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大切な存在3

「・・・・皇子ぃ・・・?」


手持ち無沙汰に、


付けていた中剣を部屋にあった引出しの上に置き、


マントだけを脱いだ、クリーム色の動きやすい服装で、


残された部屋の中、ルナは不安に負けないように腰のベルトの端を


折ったり伸ばしたりを繰り返していた。




「・・・・・皇子。」


病気なんじゃないだろうか?


以前からエーティルの第四皇子リュクシスは、剣の天才と


広く噂になりながら、どのような剣技かとか、


人物像等が伝わってこないのは何故なのだろうか、


と言われていた。




病気だから、だったのでは無いだろうか?




心配で、不安で、でも大丈夫と言い張って去っていったのを


追いかけて良いのか?と迷いがでる。


リュクシスも見られたことを、


失敗したと思っているかも知れない


自分のそういう姿を見られたくないと思っているかも知れない


いろいろ思いが駆け巡り、ベルトにある帯剣の為の輪を今度は弄くっていた。






「・・皇子!」


顔を上げ、瞳を上げ、決心してルナは、1歩を踏み出そうとした。








グラグラグラッ


・・・・ガガガガガガ・・・








突然の地面の揺れに体勢を崩しながらも、


何事だろうと窓の外を伺い見て、驚いた。


追悼の宴をしていた村の人達は、騒然とし、


傍にある森の木からは鳥がいっせいに飛び立ち


あらゆる獣の鳴き声が木霊している。






「・・・・ふ・・・んか?・・・・山が噴火してる・・?」






ルナは、思わず言い知れぬ恐怖を感じ自分を抱きしめていた。












・・・・その時・・・最も月の女神の加護深き所と言われた


サフラの王宮が崩壊した・・・




・・・・深紅の魔王が目覚めた。














「・・リュ・・リュクシス皇子!・・・リュース!・・リュース何処?」


村に到着する前に半分遊びながら決めた偽名、


リュクシスがリュースでルナが初めて皇子に会った時と同じラージュ。


しばらく震えて揺れが収った後、


どうしても急いで探さないといけない気がして


ルナは、必死になってリュクシスを探す。






「大丈夫か!?・・・ラージュ」


廊下の向こうから珍しく真剣な顔で走りよってくるシアリスと


聖騎士達にルナは




「うん・・・・大丈夫。・・でも今の地震は何?師匠?」


心のもやもやする不安の理由を教えて欲しくて聞いてみる。




「・・あのね・・リュースが今居ないの・・・師匠見なかった?」


リュクシスを見つけないといけない・・・・心がとても


もやもやして不安だから、見つけないといけない、


そんな気がして、ルナは師匠を見上げる。




「・・・・分からない・・・・周りの気配がざわついてるな・・


何かに恐怖しているような・・・・王宮に聞いてみようか?


・・・・リュースは見なかったけど・・・何だか不穏だ


探してやった方がいいだろうな・・」




シアリスも聖騎士達の表情を固くしている。




「・・・リュース・・・」


「・・・ラージュ!」


心細げに呟いたルナの耳に聞こえたその声の方に


顔を向ける。


廊下を走る音と共にリュクシスが走って来ていた。


体の具合が悪そうだったのに


まだ凄く青白い顔をしているのに




「・・・・リュース!」


両手を広げて迎えに行った。


不安な気持ちだから抱き締めて欲しかった。



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