覚醒2
倒れていた子供はすぐに気が付いた。
「カル!!」
久しぶりに会った気がする友だちに
ルナは、思いきり抱きついた。
「ルナ~ん?」
カルは、よろめきながらも
しっかりと腕を廻して受け止める。
そのふざけた言い方、微笑みさえ懐かしい。
リュクシスとはまた違う大好きな気持ちだと
初めて分かった気がする。
「カルカルカル~!
・・・・生きてた!起きた!元気だった!?」
ルナは、照れや躊躇いなど何処かに消えて
とにかく嬉しかった。
何故こんなに嬉しいのか
目覚めてふざけたことを言って
瞳をクルクルと輝かすカルを見るのが
泣きたいほど嬉しいと思うのは何故なのか、
分からないけれど、
自分にとってカルは大切だったのだと
ルナは、今更ながらに気が付いて涙が出た。
・・・・・分かった・・お前がちい姫を何があっても
護るという気持ちがあるのならば話そう
・・・あのな・・・魔王が狙っているのは・・
ちい姫だ・・・
・・・は・・はい・・!?
カイルは抱き合うカルとルナを見ながら
叔父のシアリスから聞いたその言葉を思い出していた。
「・・・!・・離れろカル・・・
何をしているのですか!姫様!」
カイルは、ハッと気が付き、
慌てて二人を引き離す。
尊い姫の御身に気安く触れるなんて
無礼も良い所だ。
確かに旅の間も何かと引っ付いている事があり
まだ幼き者同士と見て見ぬ振りもしてきたが、
姫が皇子と婚約したいと言ったこともあり
これからはけしてこのようなことは、
許しすまいと、カイルは心に誓った。
大事な主君・・
それにさらに
女王サラ様の残された・・大切な妹君なのだ。
・・・先王陛下と王太后陛下は・・それと
サラ姫様な、ちい姫が生まれた時に
光を見たんだって、そして聞いたんだって魔王の声を
「月の女神・・サフラの姫を
我の花嫁に・・・」って・・
・・・大切な私の主君
サフラの姫君、ルナ・フィリス=サフラ様なのだ・・・・
「ああ・・ルナ・・・・本当に
会いたかった・・僕の花嫁
・・・ルウナ(月の女神)・・・」
引き離したカイルの方を見ながら
自分のした大胆な行動に
今更ながら恥らっているルナの横顔を見つめ、
誰にも聞こえないほどの小さな声でカルはそう呟いた。
「・・・・倒れていたけど・・
もう大丈夫なの?カル。
王宮から上手く逃げ出せてたのね?
あのね、今から私達エトナに向かうところだったのよ
・ ・それで、王宮はね・・・姉上とルイドは・・
それに、奥宮にいた少なくない人が・・・・」
「・・・うん~・・・何にしても~ルナに会えて
良かったよ~・・・僕は気が付いた時は
王宮から離れた所で
倒れててね~・・・探してたんだよ~」
ケラケラ笑いながらカルは言う。
(人が沈んでいると言うのに・・・
でも何だかカルらしいといえばそんな気もする。
皇子に本当は傍に居てって言いたかったのに
堪えた気持ちが、姉上と、ルイドのことで
まだ泣いておきたかったのに堪えた気持ちが、
どんどん溶けてゆくよ)
ルナの頬から大粒の涙が零れた。
慌てたカイルの引き離しにも負けず、
そっと慰めるように抱き締めてくれたカルに、
しばらくしがみついていたけれど
涙を拭ってルナは笑った。
泣いていたから、カイルも引き下がったようだったが、
涙を拭いて笑ったルナに安心して
再びカイルによってルナとカルは、引き離されたが、
「一緒に行こう!」
ルナは、カルの方に手を差し出し、
カルは、『駄目だ』というサインを出す
カイルを無視しながら
差し出されたルナの手を取った。




