魔王の目覚め2
(・・・・子供なんだな・・・やっぱり
・・・しっかりしているように見えてても・・こいつはまだ
こんなに子供なんだよ・・・・)
「嫌いよう・・・・師匠なんか・・・死んじゃえば良い魔王なんか
カイルも皇子も爺やも嫌い・・・ジャラクもシエザもセーンもシリアムも
守ってくれないから・・皆・・みんな・・き・・・嫌いよう・・・」
「ルナ・・・」
「・・・・・あああん・・・あ・・姉上~・・姉上えええ~」
行くと言いながら、早く助けに行ってと言いながら、
ルナも分かっているのかも知れない、
魔力とは別の部分で、分かったのかもしれない、
史上稀に見る強い魔力を持った巫子姫と呼ばれながら、
まだ少女のうちに女王になったあの優しくて夢見がちだった
大好きな姉姫のが、この世のどこにも居なくなったのを、
魔力を持っているシアリス達が感じたのとは別の部分で、
ルナは、察したのかもしれない。
今まで特に先代の王と王妃、ルナの父と母が死んでから冗談でもルナが
誰かの死を願ったことは無かった。
どんな人の死をも気にして心を痛めて
どんな人もみんな死ななければ良いのに・・・
なんて言っていたルナがこんな事を言っている。
何時だって子供らしく奔放で無邪気なように見えて
誰よりも周りを気にしていたルナが皆を嫌いだという。
サラのことで泣けてはいるから大丈夫だと思うが
心に傷が付かなければ、残らなければ良いのに・・・
そう願いながらシアリスは、
とにかくルナを一人にする為にその場から出て行くことにした。
心底、ルナを慰めたい、
父母だけではなく、今、最愛の姉を亡くした・・・家族が
全て無くなった小さな女の子を哀れに思うのに、
自分は、それでも
『主君として、早く立ち直ってください』
と、言わなければならない立場なのだ。
一生、心に闇を持つことになってもおかしくない
この哀しい出来事を幼く小さな女の子に背負わせて。
「シアリス殿・・・・」
消えそうなほどか細い声に振り向くと常よりも青ざめた顔の
リュクシスが立っていた。
「・・・姫は・・・?」
「とりあえずは大きな声で泣けていらっしゃったので
大丈夫だと思うのですが・・・・」
溜息とともにリュクシスに応えると
「・・・そうですか・・」
少しだけホッとした表情を溢した。
「それで・・・・王宮は・・あの・・兄上は?」
「王宮から脱出した私の甥の報告によりますと
兄君も他の王宮の者達と一緒に一時避難されているようですよ」
「・・・・・・・そう・・・ですか」
「・・・・・兄君と一緒に国に帰られますか・・・・?」
一言呟いて、下を向いていたリュクシスの顔が、
驚いたように上げられる。
「兄君と共にお国に戻られた方が宜しいですよ・・・
姫のことは気にせずに・・・・私達が付いていますから。」
「・・・・・・」
無言のまま瞳を揺らせるリュクシスに、
何故だか哀れみを感じて
シアリスは猫を被っている時には珍しく礼を忘れて、
リュクシスの頭をポンポンと叩き、
心配するなと笑顔を向けた。
(そう言えば甥と言えば、カイルの奴も大丈夫だろうか?
あいつはサラのこととても慕っていた・・・
報告を受けた時は、普通だったみたいだけど・・・・)
「・・・やれやれ・・・俺だって結構哀しくて辛いんだぞ・・」
呟きを溢した。




