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小さい者・・広大な焦土

「・・ルナ姫!・・・よかった・・」


少し年をとった馬だけど、


民家から1頭だけ手に入れられた馬に乗って


駆けて来るリュクシスに、胸が熱くなって安心した。




「・・・リュクシス・・・」


「胸騒ぎがして・・・


戻ってきてしまいました・・」


初めて見たはにかむようなリュクシスの微笑に、


思わずルナも微笑を返す。






「・・・・リュクシス・・・私・・・、」


言いたい事がたくさんある気もするけれど、


言葉に出来ない・・


リュクシスは、ルナの様子に大きく頷いて


この場にそぐわないほど


温かい瞳をして笑った。




「・・・何か、大きな力が


周りを囲んでいるようですね、


・・・大丈夫、姫のしたいようになさい・・


それが正しい・・、


私が見ておりますから・・私が貴方を


お助けする事を許して下さいますか?」




ルナは大きく頷いた。


(・・・・安心出来る・・・・)






「・・人間は・・・やはり厄介だな・・・


いつの時代も、私からルウナをとってゆく・・」


ヒヤリとした声に振り向くと、深紅の髪を炎に照らして、


血のようにますます赤く輝かせる魔王が地上に降り立った。


嫌な予感がして叫ぶ




「・・・・!!・・・駄目ぇ!」






ジュッ


バァンンンンンッ!!!




「リュクシス!!!」


一瞬にして、焼け爛れる一面の大地、


見渡す限り草の1本、小石の1つも無い、


街の姿は既に無く黒々とした地が広がるばかり、




「・・・・・ああ・・・リュ・・・クシス・・・」


哀しみが心を支配して行く


・・・死んでしまった・・・皆・・


皆・・・私の子供達・・・・


ルナの頬から流れる涙が凝っていく、




するすると伸び出すルナの髪は、髪の先から


徐々に、流れる清らかな水のような水銀色に染まって、


薄い緑だったルナの瞳は徐々に大地の実りの


落ち着きに満ちた緑に・・




「ソウレ(太陽)・・・・カルフォスの時のように・・


貴方は・・・」


「ルウナ(月)・・・!!」


半身だった頃のように戻ったと


歓喜に満ちた声で魔王は返す。




「姫!・・・駄目です!


違う者になってはならない!・・・・ルナ姫!」


聞こえるはずのない声に見上げた先には・・・


リュクシスが居た・・・。




「・・・リュ・・・リュクシス・・・!?」


何の力に寄る物なのか、宙に浮かぶリュクシスのその手には、


剣が握られていた・・・。






「・・・貴方は、そうカル君・・・・ですか。」




「・・・お前・・・・カルフォスか・・・・?」


魔王の声に、再び周りの温度が上がり白炎を放ちだす。




「・・・カルフォス・・・」


名前を聞くだけで、意識の表面に現れてきている


月の女神の心が震えた。




「そう・・・・カルフォス王の力は借りています。」


「人間ごときが何故・・・・?」




ルナへと視線を送りリュクシスは、柔らかく微笑む




「・・姫・・・心配しなくてもシアリス殿とカイル殿達が


皆を避難してましたよ・・・・・」


「・・・・カルフォスの力・・・?


皆・・・・・避難してたの?・・・じいやも?


師匠も、カイルも?」




「シアリス殿とカイル殿が


王都から届いたばかりの聖剣を貸して下さいました。」




珍しく悪戯っぽく笑うとリュクシスは


「人間って、大きな力を使えない代わりに


小さな力で小ズルく盲点を突いたりするんですよ?」




「・・・宜しければ・・・・


不遜にも剣の天才と皆様が言って下さる腕を


見て頂けますか?」

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