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一人じゃない3

横顔に木陰が挿す。


樹齢300年にはなりそうな大木の幹に掌を当てて、


青々と葉の生い茂る枝々を見上げるルナの後ろに、


草を踏みしめる極小さな音を立ててリュクシスが追いついた。




「突然走っていかれるので驚きました。」


「・・・・木の上に何か引っかかっているように見えて・・」


見上げたままのルナの横顔に


リュクシスは、小さく微笑むと、




「それで・・・何かありましたか?」


「・・・・あれ・・・誰かの服かな?


・・・けっこう小さいね、子供の?」








2人だけで少しだけ話させて欲しいと、


シアリスに頼み込んで、


目が届く範囲ならと許してもらった。


部屋から出て外に出て見回して見たが、


誰かが始めからあったのを知っていたのか


偶然に建物を見つけたのか、


周りにはルナ達が居る建物以外無いようだった。




「・・・・・リュクシス皇子、帰るのね・・・」


「・・・はい・・・兄上をこのままにして置くわけには


いきませんので・・・。」


上げていた視線をリュクシスに向け、


体ごとようやく正面に向かい合う。




「・・・何となく・・・途中から


リュクシス皇子が他の国の皇子と言うことを忘れてた、


・・・ずっと傍に居てくれるような気になってた・・・」


「・・・済みません・・・姫・・」


「・・・こっちこそ勝手にそんなの思っててごめんね。」


俯いたリュクシスに対して頭を下げる。




「姫が謝る必要はありません・・・・


私は・・嬉しかったのですから・・本当に・・」


「・・リュクシス皇子・・。」


「・・・リュクシスで良いです・・・・


私は、正式に貴女の婚約者になることを


諦めたわけではありませんから・・・」




「うん!・・・・大好きだよ・・・


これからどうなるか分からないけど、この国を立て直して


・・カルも・・・・見つけて


・・・16歳になったら、リュクシスを迎えに行っても良い?」


「・・・嬉しい事を仰ってくださいますね・・・」


リュクシスは、小さく微笑んだ。
















「カイル、これから俺達はちい姫を護らなければならない、


あの深紅の魔王から・・」


リュクシスと一緒に外に出ていったルナの部屋で、


自分達の仕事に戻る前にと、


叔父のシアリスと、甥のカイルは、床に直に座り、


(カイルが部屋の椅子もベッドも姫様の物だと言い張った)


向かい合っていた。




「・・・お前、おお姫さんから何を聞いた?・・


深紅の魔王のことは何処まで知っている?」


「叔父上!『ちい姫』、『おお姫さん』ではありません!


ルナ様のことはルナ姫、ルナ姫様、ルナ様・・・


サラ様のことはサラ姫、サラ姫様、サラ様・・・


女王陛下でも良いですが・・


きちんとそんな風にお呼び下さい!」


「お前の反応が面白いから余計に言ってるだけだ・・・


・・と・・今はそんなの突っ込んでる場合じゃ無いだろ?」


シアリスのその答えに引きつった顔で何か言いたそうだったが


言葉を飲み込んだらしい。




「・・・・サラ様からは・・特に・・ただ、


女王のブレスレットをルナ様に・・と・・


ルナ様がお生まれになった時にサラ様は


先王陛下と王太后陛下に、ルナ様をお守りになると


誓った約束をお護りになると・・・」


そこで、カイルは、一旦区切った。




「深紅の魔王のことは・・・神話で言われている事しか


私は知っていません・・魔族の始祖であること


古代太陽を消滅させた月の女神が太陽を惑わせた魔王が


これ以上の災いをもたらさぬようこれより一切


人の前に姿を力を現す事が出来ぬように実体を奪い、


更に人々が住む場所に結界を張り巡らした


ということだったと思いますが・・・?


・ ・・私は、其方の方は疎いので・・・」




「うん・・・それで魔王は、もう一度姿と力を


取り戻す為に太陽の残留や、間接的に


外から惑わせた人とか使って力を振るうのだったよな」


幼い頃に聞いた月の女神の神話を思い出しながら


つっかえつっかえ話す甥にうんうんと頷きながら


シアリスは続けて聞く。




「それで、その張られた結界・・・


しかも最も守護が強いとされていたサフラの


結界をいきなり破られた訳だけど、


おそらく狙いはサフラの国・・・あるいは


サフラの国の何かだけど・・・ちい姫を護れるか!?」

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