




(もう少し・・・もう少しだけ・・)


リュクシスは、幸せそうに微笑んでいた。














「カルー!!」


四獣とリュクシスに助けられながら


真っ直ぐにカルに向かってルナは、突き進んで行く。


その目にはカルフォスもリュクシスも誰も映ってはいない




・・・ただ一人、目の前のカル一人だけを見て進んでくるルナに、


柔らかく微笑んでカルは、両手を伸ばす




・・・僕は・・・君と一緒なら・・・


もう・・・誰も見ないで・・・






「誰も見ないで・・・ルナ」


「無理よ・・・カル・・・」


「僕を殺して・・・」


「殺さない・・殺したくない・・


だって、大好きだもん・・皆・・・大好きだもん」


涙がポロポロこぼれる




「大嫌いだけど・・・


『恋』って『好き』って分からないけど


やっぱりでも・・私は、『カルのこと大好き』だもん・・・」


ルナの涙を零しながらの、哀しくて、温かくて、優しい瞳と、


嗚咽を含みながらの真剣で、柔らかい声と言葉に、


大きく瞳を見開いたカルの胸に、ルナが飛びついた瞬間、


二人の額がペタンと合った。




頬っぺたを思い切り殴った後、再び、


深紅の少年とダークブラウンの少女は額を合わせたまま


ゆっくりと瞳を閉じる。




「大好きよ・・・・カル」


「ルナ・・・」


「死んじゃうなんて言わないで


一緒に生きよう・・・?」


ギュッとお互いにしがみつくような


幼い子供同士の抱擁




「きっとね・・・月の女神もそう


太陽のこと大好きだったよ・・・?


太陽よりカルフォスが好きなんじゃなくて


どっちも大好きだったの・・・」




「ルナ・・・・大好きだよ・・・」


ゆっくりと炎が二人を包み込んだ後


消えていった。

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